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あの~、コーチングを受けたいと思っているのですが、そもそもコーチングって何なのかがぼやっとしているんです。。。
そうなんだね。じゃあ、今日はコーチングの歴史を学び、納得度高くコーチングを受けられる状態にしようね!
本日はコーチングを受けるうえで知っておきたいコーチングの歴史における最低限の概要と個人的な見解をまとめていきます。コーチングの歴史への理解を深めることで、安心してコーチングを受られ、人生に変化を起こすことができますように。
コーチングの歴史
それではまず初めに、コーチングの語源とその生い立ちから見ていきましょう。
コーチングの語源
コーチングは馬車を表す古いアングロサクソン語から来ています。英語のCoachは”馬車”という意味で、服飾ブランドの”COACH”のロゴも馬車が施されていますね。現在の場所から、行きたい場所へと人を運んでくれるという意味です。中世のハンガリーに城塞都市のコチという町があり、そこは当時の輸送の運重要拠点でした。そこでは多くの馬車が行き交い、自然とコチでは多くの馬車が作られるようになります。ハンガリー人はその馬車を”コチ・ケセール”と呼びました。つまり「コチの馬車」という意味です。このコチの馬車はヨーロッパ中へと広がり、やがてその馬車は、それを作った町の名前で呼ばれるようになりました。これがコーチの語源です。コーチは人を目的地まで連れて行くだけでなく、人生という旅の目的地まで連れて行く、最善の、そして洗練された手段でもあるのです。
コーチングの生い立ち
コーチングという手法は、よくよく周りを見渡してみれば、ありとあらゆる場面で使われています。そして、その手法が体系的に理論化されてからの歴史はまだ浅いのです。コーチングは1980年代以降にアメリカで発展し始め、実の所まだ40年程の歴史しかありません。コーチがハンガリーの町であるコチに由来することは前述したとおりですが、20世紀になるとコーチングはスポーツの中で中心的な役割を果たしていきます。ここでいうコーチは、現代でいう「答えをはクライアントの中にある」「コーチは教えない」という定義とは毛色が異なり、より先生に近い役割を果たしていました。しかし、教えるという役割だけではなく、①メンター(助言者)であったり、②モチベーターであったり(意欲を引き出す)、③トレーナー(指導者)という役割を兼ね備えたものでした。現在の部活などにおけるコーチを想像すると分かりやすでしょう。コーチは経験があり、良い選手ではありましたが、必ずしも超一流の選手である必要はありませんでした。これは選手の力を引き出すには、②や③の要素も重要であり、①だけでは不十分だからです。「名選手、名監督に非ず」という言葉もありますが、実績に立脚した①に頼りすぎると、自分の方法論に固執し、それを押し付け、個人の特性や能力を引き出せなくなるリスクがあるからではないでしょうか。現代における「コーチングは教えない」という理論と相通ずるものが、スポーツコーチングの世界からも見て取れます。
人物から見るコーチング
それではここからは、現代のコーチングに大きな影響を与えた人々を見ることで、コーチングへの理解をより深めていきましょう。
ティモシー・ガルウェイ
新インターゲームを出版したティモシー・ガルウェイは私たちが知るコーチングが始まる転換点になったと言われています。彼のテニスへの取り組み方の革新的アプローチは、その後、様々な分野で応用されています。
新インナーゲームで注目すべき点は「敵」に対する捉え方です。彼はテニスプレーヤーは2人の「敵」と対峙していると論じました。それは、テニスコートの向こう側にいる「外なる敵」と自分自身の中に潜む「内なる敵」です。この「内なる敵」は自信を奪ったり、心を動揺させたりといった形で、選手の行動に制限をかけます。スポーツやピアノなどの楽器の経験がある方であれば、一度は感じたことはありませんか?試合や演奏会当日で、試合の相手がやけに強そうに感じてしまったり、演奏前にミスタッチをしてしまったらどうしよう、などと自らを不安に陥れるあの感覚です。インナーゲームでは対戦相手は自分自身なのです。ガルウェイは、人間性心理学、仏教思想、スポーツ心理学、無意識のプログラミングなどからアイディアを得た要素をまとめ上げ、実践的な構造へと融合させていきます。彼の考えは、その後のコーチングにおいて多くの人々の目指すべき指標となりました。
