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アルコールと認知症の関係性:お酒は飲む必要があるのか?

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アルコールと認知症

私たちの日常生活において、アルコールはさまざまな場面で登場します。友人や家族との食事会、お祝いの席、仕事終わりの一杯など、リラックスやコミュニケーションの手段としてお酒を楽しむ人は少なくありません。しかし近年、アルコールと認知症の関係について注目が高まっており、「飲酒量や飲み方によっては認知症リスクが高まるのではないか」「適度な飲酒であれば脳に良い影響を与えることもあるのではないか」など、さまざまな議論がなされています。

本記事では、アルコールの脳への影響や認知症との関係性をできるだけわかりやすく解説するとともに、最新の研究や専門家の見解にも触れながら、適切な飲酒習慣や生活習慣のあり方について考えていきたいと思います。あくまで一般的な知見の紹介であるため、個々の健康状態や家族歴、ライフスタイルによって最適なアドバイスは異なります。気になる場合は必ず認知症専門の医師や専門家に相談し、ご自身の体と向き合いながら安全にお酒を楽しむことが大切です。


目次 / Contents
  1. 認知症とは何か
  2. アルコールが脳に与える影響
  3. アルコールと認知症リスク:研究結果はどう示しているか
  4. アルコール関連認知障害:ウェルニッケ脳症とコルサコフ症候群
  5. 飲酒ガイドラインと適度な飲み方
  6. 認知症予防のためのライフスタイル総合対策
  7. アルコールと認知症に関するよくある疑問
  8. まとめと今後の展望
  9. 最後に
  10. コラム①:お酒から得られるメリットって本当に必要?
  11. コラム②:【付き合い飲み】をアドラー心理学的視点から考察
  12. コラム③:お酒を飲み過ぎると、何故ビタミンB1が不足するのか?
  13. 個別無料説明会(オンライン)について
  14. コーチング有料体験について
  15. コーチングYouTube配信中!

認知症とは何か

まず、アルコールと認知症の関係を知る前に、「認知症」とはどのような状態を指すのかを確認しておきましょう。認知症とは、脳の機能に何らかの障害が生じ、記憶力・思考力・判断力・言語能力・実行機能などが徐々に低下し、日常生活に支障を来すようになる病態を指します。代表的なものに、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。

  • アルツハイマー型認知症 : 最も患者数が多いタイプで、脳内にアミロイドβ蛋白やタウ蛋白が蓄積することで神経細胞が変性・脱落し、記憶障害や判断力の低下が顕著にみられます。
  • 血管性認知症 : 脳内の血管障害(脳梗塞、脳出血など)が原因で起こる認知症です。脳の血管が詰まったり破れたりすることで局所的に脳機能が損なわれ、認知機能の低下が段階的に進行します。
  • レビー小体型認知症: レビー小体という異常蛋白が脳内に蓄積することが特徴で、認知機能の変動、幻視、パーキンソン症状(手足の震えや動きの遅れなど)がみられます。
  • 前頭側頭型認知症 : 前頭葉や側頭葉が委縮することで、人格の変化や行動異常、言語能力の低下が顕著に現れます。

認知症の原因や進行メカニズムは複雑で、生活習慣や遺伝要因、環境要因などが複合的に影響しあって発症リスクが高まると考えられています。その中でも、飲酒習慣は重要なライフスタイル要因の一つとして位置づけられており、「飲酒量」「飲酒期間」「遺伝的体質」などによってリスクや症状の現れ方が異なる可能性があります。


アルコールが脳に与える影響

アルコールは中枢神経系に作用し、脳のさまざまな部位・神経伝達物質に影響を及ぼします。少量の飲酒であれば一時的にリラックス効果や気分の高揚をもたらしますが、長期的かつ大量の飲酒になると、脳の萎縮や神経細胞の損傷を引き起こす要因となる可能性があります。

