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糖化最終産物(AGEs)とは?健康と老化への影響を徹底解説
みなさんは「糖化最終産物(Advanced Glycation End Products)」、「AGEs(エージス)」という言葉を聞いたことがありますか? 近年、美容や健康分野で注目度が高まっている用語のひとつです。AGEsは、私たちの身体にさまざまな悪影響を及ぼす可能性がある物質として知られています。シミやシワなどの肌の老化を促進するばかりでなく、生活習慣病などのリスクを高める原因にもなりうるため、健康志向の人々から大きく注目されるようになりました。
本記事では、AGEsがいったいどのようにして生成されるのか、その種類や身体への影響、そしてAGEsをできるだけ増やさないための対策方法を幅広く解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
1. AGEsの基本:どのようにして生まれるのか
AGEsの正式名称は「Advanced Glycation End Products」です。日本語では「最終糖化産物」「終末糖化産物」などと呼ばれることもあります。「糖化」という言葉が指すとおり、糖質(グルコースなど)とタンパク質や脂質が結合してできる複合物質です。
糖化とは何か?
糖化とは、食事などから摂取した糖質が体内のタンパク質や脂質と結びつく反応を指します。この反応では、体温や酵素の影響も受けながらタンパク質や脂質が変性し、さまざまな物質へと形を変えていきます。その最終段階で生成されるのがAGEsです。
たとえば、私たちの身体のタンパク質は、肌・血管・臓器などを構成する重要な要素です。ですが、糖質が余分にある状態(高血糖状態)が続くと、血中でタンパク質と糖が結合しやすくなり、それが原因となって最終的にAGEsが形成されます。
糖化反応の例:メイラード反応
糖化反応をイメージしやすい例として、「メイラード反応」が挙げられます。これは調理中の食材に起こる現象としてよく知られています。パンを焼いたときに香ばしい焦げ色がつくのも、肉や魚を焼いたときにできるきつね色の表面も、じつはメイラード反応によるものです。糖質とタンパク質が加熱されて褐色になり、独特の風味や色を生み出します。
この反応が体内でも進んでしまうと、私たちの身体の組織に焦げ(=糖化)が広がってしまうイメージです。つまり、AGEsが増えすぎると「身体が内側から焦げつく」ような状態になり、細胞機能や組織の健全性が損なわれてしまうのです。
2. AGEsの種類と発生しやすい状況
AGEsは、一括りに「AGEs」と言っても、その化学構造や発生メカニズムによりさまざまな種類があります。代表的なものとしては、「カルボキシメチルリシン(CML)」や「ピリリン(Pyralline)」「ペントシジン(Pentosidine)」などが挙げられます。これらは研究においてよく計測対象となるAGEsです。
2-1. 高血糖状態での生成
最も分かりやすいAGEs生成の状況は、高血糖状態が続くときです。血糖値が高いと余分な糖が血管内を巡り、タンパク質や脂質との結合が促進されます。その結果としてAGEsが増えやすくなります。そのため、糖尿病や血糖コントロールが不十分な人では、AGEsの蓄積量も増加しやすい傾向があります。
2-2. 食品の加熱過程や保存過程での生成
AGEsは私たちの体内で生成されるだけでなく、食品そのものにも含まれることが確認されています。加熱調理の過程でメイラード反応が進みやすいため、以下のような調理法でより多くのAGEsが生成されます。
- 高温・短時間の加熱(揚げ物、焼き物、炒め物など)
- 焦げ目がつく調理(オーブン焼き、焼き魚、グリルなど)
また、加工食品の製造・保存過程でもAGEsが形成されるケースがあります。調理によるおいしさの一因である「香ばしさ」「焦げ」の背後にはAGEsの存在があるといっても過言ではありません。
3. AGEsが身体にもたらす影響
AGEsは私たちの身体でどのような悪影響を及ぼすのでしょうか? 大きく分けると、「加齢・老化の促進」と「生活習慣病リスクの上昇」が代表的です。
3-1. 肌や血管の老化を促進する
AGEsはタンパク質を変性させ、肌や血管などの弾力を失わせる原因となります。たとえば、肌のハリや弾力を保つコラーゲンは、AGEsと結合して硬くなりやすいタンパク質のひとつです。こうしてコラーゲンが硬く変性すると、シワやたるみが生じやすくなり、肌の老化を早める一因になります。また、血管の壁にもAGEsが蓄積すると、動脈硬化の進行が早まる可能性があるため、循環器系にも悪影響を及ぼします。
3-2. 生活習慣病のリスクを高める
AGEsの影響は肌だけにとどまりません。血管が硬化すると高血圧になりやすくなったり、血管の内皮機能が低下したりして、結果的に心筋梗塞や脳卒中といった重篤な疾患を引き起こすリスクが増大します。また、AGEsは炎症反応を促進する働きもあるとされており、全身的な慢性炎症の原因になる可能性が指摘されています。慢性炎症は、がんやアルツハイマー病などさまざまな疾患と関連することが研究で明らかになっており、AGEsによる炎症増幅のメカニズムも注目されています。
3-3. 糖尿病との関連
糖尿病は血糖値が慢性的に高い状態が続く疾患です。前述のとおり、高血糖状態が続くとAGEsの生成量も増加してしまいます。そして、一度AGEsが増えると、さらにインスリンの働きを阻害し、血糖コントロールを悪化させるという悪循環が生じる恐れがあります。血糖コントロール不良による合併症(腎障害、網膜症、神経障害など)の進行にもAGEsが深く関わっている可能性が示唆されています。