エサレン研究所とEST
このティモシー・ガルウェイがアメリカ海軍の将校時代、サンフランシコに位置する人間性心理学や学術分野の研究において最も重要な拠点だったエサレンで「ヨガ・テニス」というスポーツを始めました。このエサレンはマイケル・マーフィーとディック・プライスによって設立され、西洋と東洋の哲学を融合したワークショップなどで有名になった場所です。この研究所の教師には、アブラハム・マズロー、カール・ロジャーズ、B・Fスキナーなど心理学の巨匠達、NLPに大きな影響を与えた人物も多くいます。また、ティモシー・ガルウェイからテニスのコーチングを受けた、ワーナー・エアハードが1971年にエサレンでETSトレーニングを設立しました。これは大人数を対象にした”気づき”のトレーニングプログラムで大変な人気を博しました。ESTの運営に携わった一人にフェルナンド・フローレスがおり、フローレスのアイディアがその後ジュリオ・オラーラが発展させ、オントロジカル・コーチングの基礎となっています。エアハードの自己啓発トレーニングは当時革新的で、彼の言葉の中には「自分の未来は自分の過去ではなく、自分の未来から判断して創りなさい」という言葉があります。この言葉からも、現代のコーチングが過去よりも未来に焦点を当てている礎が垣間見えます。そして、ティモシー・ガルウェイ、エサレン、そしてESTが現代のコーチングに対して非常に大きな影響を与えたのです。そして、そのエアハードのワークショップを買収した企業の財務担当を務めていたのがトマス・レナードであり、彼が自身の専門(FP)と組み合わせて実施したワークショップが大きな反響を呼ぶこととなります。
トマス・レナード
コーチングの歴史、そしてその発展に最も貢献した人としてまず名前があがるのがトマス・レナードです。彼は1988年に「デザイン・ユア・ライフ」というコースで指導を始めました。コーチングはライフプランニングという文脈から発展してきたのです。そして”コーチング”はレナードに率いられ、志を共にした創造性あふれる人たちの中から生まれたのです。この人たちの中には、あのCTI(コーチ・トレーニング・インスティチュート)の創設者であるローラ・ウィットワースもいます。彼女は1988年にレナードの第一回ライフプランニングセミナーに参加しています。また、その他にもCTIのヘンリー・キムジーハウス、キャサリン・ハウスなども参加しています。レナードはアイディアや理論を構築する天才で、次々とアイディアを出していきましたが、気分転換で時に姿を消すこともありました。1991年にはローラ・ウィットワースがCTIを、翌年にはトマス・レナードはコーチ・ユーを設立、お互いに凌ぎを削りつつ、交友関係も続いていました。そして、レナードは1994年に現在のICFの礎となる国際コーチ連盟を立ち上げます。この頃からコーチングトレーニングは電話で行われるようになりました。その頃は前述したESTモデルの大人数での対面方式が主流だったのですが、電話クラスの導入で、多くの人が遠方でもコーチングを学べるようになりました。その流れは現在オンラインへと移行しています。トマス・レナードは金融アドバイザーであり、起業家でもありました。特徴としては会社を起こすと、その運営には興味を示さず1996年にはコーチ・ユーを売却し、2001年には新たにコーチヴィルを立ち上げるなど、今で言うシリアルアントレプレナーの才も兼ね備えた天才であったと推察できます。そして、彼は2003年に47歳という若さでこの世を去りました。
コーチングとは何か?