  1. 神経細胞への毒性
    アルコールは直接的・間接的に神経細胞を傷つける可能性があります。特に大量飲酒や長期間にわたる過度の飲酒は、栄養不足を引き起こすことも多く、ビタミンB1(チアミン)欠乏症による脳障害(ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群)に繋がるリスクも高まります。
  2. 脳の萎縮
    過度の飲酒を続けると、脳の萎縮が進むことが報告されています。これはMRIなどの画像検査によって確認されることがあり、海馬(記憶を司る部位)を含むさまざまな領域において体積の減少がみられる場合があります。脳萎縮は認知機能の低下に直結することが多いため、過度な飲酒習慣を持つ人は将来的に認知症リスクが高まる懸念があります。
  3. 神経伝達物質のバランスへの影響
    アルコールは、脳内の主要な神経伝達物質(GABA、グルタミン酸、ドーパミン、セロトニンなど)の働きを変化させ、思考や感情のコントロールに影響を与えます。長期的には依存症の形成だけでなく、気分障害や不眠症などを引き起こし、それらがさらに脳機能の悪化や生活習慣の乱れを招くサイクルに陥る可能性があります。

アルコールと認知症リスク:研究結果はどう示しているか

1. 過度の飲酒は認知症リスクを高める

多くの研究が示唆しているのは、「過度の飲酒は認知症リスクを高める」という点です。特に一日に何合も飲み続けるような習慣的・慢性的な大量飲酒は、アルコール依存症や深刻な脳損傷の要因となります。アルコール依存症患者の中には、記憶力や学習能力の低下が顕著で、脳画像診断でも脳萎縮が進んでいるケースが少なくありません。

また、長期間にわたる過度の飲酒は、血管性認知症のリスクを高めるとも言われています。アルコールの過剰摂取は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす要因にもなるため、結果として脳梗塞や脳出血のリスクが上昇し、血管性認知症へ繋がりやすくなるのです。

2. 適度な飲酒は保護的効果があるのか?

一方で、少量〜中等量の飲酒が認知症のリスクを下げる可能性を示唆する研究も一部存在します。たとえば、赤ワインに含まれるポリフェノール(レスベラトロールなど)が動脈硬化の予防や抗酸化作用を持つという報告や、ビールや日本酒などでも適度な飲酒が血流を良くし、ストレスを緩和するといった見方がされています。

しかし、この「少量〜中等量の飲酒が認知機能に良い影響をもたらす」という仮説を証明するエビデンスは、研究デザインや被験者の生活習慣・遺伝要因など多くの要素が絡むため、一貫性に欠ける部分もあります。さらに、飲酒に全く慣れていない人が無理やりお酒を飲むことで得られるメリットは決して大きくはないとも言われます。そもそも「適度な飲酒」の基準は国や個人の体質によって異なるため、一般化は難しいのが現状です。

3. 飲酒習慣は複合要因の一つ

認知症リスクを考える上で、飲酒習慣だけが単独で決定的に影響を与えるわけではありません。喫煙、食生活、運動習慣、ストレス管理、社会的交流の度合い、知的活動など、さまざまなライフスタイル要因が互いに影響し合います。飲酒習慣があっても他の要因をコントロールすることでリスクを下げることは可能ですし、逆に飲酒以外のリスク要因が重なれば、認知症発症のリスクは高まるかもしれません。


アルコール関連認知障害:ウェルニッケ脳症とコルサコフ症候群

アルコールと脳障害の関係を語る上で特に有名なのが「ウェルニッケ脳症」および「コルサコフ症候群」です。これはビタミンB1(チアミン)の欠乏によって起こる神経障害であり、慢性的な大量飲酒者に多くみられる病態です。

  • ウェルニッケ脳症 : 急性期の脳障害で、意識障害、運動失調、眼球運動障害などの症状が特徴です。ビタミンB1不足が原因であるため、早期にビタミンB1を補充しないと重篤化しやすい病態です。
  • コルサコフ症候群 : ウェルニッケ脳症が進行して慢性期に移行した状態とも考えられています。主に記憶障害(特に新しいことを覚えられない前向性健忘)や作話(実際には起こっていないことをあたかも事実のように語る)がみられます。

