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ミッション・ビジョン・バリュー完全ガイド:策定から浸透までの実践ステップ

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ミッション・ビジョン・バリュー


企業や組織、あるいは個人が活動の指針を明確にするためによく用いられるのが「ミッション」「ビジョン」「バリュー(価値観)」というフレームワークです。これらをしっかり定義し、社内外に浸透させることで、組織文化の醸成やステークホルダーとの共感形成、そして一貫性のある意思決定を支える羅針盤となります。本記事では、それぞれの概念の定義と違い、相互関係、策定プロセス、企業・組織における活用事例、そして実践する際のポイントを解説します。


1. ミッション(使命)とは何か?

定義
ミッションとは、組織や個人が「存在する意義」や「社会に果たすべき役割」を示す宣言文です。外部環境や時代の変化に左右されない、普遍的な価値を秘めています。

主なポイント

  • 「なぜ存在するのか?」を言語化
  • ステークホルダー(顧客、社員、株主、社会など)への約束
  • 中長期にわたって変わらない普遍性

ミッションを掲げることで、組織のカルチャーや採用基準、さらには経営判断の軸が明確になります。


2. ビジョン(将来像)とは何か?

定義
ビジョンとは、ミッションを達成するために「将来どのような姿を実現したいか」を描いた目標像です。具体的なイメージと数値目標、あるいは到達時期を含める場合もあります。

主なポイント

  • 「いつまでに」「何を」「どのようにして」実現するか
  • 組織やメンバーが共感し、ワクワクする未来像
  • 定期的なレビュー・更新が前提

ビジョンを共有することで、日々の業務やプロジェクトが将来像とどうつながるかを意識しやすくなります。


3. バリュー(価値観)とは何か?

定義
バリューとは、組織や個人が「大切にする価値観」や「行動規範」のこと。ミッションの遂行やビジョンの実現において、どのような心構え・行動様式を重視するかを示します。

主なポイント

  • 行動レベルのガイドライン
  • 判断や意思決定の「拠り所」
  • 社員の行動評価、報酬制度にも反映可能

バリューを明文化することで、採用面接やオンボーディング、社内評価に一貫性が生まれ、カルチャーが醸成されます。

4. 具体的な企業例

トヨタ自動車(Toyota Motor Corporation)

  • ミッション
    “Producing Happiness for All”
  • ビジョン
    “Creating Mobility for All”
  • バリュー
    “The Toyota Way”

Google

  • ミッション
    “to organize the world’s information and make it universally accessible and useful.”
  • ビジョン
    “to provide access to the world’s information in one click.”
  • バリュー(公式「Ten things we know to be true」より一部抜粋)
    1. Focus on the user and all else will follow.
    2. It’s best to do one thing really, really well.

Salesforce

  • ミッション
    “Founded in 1999, Salesforce is the global leader in Customer Relationship Management (CRM)… enabling companies of every size and industry to connect with their customers in a whole new way.”
  • ビジョン
    “Salesforce is the customer company. We make cloud-based software designed to help businesses connect to their customers in a whole new way…”
  • バリュー(公式5つのコアバリュー)
    1. Trust
    2. Customer Success
    3. Innovation
    4. Sustainability
    5. Equality

リクルート(Recruit Holdings)

  • ミッション
    「まだ、ここにない、出会い。」 より速く、シンプルに、もっと近くに。
  • ビジョン
    「Follow Your Heart」 一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生…
  • バリューズ(大切にする価値観)
    1. 新しい価値の創造 / Wow the World
    2. 個の尊重 / Bet on Passion
    3. 社会への貢献 / Prioritize Social Value

Sony Group Corporation

  • Mission
    “A company that inspires and fulfills your curiosity.”
  • Vision
    “Using our unlimited passion for technology, content and services to deliver groundbreaking new excitement and entertainment, as only Sony can.”
  • Values (Sony’s Purpose & Values より)
    1. Dreams & Curiosity
      Pioneer the future with dreams and curiosity.
    2. Diversity
      Pursue the creation of the very best by harnessing diversity and varying viewpoints.
    3. Integrity & Sincerity
      Earn the trust for the Sony brand through ethical and responsible conduct.
    4. Sustainability
      Fulfill our stakeholder responsibilities through disciplined business practices.

