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資質ではなく、意味に従う:ストレングスコーチング × フランクル哲学:地図とコンパスの統合的アプローチ

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資質ではなく、意味に従う:ストレングスコーチング × フランクル哲学:地図とコンパスの統合的アプローチ

はじめに:なぜ「意味」と「資質」の統合が必要か

ストレングスファインダーを活用したコーチングは、自己理解を促し、行動への意欲やパフォーマンス向上に寄与します。しかし――

「強みを活かしているはずなのに、心は満たされない」
「自分の夢と資質が合わないなら、諦めるしかないのか」

こうした違和感は、単なる“手段”(資質)の発見にとどまり、“目的”(意味)への探求が抜け落ちているサインです。本稿ではGallupとフランクル両者の理論をつなぎ、強みの活用に“意味への意志”を加える手法を提案します。


ストレングスファインダーの本質とその前提


強み=才能 × 投資

Gallupでは「資質(talent)は育成(investment)によって強みへと転化される」と説明しています。
しかし同時に、Gallupは「強みは個人や組織の価値観・目的と一致してこそ最大限に機能する」ということにも言及しています。

つまり、

資質は“地図”にすぎず、“旅先”を示すものではない。

と捉えることができるのです。

以下はギャラップのウェブサイトからの抜粋ですが、価値観や目的の重要性が述べられています。

価値観や目的の重要性とは?

Stabilizing Your Life and Work Through Values and Strengths
「価値観と強みを連動させて、人生と仕事を安定させる」より

“And the more you know somebody’s values, it brings dimension, I think, to people’s strengths. … Why people join companies, I think, is because they get drawn by the mission and purpose. … strengths leaders and educators are using values and strengths in tandem.”

「そして、誰かの価値観をより深く知るほど、その人の強みに立体的な厚みが生まれます。…人が企業に参加する理由は、ミッションや目的に引き寄せられるからだと私は考えます。…強みを活用するリーダーや教育者は、価値観と強みを一緒に使っています。」

How to Create a Strengths-Based Company Culture
「強みベースの企業文化を創る方法」より

“Articulate how the strengths initiative is connected to the organization’s identity (purpose, brand, culture). … Communicate how applying the strengths of each person will enable their company to achieve its purpose and business objectives.”

「強みのイニシアチブが組織のアイデンティティ(目的、ブランド、文化)とどう結びつくかを明確に示しましょう。…各人の強みを活かすことが、組織の目的やビジネス目標の達成につながることを伝えてください。」


フランクルの実存分析:価値の三分類

ナチス収容所という極限状態で、どのように態度を選ぶかによって生存力が左右された──フランクルが示したのは、人間の「状況には縛られるが、その状況への態度は自己の選択に委ねられる」という実存的自由です。

意味の三価値

  1. 創造的価値(仕事・芸術・貢献などを通して)
  2. 体験価値(愛・自然・音楽やアートなどの体験を通して)
  3. 態度価値(避けられない苦しみにどう向き合うかという態度を通して)

「意味は与えられるのではなく、見出すもの」──この発見のプロセスを、私たちは問いかけによってサポートします。

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資質 × 意味のズレにこそ、本質がある

コーチングの現場では資質と願望が一致しないケースに直面します。たとえば

場面例:「社交性が低いのに、地域の学習塾運営に情熱を燃やす」

そこでは必ず――

  • なぜ“その場”を選んだのか
  • その瞬間、何を感じ、何に価値を見出しているのか

といった「意味への問い」が鍵を握ります。


統合的コーチング実践フレームワーク

フェーズ内容
① 資質を“傾向”と捉える行動パターンとして扱い、固定的ラベル化を避ける
② 願望の背景を探る「具体的にどのような場面で、その行動をしたいと思いましたか?」
③ 苦手領域への共感「それでもやりたい」と考えたきっかけとなった出来事は何ですか?
④ 意味を掘り下げる「その体験を通じて、どんな価値(創造的価値・体験価値・態度価値)を感じましたか?」

深掘り型問いかけ集

  • 場面想起:「最後に◯◯をやり抜いたとき、どの瞬間に『これだ』と感じましたか?」
  • 価値探索:「そのとき得られた気づきや喜びは、何に起因するとお考えですか?」
  • 態度の選択:「困難に直面した際、どのような『態度の選択』があなたを支えましたか?」
  • 次の一歩:「その意味を日常にどう組み込むと、行動が一層意味深まりますか?」

資質と意味を視覚的に理解する

【資質 = 地図】
 └ あなたがどのような方法・スタイルで進みやすいかを示す

【意味 = コンパス】
 └ あなたがどこへ向かいたいか(人生の方向性)を示す

【人生 = 旅】
 └ 地図とコンパスの両方があってこそ、道に迷わず進める


まとめ:資質を超えて、「人間の可能性」へ

コーチングが「資質を活かすこと」にフォーカスする時、パフォーマンス向上にとって有効な手段とはなりますが、人生の苦悩や葛藤、転機や逆境を乗り越えようとする場面では、「意味」が欠かせません。上記図解のように資質は“地図”です。意味は“コンパス”です。 そして、人生はその旅そのものです。

クライアントがその地図にない道を進もうとしても、そこに意味があるなら、私たちはその旅をともに歩む伴走者であるべきです。なぜなら、向かうゴールを決めるのはコーチではなく、クライアントだからです。

ストレングスコーチングとフランクルの哲学が交わる場所には、単なる効率や最適化では得られない、深い“人間らしさ”と“希望”が息づいている、私はそう思います。


参考文献

  1. Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
  2. Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
  3. Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
  4. Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
  5. Gallup. Stabilizing Your Life and Work Through Values and Strengths. Gallup CliftonStrengths.
  6. Gallup. Disengagement Persists Among U.S. Employees. Gallup Workplace.

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