これらの病態は認知症とは厳密には異なるものの、脳機能の低下を引き起こし、日常生活に大きな支障を与える点で共通しています。大量飲酒によって栄養が偏ると、脳が適切に栄養を得られず、深刻なダメージを受けることが明らかです。認知症リスクだけでなく、こうしたアルコール関連神経障害を防ぐためにも、節度ある飲酒とバランスの取れた食事は非常に重要といえます。


飲酒ガイドラインと適度な飲み方

1. 「適度な飲酒」の基準

日本では、厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」の目安として、「1日平均純アルコール量で約20g程度」を挙げています。具体的には以下のようなイメージです。

  • ビール:中瓶1本(500ml)程度
  • 日本酒:1合(180ml)程度
  • ワイン:グラス2杯(200ml〜240ml)程度
  • 焼酎(25度):およそ100ml程度

しかし、この基準はあくまで目安にすぎません。個人の体質や肝機能、性別、年齢、肥満度、持病の有無などによって、同じ量のアルコールでも健康影響は大きく変わります。とりわけ女性や高齢者はアルコールを代謝する能力が男性や若年者よりも低い場合があり、同じ量を飲んでも血中アルコール濃度が高くなりがちです。

2. 飲み方のポイント(現在習慣的に飲んでいる方向け)

  • 食事と一緒に楽しむ : 空腹状態での飲酒はアルコールが急速に吸収され、血中アルコール濃度が急上昇します。栄養不足や肝臓への負担も増すため、できるだけ食事とあわせて飲むことが望ましいです。
  • こまめに水を飲む : アルコールによる脱水や二日酔いを防ぐためにも、水やノンアルコール飲料を交互に摂取するなど、身体への負担を軽減する工夫が重要です。
  • 休肝日を設ける : 毎日連続して飲酒せず、週に少なくとも1〜2日はお酒を飲まない日を作るのが理想的です。肝臓の負担軽減だけでなく、脳にも回復の機会を与えられます。

認知症予防のためのライフスタイル総合対策

アルコールと認知症の関係を考える上で、「飲酒習慣」を単独で切り離して論じるのは難しく、生活習慣全体の見直しが大切です。以下に、認知症予防の観点から重要とされるポイントをいくつか挙げます。

  1. 適度な運動
    有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)や筋力トレーニングは、血流を改善し、脳への酸素供給を高めるだけでなく、生活習慣病を予防する効果が期待できます。運動習慣の確立は認知症予防に大きく寄与すると考えられています。しかし、過度な運動は老化を促進するなどのリスクもあるので適度な運動を心がけましょう。
  2. バランスの良い食事
    地中海食や和食のように、野菜、果物、魚、豆類、穀物、オリーブオイルなどを中心とした食事が脳機能に良い影響を与えるとする研究があります。抗酸化作用や抗炎症作用を持つ食品を積極的に摂り、過剰な塩分や糖分の摂取を控えることで、脳血管障害のリスクを低減できます。
  3. 社会的交流と知的活動
    趣味やボランティア、地域活動などを通じて人との交流を続けることは、脳を刺激し、認知機能の維持に役立ちます。読書や楽器演奏、語学学習など、新しいことに挑戦する習慣も脳の活性化に有効です。
  4. 睡眠の質を高める
    慢性的な睡眠不足は、アルツハイマー型認知症の一因ともされるアミロイドβの蓄積を促進する可能性が示唆されています。質の良い睡眠を確保するために、就寝前のスマホやPC使用を控えたり、適度な運動で日中の活動量を増やす工夫が望ましいです。
  5. 飲酒以外の依存行動のコントロール
    喫煙は血管性認知症のリスクを高めますし、過度のギャンブルやインターネット依存などもストレス増大や生活リズムの乱れを招く恐れがあります。飲酒だけでなく、その他の習慣にも注意を払い、健康的な生活を送ることが重要です。

アルコールと認知症に関するよくある疑問

Q1. 「お酒が強い人」は認知症になりにくいのか?

