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はじめに|「なぜその行動を取ってしまうのか?」
私たちは日々、無意識のうちに特定の思考パターンや行動を繰り返しています。
たとえば…
- つい人の顔色を伺ってしまう
- 大事な場面になるといつも回避してしまう
- 過剰に努力してしまい、疲れ果ててしまう
こうしたパターンはどこから来ているのでしょうか?
アドラー心理学では、それらを説明するために「ライフスタイル」と「目的論」という二つの概念を提示しています。本記事ではこの二つを詳しく解説し、皆さんの自己理解と行動変容への手がかりを提供します。
ライフスタイルとは何か?
定義:人生の“無意識の設計図”
アドラー心理学における「ライフスタイル」とは、その人独自の世界観・自己観・行動様式のことです。
これは、単なる生活習慣ではなく、
「私はこういう世界に生きていて、こういう自分であるべきだ。そして、こうやって生きればうまくいくはずだ」
という無意識の信念体系と、それに基づく行動パターンの集まりです。
ライフスタイルの形成時期と背景
- 主に5歳頃までに形成される
- 家族との関係、兄弟順位、社会的経験などが影響する
- 幼少期の「劣等感」にどう対処したかが鍵となる
例:さまざまなライフスタイル
ライフスタイル | 根底の信念 | 行動パターン |
---|---|---|
依存型 | 「私は一人では無力だ」 | 助けを求めやすい、甘える |
優越型 | 「強くなければならない」 | 常に競争、成果にこだわる |
回避型 | 「失敗すると価値がない」 | 挑戦を避ける、努力を見せない |
これらはすべて、子どもが自分なりに“生き延びる方法”として身につけたものです。
目的論:人は未来の目的に向かって行動する
過去ではなく“未来”が人を動かす
多くの心理学理論は、トラウマや幼少期の体験を“原因”として現在の行動を説明します。これを原因論(因果論)といいます。
しかしアドラーは異なり、人間は「未来の目的」によって行動していると考えます。これを目的論(Teleology)と呼びます。
目的論の具体例
- 「親に怒られたくないから宿題をする」→ “怒られない”という未来の目的
- 「人に嫌われたくないから本音を隠す」→ “嫌われない”という目的
- 「過去に傷ついたから恋愛しない」→ 実は“傷つかないように守る”という未来の目的
このように、現在の行動は未来の望む状態を得るための手段であり、過去の出来事はあくまで「そう思うようになったきっかけ」にすぎないというのがアドラーの立場です。
ライフスタイルと目的論の関係
ライフスタイルは“目的を達成するための戦略”
アドラー心理学では、ライフスタイルは単なる個性ではなく、「人生の目標を達成するための行動パターンの集合体」とされます。
たとえば…
- ライフスタイル:「常に空気を読む」
- 目的:「他人に嫌われないようにする」
または、
- ライフスタイル:「努力して成果を出す」
- 目的:「親に認められたい」「無能だと思われたくない」
つまり、ライフスタイルは“どう生きれば目的を達成できるか”という無意識の選択の結果です。
この戦略は子ども時代には有効だったかもしれませんが、大人になっても無意識に繰り返していると、しばしば問題を引き起こします。
ライフスタイルは変えられる
アドラーの希望的メッセージ
アドラー心理学の核心にあるのは、
「人はいつからでも変われる。なぜなら、目的は再設定でき、ライフスタイルも再選択できるから」
という希望です。
ライフスタイルは固定された宿命ではありません。
自分がなぜその行動を取るのか、どんな目的を果たそうとしているのかに気づくことで、
新しい目的と、それに合った新しいライフスタイルを選び直すことが可能なのです。
コーチングやカウンセリングでの実践
ライフスタイルと目的論を扱う問いかけ
アドラー心理学は、現代のコーチングやカウンセリングにも応用されています。たとえば、以下のような問いが使われます。
- 「それをすると、どんないいことがありますか?」(=目的を明らかにする)
- 「この行動は、どんな信念に基づいていますか?」(=ライフスタイルの一部を意識化する)
- 「別のやり方を選ぶとしたら、どんな方法がありますか?」(=再選択の提案)
こうした問いによって、クライアントが自分の行動や信念に自覚的になり、
より自由で共同体感覚に根ざした生き方を選び取れるようサポートします。
おわりに|「変われない自分」は“過去”ではなく“目的”を変えることで動き出す
「自分はこういう性格だから…」「昔こうだったから無理」と諦める前に、
「自分は何を望んでこうしているのか?」「別の望みはあるのか?」と問い直すことが、
新たな一歩になります。
アドラー心理学が伝えるのは、過去ではなく未来に視点を向ける生き方です。
あなたの今のライフスタイルも、今ここで見直し、再選択することができるのです。
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