コーチング 心理学

「グリット(やり抜く力)をどう育てるか?才能ではなく継続が成果を生む理由」

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グリット

はじめに:成功に本当に必要なのは才能か?

アンジェラ・ダックワースのベストセラー『GRIT やり抜く力』は、成功の鍵を「才能」ではなく「情熱と粘り強さ」にあると主張しました。

では、その「やり抜く力(Grit)」はどのように育てられるのでしょうか?

この記事では、子どもから大人まで年齢を問わず、誰でもグリットを高めるための5つの実践的アプローチを紹介します。


1. モデルとなる人を身近に置く(あるいは自分がモデルになる)

人は「やり抜く力」を、他者の行動から自然に学びます。

  • 周囲に、困難を前向きに乗り越えている人がいる
  • 日々淡々と努力を積み重ねている人の姿を見る
  • 継続することの価値を、言葉ではなく態度で示している

こうした環境や人間関係が、「あきらめずに続けることは当たり前だ」という前提を育てます。

大人であれば、自分自身がそのような姿勢を体現することが、周囲への良い影響になります。


2. 「優しさ」と「厳しさ」を両立した環境を選ぶ/つくる

ダックワースは、「高い支援」と「高い期待」の両方がある環境こそが、やり抜く力を育てると述べています。

心理学ではこれを**「オーサタリティブ(権威ある)スタイル」**と呼びます。

支援(共感・援助)少ない支援 多い
期待(基準)高い威圧的な関係賢明な関係
期待(基準)低い放任・無関心過保護

「ぬるま湯」でも「スパルタ」でもなく、挑戦を促しながら安心して失敗できる関係性や職場・学習環境が、グリットの土台を育てます。


3. 「やり抜く文化」を自分の中に育てる

グリットは、個人の意志力だけで成立するものではありません。
むしろ、「この集団ではやり抜くのが当たり前」「途中で投げ出さないのが自然」という文化的背景がある方が、継続は楽になります。

たとえば:

  • 継続を重んじるコミュニティに属する
  • SNSで習慣報告をする
  • 家族やチームで「〇〇をやり切る」ルールを共有する

こうした仕組みが、「自分はやり抜く人間だ」というアイデンティティの形成につながります。


4. 「難しいことルール(Hard Thing Rule)」を実践する

ダックワースが家庭で導入していたシンプルかつ効果的なルールです。

Hard Thing Rule:

  1. 自分で選んだ「難しいこと」に取り組む
  2. 一定期間は途中で辞めない
  3. 期間終了後に継続か変更かを決める

このルールは、大人にも非常に有効です。
たとえば「3ヶ月間だけ続けると決めて学習を始める」「半年は副業を辞めないと決める」など、途中で迷わない設計が継続を支えます。


5. 「成長マインドセット」を養う

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエックが提唱した「成長マインドセット」は、グリットの心理的土台です。

  • 能力は固定されたものではなく、努力によって伸ばせると信じる
  • 失敗を「ダメな自分の証明」ではなく「成長のチャンス」ととらえる

このマインドセットがある人ほど、困難に向き合う粘り強さを持ちやすいとされています。


まとめ:グリットを育てる5つの方法

「才能がすべてではない」と言われても、では何をどう育てればよいのか。その答えの一つがグリット(やり抜く力)です。
これは一朝一夕で身につくものではありませんが、環境や習慣、マインドセットを整えることで、誰でも少しずつ育てていくことができます。

以下の5つは、ダックワースの理論をもとに、実生活で実践しやすい形に整理した育成法です。

方法実践ポイント
1. モデルを見つける/示す継続する姿勢を身近に置く、または自分が体現する
2. 優しさと厳しさを両立する挑戦できる環境と安心できる関係性を両立させる
3. 文化を味方につける継続が自然と促されるような集団・仕組みに属する
4. Hard Thing Ruleを使う自分で選んだ「難しいこと」を一定期間はやり抜く
5. 成長マインドセットを育てる失敗を「成長の機会」と捉える考え方を習慣づける

これらの方法は、子どもにも大人にも共通して有効です。

自分自身や周囲の人に対して、才能の有無よりも、「続けることを支える環境や信念」をいかに整えるかを意識してみてください。
グリットは、意志の力というよりも「仕組みと文化と認知の力」で育つ。そう考えると、誰にとっても再現性のある成長が見えてきます。

最後にもう一度。
継続は、才能を成果に変える力です。
グリットは生まれ持ったものではなく、育てることができるのです。


コラム:才能だけでは足りないのか?― グリットとストレングスファインダーの関係性 ―

「才能があるのに伸び悩んでいる人」と「才能は普通だけど着実に成長している人」――
あなたの周りにも、そんな対照的な例があるのではないでしょうか?

アンジェラ・ダックワースは、まさにこの点を鋭く問い直します。

才能 ≠ 成功

彼女は「才能が成功の要因であることは否定しない」が、才能があってもやり抜く力(グリット)がなければ結果に結びつかないと明言しています。


「才能 × 努力 = スキル」「スキル × 努力 = 成果」

これはダックワースが提示した有名な数式です:

才能 × 努力 = スキル  
スキル × 努力 = 成果

つまり、努力(グリット)こそが、才能を成果に変換するための「掛け算の力」なのです。
努力が0なら、才能がいくら高くても結果は0に近づく、という厳しい現実を示しています。


ストレングスファインダーの視点で見ると?

ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)は、「あなたの思考・感情・行動の自然なパターン(才能)」を34の資質に分類するアセスメントです。

ここで重要なのは、ストレングスファインダーが示すのは「原石」であって「成果」ではないということ。

Gallup社自身も、才能を次のように定義しています:

才能(Talent)=無意識に繰り返される思考・感情・行動のパターン

この才能を強みに変えるには、「意識的な練習と努力(グリット)」が必要なのです。


グリットは才能を「強み」に変える媒介装置

ストレングスファインダーとグリットは、次のような関係性でとらえることができます:

概念内容
才能(Talent)生まれ持った特性・思考パターン(ストレングスファインダー)
努力(Grit)粘り強さ、長期的な情熱、習慣化された継続
強み(Strength)才能に知識・スキル・経験・努力がかけ合わさった状態
成果(Achievement)実社会でのアウトプット、達成、貢献

つまり、グリットは才能を「活かす力」そのものなのです。


たとえば…

  • 「最上志向(Maximizer)」という才能を持っていても、完璧を求めすぎて行動できなければ成果は出ません。
  • 「学習欲(Learner)」を持っていても、途中で興味を失い次々と関心が移っていけば、スキルは積み上がりません。

どちらもグリットの不足によって、才能が実を結ばない例です。


結論:才能を「信じる」だけでは足りない

私たちは時に、子どもや自分自身に対して「才能があるから大丈夫」と期待をかけすぎてしまいます。

けれど、才能とはあくまで「可能性」でしかありません。

ダックワースの言葉を借りれば、

“Enthusiasm is common. Endurance is rare.”
(情熱を持つ人は多いが、それを持続できる人は少ない)

ストレングスファインダーで自分の資質を理解したら、次に必要なのは、それを磨き続ける「やり抜く力(グリット)」をどう育てるかを考えることなのです。

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