お酒に強い人は分解酵素の活性が高いため、短期的には酔いにくかったり体調不良を起こしにくい傾向があります。しかし、アルコールによる脳への影響は酔い方の度合いだけでなく、飲む量や期間にも大きく左右されます。自分は強いから大丈夫と過信して大量に飲み続けていると、肝機能や脳機能へのダメージは確実に蓄積されていきます。結果的には認知症リスクを高める可能性があるため、「強いから平気」という考え方は危険です。

Q2. 赤ワインを毎日1杯飲むと本当に健康に良い?

赤ワインに含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールには抗酸化作用や血管拡張作用があるとされています。一部の研究で、少量の赤ワイン習慣が心血管系の疾患リスクを下げる可能性を示唆する結果も出ています。しかし、これはあくまで「少量」の場合であって、飲酒量が増えればリスクが上回る可能性も高いです。また、赤ワイン自体に限らず、ブドウやベリーなどの食品からポリフェノールを摂ることでも類似の効果が期待できるため、飲酒が苦手な人や疾患を抱えている人がわざわざお酒を始める必要はありません。


まとめと今後の展望

アルコールと認知症の関係をめぐる研究は進んでおり、一般的に言われているのは「過度の飲酒は認知症リスクを高める」という点です。特に日常的に大量のお酒を飲んでいる人や、長期間にわたり深酒を繰り返してきた人は、将来の認知機能低下や認知症発症リスクが高まる可能性があります。また、ビタミンB1不足によるウェルニッケ脳症・コルサコフ症候群など、アルコール関連の神経障害も見逃せません。

一方で、少量〜中等量の飲酒に限っては、研究によっては心血管疾患リスクの低減やストレス軽減に繋がる可能性も指摘されています。しかし、これらの「保護的効果」があるかどうかは個人の体質や遺伝的要因、他の生活習慣要因によって異なります。また、飲酒ゼロの人があえてお酒を飲み始める必要性は薄いとの声も多く、無理をして飲むことにはリスクしか伴わない場合もあります。

最も大切なのは、「自分の身体と向き合いながら、適切な飲酒量と頻度を守る」ことです。飲酒習慣だけでなく、バランスのとれた食事、定期的な運動、十分な睡眠、社会参加や知的活動、ストレスのコントロールといったトータルなライフスタイルを整えることで、認知症のリスクをより効果的に抑えられるでしょう。


最後に

アルコールは私たちの日常に彩りを与える一方で、過度に依存してしまうと健康にさまざまな悪影響を及ぼします。認知症リスクの軽減のためには、まず飲酒量や頻度を見直すことが第一歩です。もし「最近飲みすぎているかも」「記憶力の衰えが気になる」と感じるのであれば、一度認知症専門の医師に相談する、もしくは検診や人間ドックなどで肝機能や血液検査を行い、身体の状態をチェックしてみてください。

特に高齢者や基礎疾患を持っている方は、少量の飲酒でも思わぬ影響を受ける可能性があります。また、家族や周囲のサポートも不可欠です。お酒がコミュニケーションの一環になっているケースも多いですが、認知症予防や健康管理の観点から、周囲が一緒に「飲み方」や「飲む回数」を工夫していくことが大切です。

適度なアルコールとの付き合い方を理解し、健康と楽しい生活を両立させることが、人生の質を高める鍵となります。日々の習慣を少しずつ見直すことで、脳の健康を守りながら、豊かで充実した毎日を送ることができるでしょう。

免責事項 : 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的・専門的なアドバイスの代替を意図するものではありません。個々の症状や体質により適切な対処法は異なりますので、具体的な疑問や不安がある方は医療機関を受診し、専門家の判断を仰いでください。


コラム①:お酒から得られるメリットって本当に必要?

私たちは日常で【お酒は百薬の長】など、飲酒を促進するようなフレーズに出会うことがありますが、確かに、お酒から得られるメリット(リラックス効果、血行促進、ワインのポリフェノールなど)はありますが、実際は他の手段で補うことが可能です。

たとえば:

  • リラックス効果 → 瞑想、深呼吸、ストレッチ、適度な運動
  • 血行促進 → 運動、入浴、ストレッチ、適切な食事(カプサイシンやショウガなど)
  • ポリフェノール摂取 → ブドウやベリー類、緑茶、コーヒー、カカオ

したがって、「あえて飲む必要はない」というのが合理的な意見です。実際、世界的にも「少量の飲酒が健康に良い」とする説には反論が多く、特に新しい研究では「少量であっても飲酒は健康リスクを伴う」とする結果が増えてきています

なぜ厚生労働省は「この程度ならOK」とするのか?