それではここからコーチングの定義や、コーチングに影響を与えた東洋哲学との関係性について深めていきます。
コーチングの定義
さて、まずはコーチングの様々な定義を見ていきましょう。掻い摘んで言うとコーチングは目標達成をする為の手段であり、人々が充実し、満足した生活を送るサポートをするものですが、以下の通り、非常に多くの定義があります。
ここで、”コーチングの全て”に列挙されているコーチングの定義をみていきましょう。
コーチングとは、個人の仕事や生活の中での目標達成と能力強化を促進する、認知、感情、行動の持続的変化である
コーチングとは、他者の能力、学習、成長を促進する技術である
コーチングとは、自己を成長させ、より有能な人物となるための必要な手段、知識、機会をその人に身につけさせることである
コーチングとは、個人の潜在能力を解放し、その人自身の能力を最大限に高めることである。コーチングは、その人が学ぶことを支援するものであり、その人を指導するものではない
コーチングとは、人々が生活の中で重要な変化を遂げるための強力な関係である
コーチングは、その人が望む方法で変化することを手助けし、また進みたい方向に進む手助けをする。そして、「なりたい自分」になりつつあるレベル、あるいは「自分で可能な限り最高の存在」でいるレベル、そうした全ての段階でその人を支援するのもである
コーチングは学習に関わるものであり、(中略)コーチとクライアントは共に学習する強力関係を結ぶ
引用:コーチングの全て
このように多くの定義が存在しつつも、
・コーチングは答えを授けるものではなく、手がかりを与えるもの
・学習や行動を通した持続的変化や目標達成、成長を支援するもの
・変化を遂げる為の強力な関係性
など、様々な定義の中にも大まかな合意が見て取れます。
※以下のブログ記事では、コーチングの流派別の定義から見て取れるコーチングの核心も記事にしているので、是非合わせてお読みください。
コーチングの定義って何? 【4つの定義から解説】 |ライフコーチング |コーチングエル
この記事は約5分46秒で読むことができます。 目次 / Contents コーチングの定義って何? – 4つの定義から見えるコーチングの核心 –代表的なコーチングの4つの定義国 …
コーチングと東洋哲学
コーチングは東洋哲学から大きな影響を受けています。1960年代、欧米では仏教思想や東洋思想への関心が高まっていました。西洋の哲学や宗教の大部分は行動や目標の達成を重視していた一方で、東洋的アプローチは”存在”に重きを置いていました。西洋理念では物質の外側に神を求め、また、神を征服しようという試みがありましたが、東洋的アプローチは直接的経験、つまり内側に神を求めました。様々な瞑想が人気を博し、中でも禅宗は大きな注目を集めました。心を静め、不要な考えを手放し、内側の中核を見つけ出す手段は多くの人々に受け入れられました。コーチングは様々な東洋思想と関連性を持っています。先述したエサレンでは多くの東洋哲学が教えられ、西洋哲学に取り入れられました。1962年にはエサレンの共同設立者のマイケル・マーフィーはインドで瞑想の修行を行い、新インナーゲームの著者のティモシー・ガルウェイは東洋の宗教的指導者であるマハラジの教えに従っていました。後述するオントロジカル・コーチングには様々な自己認識のトレーニングが用いられ、その手法にはかなり仏教の影響が見られます。自己認識とは、自分が観察するいかなる経験も、囚われのない心で客観的に捉えることです。仏教の基本は執着を捨てることです。コーチングもまた、クライアントが自分の内側から答えを見つけ出せるように働きかけ、断定的に決めつけず、コーチの考えに誘導しないことを重視します。自らが作り出した思い込みや前提から自らを解放するというフローには仏教と重なる部分が見て取れます。
※近年ではスティーブ・ジョブズが禅から多大な影響を受けていたことはとても有名です。マイクロソフト創業者のビルゲイツやGoogleの元CEOであるエリックシュミットもコーチングの重要性を示していました。著名な起業家や経営者が東洋哲学やコーチングの効果を認めていたことも非常に興味深い点です。
コーチングの種類
コーチングには様々な種類が存在します。先に触れたエサレン研究所から派生したコーチングの流派や、新たに開発されたコーチングモデルなど多岐に渡ります。その中でも代表的なものについて解説していきます。
インナーゲーム
