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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」の 34 資質の中で 成長促進(Developer) は、“小さな芽を見つけて育て、他者の成長に喜びを見出す育成の庭師”と評される人間関係構築系資質です。まだ小さな進歩や才能の萌芽を鋭く察知し、寄り添いながら育て上げる姿勢は、学習文化とエンゲージメントを同時に高めます。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の 5つの観点から、成長促進を徹底解説します。
1. 成長促進の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “誰かが昨日より一歩でも成長する瞬間に立ち会いたい” |
行動プロセス | 現在のレベルと伸び代を観察し、実現可能な次のステップを提案。小さな成功を見逃さず称賛し、自己効力感を着実に積み上げ。長期的に伴走し、成長が習慣化するまでサポート。 |
強みの現れ方 | 新人やジュニアメンバーの“伸びしろ”を具体的に言語化。フィードバックをポジティブかつ実践的に提供。メンタリング・コーチング・OJTの自然な促進役。 |
価値提供 | 組織の学習曲線を引き上げ、離職率低下・人材育成コスト削減に貢献 |
キーワード | 育成/ポテンシャル/フィードフォワード※/賞賛/伴走 |
※フィードフォーワードとは過去の行動や結果に対する評価(フィードバック)ではなく、未来に向けた提案や支援を行うコミュニケーション手法です。
2. 成長促進を最大限に活かす方法
- “マイクロ成長ジャーナル”を導入
1 on 1 で「今週の小さな進歩」欄を記入し、可視化された伸びを週次で祝福。 - ストレッチ目標を“半段階上”で設計
大きすぎず小さすぎないチャレンジをセットすると、達成→自己肯定感→さらなる挑戦の好循環。 - フィードフォワード質問を多用
過去の失敗の深掘りより「次回どう活かす?」に焦点を当て、未来志向の学習トリガーを引く。 - ピアラーニングの場をファシリテート
成長促進は個人だけでなく相互支援環境づくりが得意。勉強会を仕組化。 - “成長KPI” を人事評価に埋め込む
売上や期限だけでなく「スキルレベル+1」「資格取得」など育成指標をマネジャー目標に設定。
3. 成長促進に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
過保護・依存誘発 | 何でも教え過ぎて自主性低下 | “ヒント → 自考 → 振り返り” の順で自走を促す |
成果より努力重視 | プロセス称賛ばかりで目標未達 | フィードバックにKPI達成度も明示しバランス確保 |
進歩の遅い人へのフラストレーション | 成長速度差でイライラ | 個別のペース設定+月次リフレクションで期待値調整 |
自分の成長投資不足 | 他者育成に時間を使い学習時間ゼロ | “自己研鑽スロット”を週2時間カレンダーに確保など |
4. 成長促進を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- 育成ミッションを正式に任命
オンボーディング、メンター制度、社内ラーニングプログラム運営など“育てる場”を委ねる。 - 小さな成功データを共有
「Aさんの提案採用率が 10→25 %」など定量的成長を提示し、評価の裏付けを与える。 - “フィードバックの三層構造”をリクエスト
①具体的行動 ②良かった点 ③次に伸ばす点――の3層でコメントしてもらうと本人の強みを最大化。 - 伴走範囲と期限を明確に
どこまで支援し、いつ自走モードに移るかを決めておくと過保護リスクが下がる。 - 成長を可視化するツールを一緒に選定
Skill Matrix、レベル定義表など見える化が進むほどモチベーションが持続。
5. よく比較される資質との違い
5-1 成長促進 vs 個別化(Individualization)
項目 | 成長促進 (Developer) | 個別化 (Individualization) |
---|---|---|
注視点 | 成長の過程 | 人のユニークさ |
喜び | 小さな進歩を目撃 | 適材適所を設計 |
リスク | 過保護 | 成長プロセス軽視 |
相互補完 | 個別化が配置デザイン → 成長促進が育成プランで加速 |
5-2 成長促進 vs 最上志向(Maximizer)
項目 | 成長促進 | 最上志向 (Maximizer) |
---|---|---|
フォーカス | 未熟 → 良 | 良 → 卓越 |
モチベ源 | 伸びしろ | 卓越度 |
リスク | 成果速度が遅いと焦ったく感じる | 完璧主義で着手遅延 |
補完関係 | 成長促進が底上げ → 最上志向が尖らせブランド化 |
6. まとめ
成長促進は “人の伸びしろを見つけ育む育成エンジン” として、組織に学習文化・高エンゲージメント・長期的人材プールをもたらす資質です。
- 特徴:小さな成功を察知・賞賛し、伴走しながら成長を習慣化
- 活かし方:マイクロ成長ジャーナル、ストレッチ目標、フィードフォワード、ピアラーニング場、育成KPI
- 注意点:過保護、努力偏重、成長速度ギャップ、自分の学習不足に注意
- 付き合い方:育成ミッション委任、成長データ提示、三層フィードバック、範囲・期限設定、可視化ツール導入
- 比較:個別化とは “過程と個性”、最上志向とは “底上げと卓越” の対比
成長促進が適切に活きれば、チームは“結果主義の文化” から脱却し、成長の喜びと持続的なパフォーマンスの向上を両立できます。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を参考に “育成ドライブ” を組織の競争優位へと転換しましょう。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な成長促進は「誰かの変化を見たい」という一方的な期待になりがちで、相手にプレッシャーを与えてしまうことも。
- 成熟すると、相手のペースや価値観に寄り添いながら“見守る力”が備わる。
- 例:以前は「変わってほしい」という気持ちが先行したが、成熟後は「変わろうとしていること自体」に感動し、温かく支援できるようになった。
2. 「聴く力」とのバランス
- 成長促進が強い人は、相手の可能性にワクワクしてしまい、話の途中でアドバイスや励ましを入れたくなることがある。
- その結果、「ちゃんと聞いてくれてない」「急かされてる」と感じさせてしまうことも。
- 「今日はどんなことを大切に話したいですか?」と相手の主体性を尊重する問いが、信頼の土台を築く。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 共感性(Empathy)×成長促進
→ 相手の心の動きに共鳴しながら、小さな変化を喜べる“心の伴走者”。 - 最上志向(Maximizer)×成長促進
→ 平均的な結果では満足せず、才能を引き上げるコーチ型支援者として活躍。 - 調和性(Harmony)×成長促進
→ 無理に引っ張らず、環境や人間関係に配慮しながら支える“静かな育成者”。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 相手の成長を温かく信じ、過程を大切にする支援ができる。
- 小さな進歩に気づいて称賛し、自己効力感を育む存在となる。
ベースメント(低成熟度):
- 変化の遅さにいら立ち、過干渉や指示過多になりがち。
- 「この人は可能性がない」と決めつけ、支援対象の選別思考に傾くことも。
5. デジタル時代における活かし方
- オンライン学習やSlackの進捗報告チャンネルで、仲間の小さな成長に気づいて声をかける存在として輝く。
- KPIや成果だけでなく、「努力した過程」を認める文化の醸成に貢献できる。
- 1on1ミーティングやフィードバックシートを活用し、言語化されたエンパワメントを届けられる。
7. 成長促進の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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