考えられる理由はいくつかあります。

① 現実的な国民の飲酒文化への配慮

日本に限らず、多くの国では飲酒文化が根付いています。完全禁止の方向に進めようとすると、反発が大きく、政策として実行しづらいのが実情です。したがって、「この程度なら比較的安全ですよ」とガイドラインを設けることで、極端な飲酒を抑制しながら、現実的な範囲で指導を行おうとしていると考えられます。

② 経済的な要因(酒税収入)

アルコール飲料は日本政府にとって重要な税収源の一つです。仮に飲酒を厳しく制限すると、酒税収入が大幅に減る可能性があります。さらに、飲食業界や酒造メーカーへの影響も大きいため、政治的な配慮が働いている可能性は否めません。

③ 社会的な要因(人間関係の円滑化)

日本のビジネスや社交の場では、まだまだ「飲みニケーション」の文化が根強く残っています。そのため、「適度な飲酒は良い」という方向性を維持し、極端な禁酒運動にならないようにしているとも考えられます。

④ 一部の研究では「適量飲酒が健康に良い」との見解もある

一部の疫学研究では、「適量の飲酒が健康に良い影響を与える」という結果が示されることがあります。ただし、こうした研究の多くは「因果関係」ではなく「相関関係」しか示しておらず、飲酒を控えている人の中には既に健康上の問題を抱えている人が多いなどのバイアスが影響している可能性が指摘されています。また、近年のメタ分析では「少量の飲酒であってもリスクを伴う」とする研究が増えています。

結論:飲まないのがベスト

結局のところ、お酒は嗜好品であり、健康のために飲むべきものではないというのが科学的に見ても最も合理的な結論でしょう。厚労省のガイドラインは「現実との折り合いをつけるためのもの」であり、「本当に飲まなくて良いなら、飲まないほうが良い」という立場を取る専門家も多いです。

もし「健康のためにお酒を飲むべきか?」と問われたら、答えは 「NO」 であり、飲まないほうが健康リスクは確実に減ります。結局のところ、「楽しみのために飲む」か「飲まないか」の選択は個人の価値観次第ですが、健康だけを考えるなら、飲まないほうが圧倒的に安全です。


コラム②:【付き合い飲み】をアドラー心理学的視点から考察

今度はお酒を飲むという行為をアドラー心理学の視点から見てみましょう。アドラーの考え方では、「人の行動には目的があり、過去の原因(付き合いだから、断れないから)ではなく、現在の目的(飲みたいから、場の雰囲気を壊したくないから)によって行動が決定される」とされます。

つまり、「付き合いだから仕方なく飲む」というのは、実際には 「飲むための理由付け」 に過ぎず、本当の目的は「飲みたい」あるいは「人間関係を円滑にしたい」 というような別の心理的要因が先にあると考えるのがアドラーの見方です。

付き合い飲みを目的論で解釈すると?

例えば、ある人が「付き合いで飲まないといけないんだよね」と言ったとします。

しかし、実際には:

  • 本音は「飲みたい」 → 「付き合いだから仕方ない」と言うことで、飲むことを正当化している。
  • 本音は「人間関係を壊したくない」 → 「断ると面倒だから」と考えて、相手の期待に応えようとしている。
  • 本音は「場の空気に馴染みたい」 → 飲酒を通じて、仲間意識を高めようとしている。

このように考えると、「付き合いだから飲む」というのは 言い訳 であり、実際には 「自分がどうしたいか」が先にある ことが分かります。

本当の「選択」はどこにあるのか?

