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はじめに
現代の組織運営や個人のキャリア開発において、「強み」を見出し、活用することの重要性は日増しに高まっています。ギャラップ社が提供するストレングスファインダー(CliftonStrengths)は、個人が生まれながらに持つ才能(タレント)を科学的に測定し、それを「強み(ストレングス)」として開発するためのツールです。本記事では、ギャラップ社とストレングスファインダーの背景、開発者の思想、そして4つの領域に分類された34の資質の特徴を詳しく解説します。
※現在正式名称はCliftonStrengthsですが、ストレングスファインダーの方が理解しやすいので当ブログではストレングスファインダーで解説します。
1. ギャラップ社とは
- 設立:1935年、ジョージ・ギャラップ博士により創業
- 本社所在地:アメリカ合衆国ワシントンD.C.
- 事業内容:世論調査、組織コンサルティング、人材開発、教育プログラムの提供など
- ミッション:“Gallup’s mission is to help organizations create thriving workplaces and help people lead better lives.”
(ギャラップの使命は、組織が繁栄する職場を創り出し、人々がより良い人生を送れるよう支援することです。)
1.1 ギャラップの調査とコンサルティング
ギャラップは創業以来、世界中の人々を対象に世論調査を実施し、政治、経済、社会動向についての知見を蓄積してきました。近年では、特に組織診断や人材開発領域で強みを活用したコンサルティングサービスを展開し、多くのグローバル企業や教育機関と提携しています。
2. ストレングスファインダー開発の背景と開発者紹介
2.1 ドナルド・O・クリフトン博士
- 生涯:1924–2003年
- 肩書き:ギャラップ社主席研究者、社会心理学者
- 業績:人間の才能を科学的に測定する手法を開発し、「強みを伸ばす」ポジティブ心理学の先駆者として知られる。著書『Now, Discover Your Strengths』は世界的ベストセラー。
- 思想:「個人の弱点を補うよりも、強みを伸ばすことで最大の成果を生む」
2.2 継承と発展
クリフトン博士の思想は、その後ギャラップ社内外の研究者によって脈々と受け継がれ、ストレングスファインダーは第1版以来、調査対象の多様化や統計分析手法の高度化を図りつつ改訂を重ねています。現在の最新版は200以上の国と地域、30以上の言語に対応し、累計3千万人以上が受検しています。
3. ストレングスファインダーの概要
ストレングスファインダーは、177問の自己評価質問から各個人の「タレント(生来のパターン)」を抽出し、34の資質の強さ(強みの順位)を示します。結果は上位5資質(Signature Themes)を中心に、上位10資質、上位34資質全体の順位付けとして示されます。
- 受検時間:約30分
- 結果レポート:各資質の説明、活用方法、開発のヒント
- 対象:企業の人材育成、チームビルディング、個人のキャリア開発、教育現場など
4. 4つの領域(ドメイン)
34の資質は、ギャラップが定めた以下4つの領域に分類されます。それぞれの領域が個人やチームの働き方・成果にどのように寄与するかを理解し、バランスよく強みを活用することで、高いパフォーマンスを実現します。
ドメイン名(英語) | 日本語訳 | 概要 |
---|---|---|
Executing | 実行力ドメイン | アイデアや目標を現実の成果に変える力 |
Influencing | 影響力ドメイン | 他者に働きかけ、支持を得て成果を拡大する力 |
Relationship Building | 人間関係構築ドメイン | 人とのつながりを通じて協働し、チームをまとめる力 |
Strategic Thinking | 戦略的思考ドメイン | 分析や先見性を用いて未来を見据え、選択肢を創出する力 |
5. 34の資質とその特徴
5.1 実行力ドメイン(Executing)
- Achiever(達成欲)
三度の飯より好き”達成”が好き。忙しいとやりがいを感じる。 - Arranger(アレンジ)
リソースや要素を組み合わせて最適化し、成果に導く。 - Belief(信念)
不変の価値観を持ち、目的や行動に一貫性を与える。 - Consistency(公平性)
全員に対して公平なルールや基準を適用し、信頼を築く。 - Deliberative(慎重さ)
リスクを見極め、決断前に慎重に検討する。 - Discipline(規律性)
順序立てて計画実行し、高い生産性を維持する。 - Focus(目標志向)
目標達成に向けて優先順位を定め、迷わず邁進する。 - Responsibility(責任感)
約束を重んじ、自分の行動に責任を持つ。 - Restorative(回復志向)
問題解決を楽しみ、課題を機会に転換する。
5.2 影響力ドメイン(Influencing)
- Activator(活発性)
考えをすぐ行動に移し、他者を引き込む原動力となる。 - Command(指令性)
明確な方向性を示し、他者を率いて迅速に動かす。 - Communication(コミュニケーション)
分かりやすく伝え、人を動かすメッセージ力を発揮する。 - Competition(競争性)
他者との比較でモチベーションを高め、勝利を追求する。 - Maximizer(最上志向)
強みをさらに伸ばし、卓越を追求する。 - Self-Assurance(自己確信)
自分の判断に自信を持ち、独立して行動を牽引する。 - Significance(自我)
意義ある成果を追求し、他者からの承認を重視する。 - Woo(社交性)
初対面でも人とつながり、関係構築を楽しむ。
5.3 人間関係構築ドメイン(Relationship Building)
- Adaptability(適応性)
変化を受け入れ、今この瞬間を最適に生きる。 - Connectedness(運命思考)
