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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」の 34 資質の中でも 未来志向(Futuristic) は、“まだ誰も見たことのない光景を鮮明に描き、人々をその未来へと引き寄せるビジョンメーカー” と評される思考系資質です。遠い将来を臨場感たっぷりに語る力は、チームの希望を高め、行動を方向づける強烈な磁力を持ちます。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の 5 つの観点から、未来志向を徹底解説します。
1. 未来志向の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “ワクワクする将来像を思い描き、共有したい” |
思考プロセス | 理想の状態を映像のように具体的に想像。未来から逆算して現在の価値や優先順位を判断。ビジョンを語ると表情・語調が一変し周囲を巻き込む。 |
強みの現れ方 | 長期戦略やロードマップの起点を示す。チームに希望と方向性を与えモチベーションを向上。イノベーションや改革の旗振り役になる。 |
価値提供 | 変化の激しい時代に “先の明かり” を提示し、人々を不安から行動へ導く。 |
キーワード | ビジョン/希望/逆算思考/着火力/長期視点 |
2. 未来志向を最大限に活かす方法
- ビジョンの可視化ツールを活用する
ビジョンボード、ストーリーボード、モックアップ動画など “未来の絵” を共有すれば説得力が格段に高まります。 - “なぜそれが価値を生むのか” を必ず添える
未来像だけでなく「その結果、顧客はどう感じるか」「社会にどんなインパクトがあるか」を語ると共感が広がります。 - 中間マイルストーンを設定し逆算計画を作る
未来志向は長期ゴールには強い一方、目先のタスクがぼやけがち。道中を区切ると推進力が維持できます。 - イノベーション提案の起爆剤に
定例会で “未来ジャムセッション” を設け、10 年後の顧客体験を自由に語ると新規事業のシーズが生まれます。 - “希望の物語” を発信し続ける
社内メルマガ・全体ミーティング・SNS などでビジョンを繰り返し共有し、組織文化に浸透させましょう。
3. 未来志向に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
現実味の欠如 | 壮大すぎて「絵に描いた餅」と受け取られる | ビジョンに数字・フェーズ・MVP(Minimum Viable Product) など現実的指標を紐づける |
短期課題への無関心 | 日々のオペレーションや細部に集中できない | 週次で “目の前の成果” を可視化するレビューミーティングを設置 |
理想と現状のギャップによる失望 | “今” にイライラしチームへ苛立ちをぶつける | ギャップを “学習の余地” と再定義し、小さな前進を称賛 |
周囲との温度差 | 他メンバーが追いつけず “SF好き” と敬遠 | ストーリーを段階的に見せ、意見を取り入れて共創モードに |
4. 未来志向を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- “理想の未来像” を語ってもらう時間を確保
ワークショップや1 on 1で「5 年後どうなっていたい?」と尋ねると才能が開花。 - ビジョンと KPI をリンクさせる
「その未来像を達成すると今期売上がどう伸びる?」と現実的な線をつなぎ、実行チームを安心させる。 - 短期タスクをペアで管理する
未来志向は細部のタスク管理よりビジョンセットに集中したい。達成欲や目標志向を持つメンバーと組ませると最高。 - “熱狂の伝播役” として場をデザイン
キックオフや全社会議の場でプレゼンを依頼し、士気を底上げしてもらうと効果的。 - 早すぎる批判は封印し、プロトタイプで検証
未来志向のアイデアは未成熟で抽象度が高い傾向がある。まず小さく試せる方法を一緒に考えることで創造性を守る。
5. よく比較される資質との違い
5-1 未来志向 vs 戦略性(Strategic)
項目 | 未来志向 | 戦略性 |
---|---|---|
主要フォーカス | 目的地 を描く | 経路 を描く |