もし本当に「飲みたくない」のであれば、付き合いを理由にせず、「自分は飲まない」という選択ができるはずです。

例えば:

  • 「飲みません」とシンプルに伝える
  • 「今日は体調が良くないので」と理由をつける
  • 「ノンアルコールで楽しみます」と代替手段を取る

これらの選択肢を取らずに「付き合いだから…」と言ってしまうのは、結局のところ 「飲むことを選んでいる」 ということになります。

アドラー的な考え方を活かすなら?

アドラー心理学の実践として、「本当に自分は何をしたいのか?」を問い直す ことが大切です。

  • 「飲みたくないなら、断っても問題ない」
  • 「断ることで人間関係が壊れるなら、その関係性自体が健康的でない」
  • 「付き合いを理由にせず、自分の意志で選択する」

こう考えると、付き合い飲みをしなくても 本当の人間関係は壊れない ことに気づくかもしれません。そして、もし「断りづらい」と感じるなら、それは 「他者の評価を気にしている自分」がいる ということになります。

結論:「付き合い飲み」は本当に必要か

アドラーの目的論で考えると、「付き合いで飲む」というのは言い訳であり、本当は飲みたいか、または人間関係を壊したくないから飲んでいる」 ということになります。

しかし、本当に自分の価値観に沿って生きるなら、「飲みたくないなら飲まない」「本当の仲間なら飲まなくても問題ない」 という姿勢を持つことが、アドラー的な自己決定の在り方です。

結局のところ、「付き合い飲み」という考え方を見直すことで、本当の自分の選択 に気づけるのではないでしょうか。


コラム③:お酒を飲み過ぎると、何故ビタミンB1が不足するのか?

お酒を飲み過ぎると ビタミンB1(チアミン) が不足する理由はいくつかあります。

1. アルコールがビタミンB1の吸収を阻害する

ビタミンB1は小腸の粘膜から吸収されますが、アルコールはこの吸収プロセスを阻害します。
特に慢性的に大量のアルコールを摂取すると、腸内のビタミンB1輸送機能が低下し、食事から十分に摂取していても吸収できなくなります。

2. アルコール代謝にビタミンB1が大量に使われる

アルコールは肝臓で以下のように分解されます。

  1. エタノール(アルコール)アセトアルデヒド(有害)
  2. アセトアルデヒド酢酸(無害化)

この過程で、肝臓はエネルギーを大量に消費しますが、ビタミンB1はこのエネルギー代謝に必須の役割を持っています。
特に、クエン酸回路(TCA回路)やピルビン酸代謝に関与 しており、アルコールを分解するためにビタミンB1の消費量が増加します。
結果として、体内のビタミンB1が不足しやすくなります。

3. アルコール依存症の人は食事が偏りがち

慢性的にお酒を飲んでいる人の多くは、食生活が乱れがちであり、炭水化物中心でビタミンB1を含む食品(豚肉、大豆、玄米など)を十分に摂取できていない ことが多いです。また、食事の代わりにアルコールを摂取する人もいるため、ビタミンB1の供給源が不足しがちです。

4. 尿からの排出が増える

アルコールは利尿作用が強く、水分と一緒に ビタミンB1を含む水溶性ビタミンの排出を促進 します。特に、大量飲酒をすると尿の量が増え、ビタミンB1が体外に流れ出やすくなる ため、さらに不足しやすくなります。

5. 肝機能の低下による代謝障害

長期間の飲酒は肝臓にダメージを与え、肝機能が低下します。
肝臓はビタミンB1を活性型に変換する働きを持っているため、肝機能が落ちると ビタミンB1をうまく利用できなくなります

まとめ

お酒を飲みすぎるとビタミンB1が不足する主な理由は:

  1. アルコールが小腸での吸収を阻害する
  2. アルコール代謝のためにビタミンB1が大量に消費される
  3. 食事が偏り、ビタミンB1の摂取量が不足しがち
  4. アルコールの利尿作用で尿から排出されやすい
  5. 肝機能の低下でビタミンB1の代謝が悪化する

したがって、お酒をよく飲む人は、ビタミンB1を意識的に摂取することが重要 です。
特に 豚肉、大豆、玄米、ナッツ類 などを積極的に食べることが推奨されます。

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