5. ミッション・ビジョン・バリューの違いと連携

要素定義役割時間軸
ミッション存在意義・使命組織の軸・普遍的価値不変社会への約束
ビジョン将来像・目標目指すゴール中長期具体的到達点
バリュー行動指針・価値観日々の行動ルールフレキシブル判断基準
  1. 方向性の統一:ミッションが「北極星」であれば、ビジョンは「航路」、バリューは「船を動かすための帆やエンジン」と例えられます。
  2. 相互補完:ミッション→ビジョン→バリューの順に策定すると、一貫性を保ちやすくなります。
  3. コミュニケーション:社内外に向けて同じストーリーを伝えることで、ステークホルダーの共感を獲得します。

6. ミッション・ビジョン・バリューを策定するステップ

  1. 現状分析
    • 社内インタビュー、アンケート、ワークショップ
    • 競合や顧客ニーズ、市場環境のリサーチ
  2. コア理念の抽出
    • 企業がこれまで大切にしてきた価値や成功体験の棚卸し
    • 創業者や経営陣の想いのヒアリング
  3. 草案の作成
    • ミッション→ビジョン→バリューの順でドラフト
    • ショート文/サブ文を用意し、伝わりやすさを追求
  4. 社内検討・承認
    • ワークショップやディスカッションでブラッシュアップ
    • 全社員アンケートやパネルを活用して合意形成
  5. 社外公開・浸透施策
    • Webサイト、社内イントラ、パンフレットで発信
    • ワークショップ・研修、表彰制度やOKRに組み込む
  6. 定期的な振り返り
    • KPIやOKRとの連動状況を評価
    • 社会環境や事業戦略の変化に合わせて微調整

7. 企業・組織における活用事例

7.1 ITベンチャーA社の場合

  • ミッション:テクノロジーで人々の学びを解放する
  • ビジョン:2030年までに世界中の1億人に無償学習機会を提供
  • バリュー
    1. Learner First(学習者第一)
    2. Think Big, Act Fast(大胆に考え、迅速に動く)
    3. Iterate Relentlessly(粘り強く改善し続ける)

→ 学習プラットフォーム開発の全プロジェクトが「Learner First」で評価され、機能選定やUX設計の判断基準となっている。

7.2 製造業B社の場合

  • ミッション:ものづくりを通じて地域社会の持続可能な発展に貢献する
  • ビジョン:環境負荷ゼロの工場を国内5拠点に展開
  • バリュー
    1. Safety & Quality(安全と品質)
    2. Teamwork & Respect(チームワークと尊重)
    3. Kaizen Spirit(改善の精神)

→ ISO認証取得プロセスや安全教育、品質管理ルールがバリューに紐づき、組織横断の改善活動が活性化。

※事例で登場する「ITベンチャーA社」と「製造業B社」は、あくまでイメージしやすくするための架空企業です。実在の企業ではありませんので、具体的な業務内容や数値は参考例としてご覧ください。


8. 実践する際のポイント

  1. シンプルかつ覚えやすい言葉選び
    • 長い文章や抽象的すぎる表現は浸透を妨げる
  2. 具体的な行動例を添える
    • バリューごとに「こんなときはこう動く」といった行動例を示す
  3. トップダウンとボトムアップの両輪で浸透
    • 経営層のコミットメント+現場の共創ワークショップ
  4. 日常のコミュニケーションに組み込む
    • 朝会、1on1、評価面談、社内報などで定期的に言及
  5. KPI/OKRとの連携
    • 目標設定にミッション・ビジョン・バリューを反映
  6. 社外への発信も怠らない
    • 採用ページ、SNS、プレスリリースで“らしさ”を発信

9. 個人における応用例

組織だけでなく、フリーランスや個人事業主でも同様のフレームワークを活用できます。

  • 個人ミッション例:「コーチングを通じて人の可能性を解き放つ」
  • 個人ビジョン例:「5年後に年間100人のクライアントの人生を変える」
  • 個人バリュー例
    1. Empathy First(共感第一)
    2. Lifelong Learning(生涯学習)
    3. Integrity(誠実さ)

→ ブログ執筆やSNS発信、クライアント面談での言動が一貫し、ブランディング力が向上。


10. まとめ

ミッション・ビジョン・バリューは、単なるスローガンではなく、組織や個人の行動と意思決定を支える“生きた言葉”です。それぞれの定義を正しく理解し、相互に一貫性をもたせて策定・浸透させることで、組織文化の醸成やステークホルダーとの共感形成、そして持続的成長を実現できます。策定後も定期的に振り返り、自らの活動や環境変化に合わせてアップデートを重ねる姿勢が重要です。本記事を参考に、ぜひ貴社・ご自身のミッション・ビジョン・バリューを見直し、真に人々の共感を呼ぶ指針を築いてください。


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