ティモシー・ガルウェイのインナーゲームはコーチングに多大な影響を与えました。また、このインナーゲーム理論はスポーツとビジネスの境界線を超えた最初のコーチングモデルとも言われています。インナーゲームの前提は「外なる敵」と「内なる敵」の双方を扱うものです。当時のビジネスにおいてはコンペティターを如何にして打ち負かすかに視点を当てていましたが、インナーゲーム理論をこれに応用すれば、企業や社員の力をどう最大限引き出し、成果を上げ、企業価値を引き上げるかと考えることができます。
ガルウェイは、人を”二つの自分”に分けるよう提案しています。一つ目は”セルフ1(指示者=the teller)”、二つ目は”セルフ2(実行者=the doer)”です。セルフ1は内なる敵であり、つまりは自我や自己意識、自分が人を支配したいという欲求であり、評価や批判も含まれます。セルフ2は自然な「身体の知恵」であり、教わったことをそのまま内省を挟まずに実行すれば、学んだことをうまくこなせるというものです。
掻い摘んで言えば、何か明確な目標がある場合に、批判や評価を含まず、すなわち「セルフ1をやり過ごす」ことです。スポーツ選手であれ、ビジネスパーソンであれ、何かミスをした際には、自己批判、自己否定といった評価、成長できないという葛藤など、内面に激しい反応が引き起こります。これはまさにセルフ1が暴走している状態であり、この暴走を防ぎ、集中力を高めるのです。この考えはあらゆる環境で応用が可能であり、目標達成とは目的ではなく、自らを律し、自らを克服するための手段へと変貌を遂げるのです。
GROWモデル
GROWモデルは1980年代にインナーゲームをヨーロッパにもたらしたグラハム・アレクサンダーによって考え出されたアイディアです。
GROWとは以下の頭文字を取ったものです。
- G = Goal(目標)
- R = Reality(現実)
- O = Options(選択)
- W = What will you do(意志)
G = Goal(目標)とは
Goalの中には2種類があると定義されています。一つ目のGoalは最終目標であり、二つ目のGoalはプロセス目標です。最終目標へと到達する為には、プロセスを遂行する能力向上が欠かせません。人には関心の範囲があり、その関心の範囲の中に影響をもたらすことのできる範囲があります。例えば、貴方には経済的に豊かになりたいという夢があったとします。その関心に対して、あなたが影響を及ぼせる範囲はどこになるでしょうか?人によっては資格取得だったり、人間関係の構築だったり、そもそものマインドの変化だったりと、様々な影響範囲が存在します。関心の深い最終目標へと到達する為に、影響範囲にある遂行能力を一つ一つ高めていくというイメージです。また、その目標設定を更に具現化する上ではSMARTも役立ちます。SMARTはSpecific(具体的)、Measureable(測定可能)、Agreed(合意済み)、Realistic(現実的)、Timed(with a deadline:期限付き)の頭文字を取ったものです。
R = Reality(現実)
Goalへ到達する為には自分の現在位置を確認する必要があります。例えば、あなたがTOEICで900点を取りたい場合、現在位置を知るために様々ことを検討する必要があります。今現在何点なのか?最近受けたのはいつなのか?リスニングとリーディングどちらの点数が高いのか?単語量は?文法力は?リスニング力は?試験への精通度合いは?などなど、現在位置を知ることで初めて対策を立てることができます。つまり、あなたは今どのリソースを持っていて、どのリソースが足りていないのかを確認することです。現在位置を知ることは、自分を直視することです。理想とのギャップ、変化への恐怖、自己批判など様々な感情が湧き起こる可能性がありますが、そういった評価に囚われず、冷静に自分の立ち位置を把握する必要があります。
O = Options(選択)
ここで言うOptions(選択)とは、正しい答えを導き出すことではなく、選択肢を検討することを意味しています。選択肢を検討する時点では、コーチもクライアントも何が正しい答えなのかは分かりません。この段階では、Goalへ辿り着けるであろうと思われるできるだけ多くの選択肢を出すことです。Realityでも述べましたが、このタイミングでクライントが否定的な思い込みや前提に囚われていると、選択肢が出てこない可能性があります。その際には、コーチングセッションの中でクライアント自身が行動を妨げる思い込みに気づくためのセッションを実施するなどして、自己制限の範囲の中から抜け出せることが必要となります。
W = What will you do(意志)