4. AGEsを増やさない生活習慣とは?
AGEsを完全にゼロにすることは不可能ですが、できるだけ増やさないように生活習慣を工夫することで、老化を遅らせたり、生活習慣病リスクを軽減したりすることが期待できます。ここでは、具体的な方法をいくつか紹介します。
4-1. 血糖コントロールを意識する
最も重要な対策のひとつは、血糖値の急激な上昇を避けることです。
- 低GI食品の活用
GI(グリセミック・インデックス)の低い食品を選ぶことで、食後血糖値の急上昇をある程度抑えられます。玄米、野菜類、豆類など、ゆっくり吸収される炭水化物を意識して摂取しましょう。 - 食物繊維をしっかり摂る
野菜や果物、海藻、きのこ類などから食物繊維を取ると、糖質の吸収を緩やかにし、血糖コントロールの改善につながります。 - 適正なエネルギー摂取
過度のカロリー摂取は肥満や高血糖を招きます。自分の活動量に見合ったバランスの良い食事を心がけましょう。
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4-2. 調理法の工夫
高温・短時間で加熱するとAGEsが増えやすいため、できるだけ以下のような調理方法を取り入れるのも対策になります。
- 茹でる・蒸す・煮る
水分を多く含む調理法は温度が比較的低めに保たれるため、AGEsの生成を抑えやすいとされています。 - 焦げ目をつけすぎない
焦げた部分にはAGEsが多く含まれていることがあります。焼き色があまり濃くならないように工夫しましょう。
4-3. 抗酸化物質の摂取
AGEsは酸化ストレスとも深く関連しています。ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化物質を豊富に含む食品を摂取することで、AGEsの形成をある程度抑制できるとの研究結果もあります。
- ビタミンC:柑橘類、キウイ、パプリカ、ブロッコリーなど
- ビタミンE:アーモンド、ピーナッツ、かぼちゃの種、オリーブオイルなど
- ポリフェノール:ベリー類、ココア、大豆食品(イソフラボン)など
4-4. 適度な運動習慣
運動は血糖値コントロールや代謝の改善に寄与します。また、運動によって生じる適度なストレスが抗酸化酵素を活性化し、AGEsの生成や蓄積を抑制する働きにも期待できます。有酸素運動を中心に、週に数回、30分~60分程度を目安に継続する習慣を身につけましょう。
※過度な運動は活性酸素を発生させるので、運動のし過ぎにも注意が必要です。
4-5. 禁煙・節酒
タバコの煙にはさまざまな有害物質が含まれ、AGEsの生成や酸化ストレスを増大させます。また、過度の飲酒は血糖値の乱高下や肝機能障害を引き起こし、間接的にAGEs生成を促進する可能性があります。健康維持のためにも、禁煙や節酒は大切な対策といえます。
5. その他のAGEs対策:サプリメントの活用
AGEs対策は食生活や運動などのアプローチが基本ですが、サプリメントも注目されています。
- サプリメント
ビタミンCやビタミンE、αリポ酸、カルノシンなどは、体内でAGEsを抑制する働きがあるとされています。ただし、サプリメントに頼りすぎると過剰摂取のリスクや他の栄養素とのバランスが崩れることも考えられます。あくまで補助的な役割として、基本は食事で必要な栄養素を摂ることが望ましいです。サプリメントを使う際には専門家の助言も取り入れると良いでしょう。
6. AGEsにまつわる誤解・注意点
6-1. 食べてはいけない食品はない
「AGEsを増やすから、この食品は一切口にしないほうがいい」という極端なアドバイスを耳にすることがあります。しかし、実際には焦げ目がついた食品や甘いものなど、私たちの日常生活で楽しむ食べ物の多くに何らかの形でAGEsが含まれています。すべてを排除しようとすると、栄養バランスを崩したり、ストレスを溜めたりしかねません。大切なのは「食べすぎない・焦がしすぎない・血糖値を安定させる」といったバランスのとれた対策です。
6-2. 老化はAGEsだけが原因ではない
AGEsはたしかに老化を進める一因と考えられていますが、老化現象は酸化ストレス、遺伝的要因、ホルモンバランスなど多角的な要因の影響を受けます。AGEsを抑えることは大切ですが、それだけですべての老化現象を防げるわけではありません。総合的な健康管理が必要です。
6-3. 血糖値を下げすぎるリスク
血糖コントロールが重要とはいえ、極端な糖質制限などで血糖値を低くしすぎると、エネルギー不足や栄養バランスの乱れ、ホルモンバランスの崩れを招くことがあります。適正範囲での血糖管理を目指し、専門の医師や栄養士の指導を受けながら調整することが望ましいでしょう。
7. まとめ:日常生活での小さな習慣がAGEsを左右する
AGEsは私たちの身体を内側から焦がすように、肌や血管をはじめとするさまざまな組織に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、だからといって悲観する必要はありません。日常生活のちょっとした工夫や習慣の積み重ねが、AGEsの生成や蓄積を抑え、健康と美容を守る大きな力になります。
- 血糖コントロールを意識した食生活
- 焦げ目を極力抑えた調理法の選択
- 抗酸化物質を豊富に含む食品の摂取
- 適度な運動
そして、必要に応じてサプリメントを上手に活用すれば、より内外からAGEs対策を行うことができます。老化を完全に止めることは不可能ですが、「できるだけ若々しく健康に年齢を重ねたい」という思いは、多くの人が抱く願いではないでしょうか。
ぜひ今回ご紹介した情報を参考に、AGEs対策を日頃の生活に取り入れてみてください。大切なのは無理なく続けること。小さな習慣の変化が、5年後、10年後の健康や美しさに大きな違いを生むかもしれません。
免責事項 : 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的・専門的なアドバイスの代替を意図するものではありません。具体的な疑問や不安がある方は専門家の判断を仰いでください。
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