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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」34資質の中で 調和性(Harmony) は、“利害や価値観の違いをなだらかに重ね、対立より協調を選ぶ〈コンフリクト・ブリッジャー〉” と評される人間関係構築系資質です。声の大きい人と静かな人、短期成果派と長期投資派――。立場の異なるメンバーを同じテーブルに招き「共通項」を探り出し、実行可能な落とし所へ導きます。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の5つのから、調和性を徹底解説します。
1. 調和性の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “衝突を最小に、合意点を最大に。安心して前へ進みたい” |
行動プロセス | 対立が起こると主張より共通目標を探る。聞く割合を増やし、全員の意見を並列に可視化。全てを満点にせず“受容可能”な折衷案を描く。 |
強みの現れ方 | 激論会議を冷静にまとめ、意思決定をスムーズに。顧客と開発の摩擦を仲裁しウィンウィン条件を設計。変革期の不安を和らげ、協働モードに切り替える。 |
価値提供 | 組織の「内なる摩耗」を減らし、実行エネルギーを前向きな成果へ転換。 |
キーワード | 妥協点/合意形成/衝突回避/聴き役/落とし所設計 |
2. 調和性を最大限に活かす方法
- “共通ゴール・キャンバス” を会議冒頭に描く
目的・制約・成功指標をホワイトボードに共有し、議論がぶれない土台を確立。 - “対立要因→共通利得” フレーズ転換
例:「機能追加 vs 期限厳守」を「顧客満足と信頼維持を両立させるには?」と言い換え、視点を平面化。 - 意見集約ツールの活用
Google Formなどで匿名投票→結果を可視化すると、対立が“データ”に置き換わり感情摩擦が減少。 - 合意レベルの段階設定(Rough Consensus)
100%の一致を目指さず「80%納得+反対 0」のラインで前進を宣言。 - “合意後24hルール” で再燃防止
決定後24時間以内に異議申し立て可 → 以降は実行フェーズへ。一体感とスピードを両立。
3. 調和性に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
イノベーション不足 | 波風を立てぬ案ばかり採択 | 活発性・着想に“あえてぶっ飛んだアイデアを出す役割”を依頼し刺激を注入 |
重要課題の先送り | 根深い対立を避け続け課題が拡大 | “避けた場合のコスト”を数値化し議論を促進 |
八方美人に映る | どちら側か不透明で信頼低下 | 合意形成後は決定を明言し、責任を示す |
自己主張の希薄化 | 自分の意見を後回しにしストレス蓄積 | 1on1 で“自分の主張タイム”を確保しガス抜き |
4. 調和性を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- ファシリテータ役を公式に任命
定例会議やリスクレビューで“議論収束&合意形成”の役割を明示すると才能が最大化。 - 対立テーマは事前資料共有
事前に論点・データを送付→整理時間を与えると、ミーティングで建設的な折衷案が浮上。 - “合意→行動” のブリッジをサポート
決まった後のタスク・責任配分を一緒に整理し、前進力を補強。 - 意見対立局面で守らせる“発言順ルール”
強い主張が続いたら「では反対意見の方を聞かせてください」と順番制でバランスを取る。 - 意識的に“チャレンジ質問” を投げる
「もし制約ゼロならどうします?」と刺激し、革新度を高めるトレーニングを支援。
5. よく比較される資質との違い
5-1 調和性 vs 包含(Includer)
項目 | 調和性 (Harmony) | 包含 (Includer) |
---|---|---|
目的 | 対立点を減らし合意形成 | 輪の外の人を招く |
手法 | 折衷案・譲歩 | ウェルカムサイン・発言機会付与 |
リスク | 革新不足 | 決定遅延 |
補完関係 | 包含が全員を参加させ、調和性が対立を収束させる |
5-2 調和性 vs 指令性(Command)
項目 | 調和性 | 指令性 (Command) |
---|---|---|
アプローチ | 合意を探す | 方向を示し決断 |
強み | 摩擦低減・納得感 | スピード・覚悟 |
リスク | 先送り | 威圧感 |
補完関係 | 調和性が合意土台を作り、指令性が最終決断で推進 |
6. まとめ
調和性は “対立を合意へ溶かすコンフリクト・ブリッジャー” として、組織に 摩擦低減・心理的安全性・実行スピード をもたらす資質です。
- 特徴:共通目標提示、折衷案設計、感情緩和で協働促進
- 活かし方:ゴールキャンバス、フレーズ転換、匿名投票、合意レベル設定、24hルール
- 注意点:イノベーション不足、先送り、八方美人、自己主張希薄に注意
- 付き合い方:公式ファシリ任命、資料先出し、行動ブリッジ、発言順ルール、チャレンジ質問
- 比較:包含とは“合意形成と輪の拡大”、指令性とは“協調と号令” の対比
調和性が健全に活きれば、チームは “対立疲弊” から解放され、納得感を伴った迅速な意思決定と協働が標準となります。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を指針に “コンフリクト・ブリッジャー” として組織の結束と前進を後押ししてください。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な調和性は、「対立回避」そのものが目的化し、自分の意見を抑え込みすぎる傾向がある。
- 成熟すると、「対立しない」ではなく「対立を建設的に調整する」力として発揮される。
- 例:以前は意見を飲み込んでいたが、成熟後は「争わずに伝える言葉」を選び、対話を促進できるようになる。
2. 「聴く力」とのバランス
- 調和性が強い人は、場の空気や他人の感情に敏感に反応し、つい自分の意見よりも相手の気持ちを優先しがち。
- 意見を伝えずに飲み込むと「無関心」と誤解されることも。
- 「私の意見も補足としてお伝えしていいですか?」と前置きすることで、安心して自分も表現できる。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 共感性(Empathy)×調和性
→ 他者の感情を察知しつつ、場の空気を整える“感情の潤滑油型”。人間関係の平和維持に貢献。 - 公平性(Consistency)×調和性
→ 明確なルールに基づきながら、衝突を回避する“秩序と平和の融合型”。チーム内の納得感を高める。 - 運命思考(Connectedness)×調和性
→ 「すべての人や出来事はつながっている」という信念から、衝突の中に意味を見出す“調和の哲学者型”。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 異なる意見や立場を“対立”ではなく“対話の材料”と捉え、摩擦を減らしつつ進行を助ける調整役となる。
- 会議やプロジェクトで、空気を読みながら適切なタイミングで橋渡しする存在として重宝される。
ベースメント(低成熟度):
- 自分の意見を言えずに沈黙し、消極的・受け身な印象を与えることがある。
- 対立を避けるあまり、重要な問題が放置されたり、場の方向性が曖昧になるリスクも。
5. デジタル時代における活かし方
- Slackなどのオープンなチャット文化の中でも、感情的な言い回しのトーンを整える調整役として機能。
- ZoomやTeamsの会議では、話しづらい人を拾ったり、対立の芽を未然に潰すファシリテーター型として活躍。
- オンライン時代の「心理的安全性」を支える縁の下の力持ちとして、組織に欠かせない存在となる。
7. 調和性の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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