万物の関連性を感じ、人と状況を調和させる。 - Developer(成長促進)
他者の成長を見つけ、支援することに喜びを感じる。 - Empathy(共感性)
他者の感情を感じ取り、思いやりを示す。 - Harmony(調和性)
対立を避け、合意形成を行い、平穏を保つ。 - Includer(包含)
誰も排除せず、全員を仲間に引き込む。 - Individualization(個別化)
人それぞれの特性を見極め、最適な関わりを図る。 - Positivity(ポジティブ)
明るさと楽観で人を元気づける。 - Relator(親密性)
深い信頼関係を築き、長期的なつながりを大切にする。
5.4 戦略的思考ドメイン(Strategic Thinking)
- Analytical(分析思考)
事実やデータをもとに原因と結果を明らかにする。 - Context(原点思考)
歴史や背景を重視し、現在の理解を深める。 - Futuristic(未来志向)
明確なビジョンを描き、モチベーションを高める。 - Ideation(着想)
多様なアイデアを生み出し、革新的な視点を提供する。 - Input(収集心)
興味のある情報やモノを集め、知的好奇心を満たす。 - Intellection(内省)
深い思考や対話を通じて洞察を得る。 - Learner(学習欲)
新しい知識やスキルの習得を楽しみ、成長し続ける。 - Strategic(戦略性)
物事のパターンを読み取り、最適な行動ルートを選ぶ。
6. ストレングスファインダー活用のポイント
- 自己理解の深化:上位資質を通じて自分らしさを言語化し、キャリアや人生設計に活用。
- チームビルディング:メンバーの資質を組み合わせ、相互補完的なチームを構築。
- リーダーシップ開発:自分と他者の強みを理解し、効果的なマネジメントに活かす。
- 組織文化醸成:ポジティブな言語と行動習慣を定着させ、エンゲージメントを高める。
7. まとめ
ストレングスファインダーは、個人の生来の才能を科学的に可視化し、4つのドメインと34の資質を通じて「強み」を最大化するための強力なツールです。ギャラップ社の長年の調査研究とクリフトン博士の思想を土台に、多くの組織や個人が自分らしい成果を実現しています。自らの資質を理解し、日々の仕事やチーム活動に落とし込むことで、より充実したパフォーマンスと幸福感を得られるでしょう。ぜひ一度ストレングスファインダーを受検し、自分の「強みの地図」を手に入れてください。
ストレングスファインダーを受ける
ストレングスファインダーを受けたい方は以下のリンクをクリックしてください。試験はTop5を測定するものとTop34を測定する2パターンがあります。すべての才能を明らかにできるTop34の受験がおすすめです。
コラム:何故強みを活かすことが有効なのか?
1. パフォーマンス向上との相関
ギャラップ社による大規模調査(約7万件以上の社員データを分析)では、従業員が自身の強みを日常業務で意識的に使う頻度が高いほど、生産性・売上・顧客満足度・離職率低下など、複数の業績指標で有意に高い成果を示すことが確認されています(Clifton & Harter, 2003)。たとえば、強みを「よく使っている」群は「ほとんど使っていない」群と比べ、売上が平均15%、生産性が平均8%向上したという報告があります。
2. ウェルビーイング(幸福感)の増大
ポジティブ心理学のリーダー、マーティン・セリグマン博士の研究でも、強みを意識的に活用する「ストレングス・アプローチ」が個人の幸福度(ポジティブ感情・生活満足度)を高めることが示されています(Seligman et al., 2005)。特に、自分の上位資質を「毎日意図的に使う」介入を1週間続けたグループは、プラセボ対照群に比べ、4週間後もポジティブ感情と生活満足度が持続的に上昇しました。
3. レジリエンス(回復力)の強化
強みの活用はストレス耐性やレジリエンス向上にも効果があります。Woodら(2011)のメタ分析によれば、ポジティブな強みワーク(例:日々の成功体験の振り返り、他者からのフィードバック活用など)は、不安や抑うつ症状の軽減、自尊感情の向上につながることが示されています。特に「達成欲」「回復志向」「共感性」など、問題解決や人間関係構築の資質を用いることで、困難な状況でも前向きに対処できる力が高まるとされています。
4. 学習・成長スピードの加速
例えば、ストレングスファインダー上位資質の一つである「学習欲」や「分析思考」を持つ人は、自らの強みを自覚し活用することで、新しい知識やスキルの習得速度が速まることが報告されています。自分が得意とする領域での学びはモチベーションを維持しやすく、脳科学的にも報酬系(ドーパミン)が活性化しやすいため、学習効率が高まると考えられています。
5. 組織文化・エンゲージメントの向上
個人の強みを組織全体で尊重し、相互に活用し合う文化を醸成すると、従業員エンゲージメントが飛躍的に高まります。Gallup Q^12(従業員エンゲージメント調査)のデータによると、上司が部下の強みを認識し支援する組織では、離職率が平均50%低下し、欠勤率も41%減少するという結果が出ています。これは、強みを活かすことで「自分は大切にされている」「貢献できている」という感覚が高まり、組織への帰属意識が強まるためです。
まとめ
- 業績向上:強み活用は売上・生産性を明確に押し上げる
- 幸福感増大:ポジティブ心理学的介入で持続的な幸福度向上
- 回復力強化:ストレス軽減・レジリエンス向上に寄与
- 学習効率化:強みを通じた動機づけで成長スピード加速
- 組織エンゲージメント:離職・欠勤率低減で健全な文化を醸成
これらの科学的エビデンスが示すように、強みを活かすことは個人と組織の両面で「成果」「幸福」「持続的成長」を同時に実現する非常に効率的なアプローチであると言えます。まずは自分の上位資質を把握し、日々の行動に意図的に組み込むことから始めましょう。
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