目標、現状、選択を明らかにしたら、最後は行動です。この段階では行動と結果を明確にする為に、多くの質問をすることになります。その行動をいつまでにするのか、コーチはその結果をどのように知ることができるのか、コーチに何か手伝えることはあるのか、達成する決意はどの程度か?などなど、時期、リソースに関することだけでなく、コミットメントを引き出すような質問を行い、行動と責任を引き出します。
GROWモデルの詳しい記事はこちら
GROWモデルで自己実現:個人とチームの目標を効果的に達成する最強のツール
この記事は約29分28秒で読むことができます。 目次 / Contents GROWモデルで自己実現:個人とチームの目標を効果的に達成する最強のツールGROWモデルとは?Goal(目標)Reality …
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NLP
NLPはNeuro-Linguistic Programmingの略で、神経言語プログラミングと呼ばれています。1970年代にアメリカのカリフォルニア州にあるサンタクルーズ大学で産声を上げました。言語学の専門家であったジョン・グリンダーと数学を学んでいたリチャード・バンドラーが才能というテーマに興味を持っており、優秀な人々を研究することで、才能という謎を解き明かそうとしたのです。彼らはエサレンにいる様々な才能ある人たちを研究対象にしました。その結果生まれたのがNLPです。NLPは先ほども述べた通り、3つの単語から構成されており、詳細は以下です。
NLP
- N:Neuro(神経)とは精神であり、つまり思考を意味しています。
- L:Linguistic(言語)とは人が自分自身や他者に対して影響を及ぼすために言葉を使う手法です。
- P:Programming(プログラミング)目標達成のために、計画を立て行動する方法です。
つまり、言葉がどう思考に影響を及ぼし、行動を変化させるかがNLPの核心です。
またNLPでは変化は3つの方向性から起こせると考えています。
端的に言うと、
一つ目は話し方を変えること
二つ目は考え方を変えること
三つ目は行動を変えること
です。
オントロジカル・コーチング
オントロジーとは”存在論”を意味し、日々人々が考えている思考ではなく、体験していることを示しています。オントロジカルコーチングでは、クライアントの行動よりも、”在り方”に重点を置いています。この点では先に説明したCo-Activeモデルに近いと言えます。クライアントの在り方が、言葉や感情を生み出し、行動を决めるのです。よって、在り方を変化させることがこのオントロジカルコーチングのゴールと言えます。このオントロジカルコーチングという言葉を最初に使い理論を打ち立てたのがフェルナンド・フローレスです。彼はチリ政府の大臣を務めていましたが、軍事クーデターにより投獄されるという異色の経歴の持ち主です。その後アメリカへ移住し、コンサルタントとして働きつつ、独自にオントロジカル・コーチングの中核モデルを構築します。このコーチングモデルはスペインや南米で大きな支持を受けており、主なコーチングステップは以下の通りです。
4つのステップ
- コーチングの対人関係を確立する
- クライアントの心配事を特定して対応。また、生活の破綻状況の程度を確認する。
- クライアントの言語、気分、感情、整理機能を調べる。これらが自分の在り方を構築していることを認識する。
- 言語や気分などの要素がクライアントが破綻状況に対応する妨げとなっている。有用で成果の上がる方法により、クライアントがこうした要素を変えていくことを手助けする。
オントロジカルコーチングではNLPと同様、言語を重要視していますが、NLPでは話された言語自体に注目するのに対して、オントロジカルコーチングでは言語を行動として捉えています。それは将来に対しての約束という行動を行うことと考えているのです。この約束をどのように、無意識に言葉を利用して、その結果、何が起こってしまっているのかを知る為のサポートをしていきます。そして、どのように言語を利用すれば、よりよい現実を構築することができるのかを示すのです。
ポジティブ心理学コーチング