時間軸 | 遠い将来像 | 目先〜中期のシナリオ |
ドライブ源 | ワクワクする理想 | 最短でゴールへ行くスマートさ |
行動トリガー | 魅力的なビジョン共有 | 選択肢比較と意思決定 |
コンビ活用 | 未来志向が描く理想を、戦略性がロードマップに落とし込むと実現性が飛躍的に高まる |
5-2 未来志向 vs 着想(Ideation)
項目 | 未来志向 | 着想 |
---|---|---|
アイデアの源泉 | 遠い将来のイメージ | 目の前の概念同士の化学反応 |
話す内容 | ビジョン・物語 | アイデアの組み合わせ・可能性 |
強みの形 | 人を鼓舞する “大きな絵” | 多面的で斬新な発想の量 |
リスク | 実行プランの不足 | アイデア散漫で焦点がぼやける |
コンビ活用 | 着想が量産した斬新なアイデアを、未来志向が長期ビジョンに束ねて旗印にする |
6. まとめ
未来志向は “まだ存在しない世界をリアルに描き出し、周囲をその未来へ動かす” 資質です。
- 特徴:ビジョンを映像のように語り、希望と方向性を提供
- 活かし方:ビジョンの可視化・WHY の共有・逆算計画・未来ジャムセッション・物語発信
- 注意点:現実味の欠如・短期への無関心・ギャップへの失望・温度差に注意
- 付き合い方:語る場を整備し KPI と連動・タスク管理のサポート・アイデア検証の場づくり
- 比較:戦略性とは “目的地と経路”、着想とは “大きな絵と多様な発想” の違い
未来志向が輝けば、組織は “不確実性” を “創造的冒険” へと転換できます。あなた自身やチームメンバーにこの資質があるなら、本稿を手がかりに “未来へのワクワク” をエネルギーに変え、今日の行動を動かしましょう。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な未来志向は「夢物語を語って終わり」になりがちで、現実とのギャップに失望したり、周囲に理解されにくい。
- 成熟すると、「理想を語るだけでなく、それを“共に目指せるビジョン”として共有し、実行の動機に変えるファシリテーター」になる。
- 例:かつては「10年後こうなっていたい」と言って終わっていたが、成熟後は「そのために今日どう動くか」まで話せるようになる。
2. 「聴く力」とのバランス
- 未来志向は「語る力」に優れるが、ビジョンを押し付けがちになると「現実を見ていない」と感じられてしまう。
- 相手の不安や現実的制約を先にじっくり聞いたうえで、それでも可能性がある未来を語る姿勢が信頼を生む。
- 聞いた内容をビジョンに反映することで、「共に描く未来」へと進化する。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 目標志向(Focus)×未来志向
→ 遠い理想像を「目標に分解」して一歩ずつ進む“夢の実行者”タイプ。 - コミュニケーション(Communication)×未来志向
→ 鮮明な未来をストーリーテリングで語り、人の心を動かす“ビジョンの伝道者”。 - 収集心(Input)×未来志向
→ 未来の構想に必要な情報・知見を多方面から集めてくる“知識と未来の架橋者”。
4. バルコニーとベースメントの対比
- バルコニー(高成熟度):
- 理想と現実をつなぐ言葉を持ち、「この未来を共に創ろう」という形で人を巻き込むビジョンリーダーとなる。
- ビジョンを絵空事にせず、希望・構造・意義の3点セットで共有できる。 - ベースメント(低成熟度):
- 「話は壮大だけど、動かない/動けない人」という印象を与えがち。
- 日常業務との乖離が大きく、「ロマンだけ語る人」扱いされるリスク。
5. デジタル時代における活かし方
- 未来志向は、イノベーション戦略、プロダクトビジョン、ブランディング構想など、未来を描く力が求められる分野で強く機能する。
- メタバース、AI、気候変動、ウェルビーイング社会など不確実な変化領域で“次の可能性”を示す存在になれる。
- デジタルツールを使って、未来の姿を視覚的に示すことで説得力が高まり、チーム内外への影響力が拡大。
7. 未来志向の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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