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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」の34資質の中で ポジティブ(Positivity) は、“場を明るく照らし、人のエネルギーを底上げするムードメーカー” と評される人間関係構築系資質です。困難な状況でも希望やユーモアを見出し、チームの士気を回復させる力は、変化の激しい現代組織に欠かせないメンタルインフラとなります。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の 5 つの観点から、ポジティブを徹底解説します。
1. ポジティブの特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “周囲に前向きな空気を広げ、楽しく成果を上げたい” |
行動プロセス | よい面・希望の種を瞬時に見つける。笑顔・ジョーク・称賛で場を盛り上げる。人の成功や努力を大げさなくらい祝福する。 |
強みの現れ方 | 士気が落ちた場で雰囲気を一変。チームの小さな成功を祝い継続的にモチベを醸成。顧客イベントやワークショップで場作りの達人。 |
価値提供 | チームの感情温度を上げ、創造性・協働意欲・レジリエンスを高める |
キーワード | 楽観/ユーモア/祝福文化/エネルギー循環/士気回復 |
2. ポジティブを最大限に活かす方法
- “祝福カレンダー”を運用
タスク達成・顧客からの称賛メール・新メンバー加入など、祝いごとを可視化し全員を巻き込んで祝う。 - ハイエナジー・ファシリテーション
キックオフやワークショップの冒頭にアイスブレイクを挟み、楽しい空気をセットアップ。 - 感謝とフィードバックを即時発信
Slack でチャンネルを作り、良い出来事をリアルタイム共有。 - ユーモア+ストーリーテリングで困難を再定義
失敗談を笑いに変え「次はこんな学びに生かせる」とリフレームし、萎縮を防ぐ。 - “ポジティブ・プライミング※”をチーム習慣に
会議冒頭に「最近嬉しかったこと」を 30 秒リレートーク。脳の拡張モードを起動して創造性を高める。
※ポジティブ・プライミング=前向きな言葉・体験・感情を最初に提示することで、その後の気分や思考を良い方向に導く技術
3. ポジティブに潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
楽観バイアスでリスク軽視 | 問題の深刻さを和らげすぎ対応遅延 | “リスクレビュー担当” を別に置き役割分担 |
現実逃避に映る | ネガティブ感情を抑え込もうとする | 感情の事実を認めた上で「どう生かすか」を議論 |
騒がしさへの抵抗感 | 内向的メンバーがエネルギー過多を負担に感じる | 祝福方法に多様性(静かな称賛文、ギフトカードなど)を用意 |
ポジティブ疲労 | いつも明るく振る舞い自己リソース消耗 | “充電タイム” をカレンダーに確保し静かな作業時間を死守 |
4. ポジティブを持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- 場づくりミッションを公式に任命
オンライン/offline イベント MC、オンボーディング担当など、才能が生きる役割を割り振る。 - ネガティブな話は「感情+前向きな対策」で伝える
「売上が目標より15%低いけれど、この部分を改善すれば20%伸びる見込みあり」など、問題点と明るい見通しをセットで伝え、前向きな気持ちを保てるようにする。 - 成果祝福を共創
成果報告メールの作成や称賛メッセージのデザインを依頼し、祝福文化を組織内標準へ。 - 静的ワークとコンビを組む
分析思考や慎重さを持つメンバーとタッグにし、楽観と現実検証のバランスを取る。 - ポジティブ行動のインパクトを可視化
「あなたが場を盛り上げた結果、アンケート満足度が 4.1→4.8」と数字で効果を伝えると自他認識が一致。
5. よく比較される資質との違い
5-1 ポジティブ vs 活発性(Activator)
項目 | ポジティブ (Positivity) | 活発性 (Activator) |
---|---|---|
主なエネルギー | 楽観とムード | 行動の即時着手 |
チームへの効果 | 士気・楽しさ向上 | スタートダッシュ |
リスク | リスク軽視 | 計画不足 |
相互補完 | ポジティブが空気を温め→活発性がGOサインで動き出す |
5-2 ポジティブ vs 調和性(Harmony)
項目 | ポジティブ | 調和性 (Harmony) |
---|---|---|
目的 | 雰囲気を明るく | 対立を回避し合意形成 |
手法 | ユーモア・称賛・楽観 | 妥協案・共通点探し |
リスク | 現実逃避 | 折衷案により過ぎで中途半端 |
コンビ活用 | ポジティブが場を和ませ→調和性が建設的合意へ導く |
6. まとめ
ポジティブは “感情の温度を一瞬で上げる光源” として、組織に希望と活力を注ぎます。
- 特徴:楽観・ユーモア・祝福で士気を高めるムードメーカー
- 活かし方:祝福カレンダー、ハイエナジーファシリ、即時称賛、ユーモアでリフレーム、ポジティブ・プライミング
- 注意点:楽観バイアス、現実逃避、エネルギー過多、ポジティブ疲労に注意
- 付き合い方:場づくり任命、感情+対策共有、祝福共創、静的ワークとのコンビ、効果可視化
- 比較:活発性とは “空気の温めと行動開始”、調和性とは “明るさと合意形成” の対比
ポジティブが適切に活かされれば、チームは “重い空気” から解放され、楽しさを伴った高成果サイクルに入ります。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿をガイドに “希望の点火役” として組織のエンジンに火を灯しましょう。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟なポジティブは「場を明るくしなければ」という義務感や空元気に陥り、感情の不一致が摩擦を生むことも。
- 成熟すると、感情の多層性を認めた上で前向きな意味づけを促す“リフレームの達人”となり、共感とユーモアを両立できる。
- 例:以前は「とにかく笑顔でいればいい」と思っていたが、成熟後は「ネガティブな感情も受け止めたうえで、光を照らす表現」を意識するように。
2. 「聴く力」とのバランス
- ポジティブが強い人は、話の中から「よい面」「希望」を探す習慣があり、相手の話を励ます材料として聴く傾向がある。
- その結果、「本音のつらさを受け止めてもらえなかった」と感じさせてしまうことも。
- 「いまこの人は共感してほしいのか、励ましを求めているのか」を感じ取る繊細な聴き分けが、成熟の鍵。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 社交性(Woo)×ポジティブ
→ 初対面でも一気に距離を縮められる“空気を読むエンターテイナー”。社内外のイベントやファシリテーションに強み。 - 共感性(Empathy)×ポジティブ
→ 相手の気持ちに寄り添いつつ、感情のエネルギーを回復へと導く癒し型リーダー。 - 分析思考(Analytical)×ポジティブ
→ 現実検証と希望の両立ができる“明るいリアリスト”。チームの士気と判断力を両立。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 周囲の感情状態を読み取り、必要なタイミングで明るさを注入する“感情の温度調整役”。
- 楽観と現実感のバランスをとりながら、チームに希望を取り戻させる。
ベースメント(低成熟度):
- すべてを明るく包もうとし、現実逃避や感情否定に映る。
- 「明るくしなきゃ」に縛られて内面の疲労に気づかないままポジティブ疲労を起こすことも。
5. デジタル時代における活かし方
- オンライン中心の職場では、Zoomのアイスブレイク企画などで“場の明るさ”が可視化される。
- ポジティブは、バーチャル環境でもエネルギーを伝播させる「感情の起点」となれる資質。
- ポジティブな感情は拡張的思考を促すため、発想会議・ブレスト・創造的タスクの場づくりに不可欠。
- デジタル越しでも“ポジティブ・プライミング”を意識し、短いポジティブトークや絵文字文化で組織の心理的安全性を高める。
7. ポジティブの特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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