ポジティブ心理学はペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授が生みの親と言われています。このポジティブ心理学のユニークな点は問題への対応よりも、ウェルビーイングや幸福感、精神衛生を重要視していることです。つまり、ポジティブ心理学の研究は幸福で充実している人たちを対象にしています。通常のモデルでは、感情や行動などの問題の原因を突き止め、治療を行っていくという流れでした。しかし、どのようにポジティブな感情を幸福に活用するかといった視点が、これまでの心理学分野では斬新なものでした。
ポジティブ心理学コーチングでは、クライアントの強みや価値観を特定し、それらを強化して仕事や生活に活かしていくことを意味しています。ポジティブ心理学には人間はもっと幸せになりたい、充実した日々を送りたいという前提があります。ポジティブな感情を育てることでネガティブな感情に対応するのです。ポジティブ心理学では悲観主義と楽観主義について研究されており、楽観主義であることが如何に有用であるかを突き止めました(もちろん悲観主義にも重要な役割があるので0か100かということではありません)。つまり、ポジティブ心理学では楽観主義的思考を身につけるサポートを実施していきます。
例えばセリグマン教授は、悲観主義的な嗜好を認識し、反論するモデルを以下のように解説しています。
ABCDEモデル
- A = Adversity(困った状況)
- B = Belief(信念)
- C = Consequences(結末)
- D = Disputation(反論)
- E = Energization(元気付け)
これらのモデルを使うことで、問題対応のサポートだけでなく、思考の癖を変える一助にもなると説明しています。
また、ポジティブ心理学では幸福に至るには3つの経路があると説明しています。
・感情から幸福へ至る道
・内的な活動や外的な活動とのつながりにより幸福へ至る道
・個人の心理的意義により幸福へ至る道
そして、幸福には公式があり、以下のように定義されています。
幸福の公式 H = S+C+V
- H = Enduregin Happiness(持続的な幸福度)
- S = Biological Set Point(遺伝的要因)
- C = Conditions in Your Life(環境要因)
- V = Voluntary Activities(自発的にコントロールできる要因)
自分では変えられない、または簡単には変えられない遺伝や環境的要因だけでなく、自らがコントロールできるVに対して楽観的思考で取り組むことができれば、幸福や充実を感じやすくなるでしょう。
まとめ
さて、本日はコーチングの歴史について学んできました。ここまでコーチングの生い立ちや語源、コーチングに影響を与えた人たち、そして、主なコーチングモデルの概要を説明してきました。このように振り返ると、コーチングは自らに打ち勝つという自己管理、目標達成の手法、クライアントの人生全体に焦点を当てた関係性、言語に注目し思考を変える方法、存在論(在り方)の変化、悲観から楽観への転換など、時代の流れと共に大きく変化してきたことが分かります。手法や着目点が違えど「人がよりよく生きる」という根本的な共通点を見出すことができますね。多くの先駆者たちが昼夜研究を重ねてきた叡智を、敬意の念を持って我々コーチが活かし、人類に貢献していくことが、彼ら偉大な先人たちへの恩返しになるのでは感じます。
また、最後に触れておきたいのはコーチングと東洋哲学との関わりです。私たち日本人はこれまでの人生で、勉強、スポーツ、仕事、ありとあらゆる目標達成、成長プロセスにおいて、”内なる自分と向き合うこと”の重要性を教えられてきました。コーチングには自分の内面に意識を置く東洋哲学を取り入れ、研究され、形になり、発展してきた側面があるのです。その観点からすると、古くから東洋思想に触れてきた日本人の我々には、既にコーチングの基礎的な部分、源流とも呼べる思想がインストールされており、コーチングの基本的な考えである”自ら答えを引き出し、律し、行動し、変化を起こす”という基本的価値観に共鳴する方も多いのではないでしょうか。コーチングという言葉を歴史から紐解いてみると、より我々日本人に、アジア人にとって身近な存在であり、多くの方がコーチングを通して、自らと向き合うことを通じて、内なる答えに辿り着き、充実した日々を送られることを願って止みません。
謝辞
当記事の執筆においては先に掲載した書籍だけでなく、以下より大きな示唆を受けました。心より感謝申し上げます。コーチングを学ぶ、コーチングに興味のある、受けようか悩んでいるという全ての方に手に取っていただきたい一冊です。
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