この記事は約3分43秒で読むことができます。

1. 生存者バイアスとは?
私たちが成功者の話や勝ち組の事例を参考にするとき、無意識に陥りやすい心理的な落とし穴があります。それが生存者バイアス(Survivorship Bias)です。
これは「生き残った事例だけを基に判断し、失敗した事例を無視することで、誤った結論を導いてしまう認知バイアス」のことです。
認知バイアスの一種であり、人間の情報処理の偏りが原因です。見えているのはほんの一部の成功例であり、その裏には数多くの失敗例が隠れています。
2. 生存者バイアスの代表的な事例
2-1. 戦闘機の装甲強化(ウォールドの事例)
第二次世界大戦中、アメリカ軍は帰還した戦闘機の被弾箇所を分析し、「よく弾痕がある場所を強化すべきだ」と考えました。
しかし統計学者エイブラハム・ウォールド(Abraham Wald)は「それは帰還できた機体のデータだ。弾痕が少ない部分こそ被弾すると墜落する致命的な箇所だ」と指摘しました。
結果、弾痕が少ない部分(操縦席やエンジン周辺)を補強する方針に変更し、生還率が向上しました。
これは、生き残った事例だけを見て判断すると、誤った結論に至る典型的な例です。
2-2. 成功者の習慣本や自己啓発書
多くの「成功法則本」は、成功した起業家や著名人の共通点を分析します。
しかし、その習慣や行動は、失敗した人たちにも共通している可能性があります。成功者だけを対象にすると、真の成功要因を見誤るリスクがあります。
2-3. 投資や株式市場
株式市場では「この銘柄を持っていれば資産が10倍になった」という話がよく出ます。しかしそれは生き残った銘柄だけを見た話で、多くの銘柄は途中で消えています。全体を見なければ、リスクを正しく評価できません。
2-4. スポーツや芸能
世界的スター選手や有名俳優の成功談も同様です。数え切れないほどの挑戦者がいた中で、ほんの一握りだけが表舞台に立っています。彼らの努力は確かに重要ですが、それだけで成功を説明するのは偏りがあります。
3. なぜ生存者バイアスは起きるのか?
3-1. データの欠落
失敗や脱落は記録に残りにくく、そもそも可視化されないため、成功例ばかりが目に入ります。
3-2. 認知の傾向
人間はポジティブな結果や分かりやすいストーリーに注目しやすい特性があります。メディアやSNSは特に「成功ストーリー」を好んで拡散します。
3-3. 安易な因果関係の推測
「Aさんはこの方法で成功した」→「この方法をすれば誰でも成功できる」と短絡的に結論づけてしまいます。
4. 生存者バイアスがもたらす危険性
- 誤った意思決定
- 成功要因の過大評価
- リスクの過小評価
- 成功の再現性に対する誤解
- 挑戦する人への誤った助言や教育
このバイアスに気づかず意思決定すると、過剰な期待を抱いたり、無謀な行動に出てしまう危険があります。
5. 生存者バイアスを避けるための方法
5-1. 失敗例・脱落例を探す
意図的に「うまくいかなかった事例」を集めることで、全体像をつかみやすくなります。
5-2. 母集団全体を意識する
見えている事例は氷山の一角。水面下にどれだけの失敗例があるかを考えます。
5-3. 一次情報・統計データを重視する
SNSや書籍の成功談だけでなく、信頼できる統計や研究論文を参照しましょう。
5-4. 専門家・第三者の意見を聞く
自分だけの観点に頼らず、他者の視点を取り入れることも有効です。
6. まとめ
生存者バイアスは、私たちが日常的に陥る可能性のある思考の落とし穴です。
見えている成功例の裏には、語られない失敗例が無数に存在します。心理学的にこのバイアスを理解し、意識的に失敗からも学ぶ姿勢を持つことが、より正確で現実的な判断を可能にします。
「見えているものが全てではない」という視点こそ、情報過多の時代を生き抜くための武器です。
個別無料説明会(オンライン)について

ライフコーチングを受けたい方はオンライン無料説明会へお申し込みください。

説明会は代表の刈谷(@Yosuke_Kariya)が担当します!お待ちしています!
コーチング有料体験について
実際にコーチングを体験してみたい方向けに、有料のコーチング体験も用意しております。ご興味のある方は以下をクリックください。
-
コーチング体験(有料)| ライフコーチング |【東京・コーチ歴13年・実績3000時間】
この記事は約4分3秒で読むことができます。 目次 / Contents コーチング体験(有料)のお申し込みページへようこそ!対象クライアント様代表コーチ刈谷洋介のご紹介体験セッションの流れコーチング有 …