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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」の 34 資質の中で着想(Ideation)は、“ひらめきを連鎖させ、常識と常識の間に新しい橋を架けるコンセプト・スパーク” と評される思考系資質です。まるで打ち上がる花火のようにアイデアが次々と生まれ、既存の枠組みを一瞬で飛び越える発想は、製品開発・問題解決・コンテンツ制作など、多様な領域で革新的な選択肢を提示します。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の5つの観点から、着想を徹底解説します。
1. 着想の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “既存の点と点をつなぎ、まだ誰も見たことのない可能性を垣間見たい” |
行動プロセス | インプットを受けると関連概念が連想ゲーム的に展開。突拍子もない組み合わせで仮説を生成。「もし〇〇と△△を掛け合わせたら?」とアイデアを投げる。 |
強みの現れ方 | ブレストや企画会議でアイデアを量産。比喩・メタファーで複雑概念を再発明。異業種コラボや横展開プランを次々提案。 |
価値提供 | 常識を再定義し、組織に“発想の多様性”とイノベーションの種を供給。 |
キーワード | ひらめき/組み合わせ/連想思考/創造性/発散フェーズ |
2. 着想を最大限に活かす方法
- “アイデア量産モード”と“絞り込みモード”を時間で分離
例:前半30分は批判禁止で発散→後半15分で3案に選定。流れを明示すると質と量のバランスが取れる。 - 異分野インプットを定期注入
アート展、学際カンファレンス、異業種ミートアップに参加し、連想素材を多層化。 - ホワイトボード・マインドマップでリアルタイム可視化
頭に浮かんだ断片をすぐ描き、チームが追随できる状態をキープ。 - “もしも○○なら?”クエスチョン・カードを常備
技術・顧客・ビジネスモデルなどカテゴリー別のカードで、着想を誘発するトリガーを即席投入。 - アイデアバンクをクラウドで共有
Notion や Google Sheet に「日付・キーワード・概略」の簡易フォーマットで格納し、他者の追記を促す。
3. 着想に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
アイデア偏重で実行不足 | 企画書は山積み、実装ゼロ | 活発性や達成欲を持つメンバーへ“実行バトン”をパス |
話題が飛びすぎて周囲が混乱 | 会議が脱線し論点不明 | “アイデア駐車場”を用意。脱線案は一旦メモし本線へ戻す |
斬新さ最優先でリスク軽視 | 実現コストや法規制を見落とす | 慎重さ・分析思考のレビューゲートを組み込む |
早期評価で発想萎縮 | 早い段階でダメ出し連発 | 発散フェーズは“NO KILL ZONE”を宣言し批判を凍結 |
4. 着想を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- 発散フェーズでファシリ役を依頼
ブレスト冒頭で「〇〇さんのアイデア連鎖で壁を破ろう」と役割を明確化。 - 制約条件をパズルとして提示
「予算50万円以内」「納期2週間」という制限があるほど着想が点火しやすいケースがある(制約駆動の創造性(creativity under constraint))。 - アイデア数目標+タイムリミットで刺激
「15分で12案」などゲーム感覚を導入し集中曲線を最大化。 - 評価基準の多様化を許可
新規性・ユーザーWOW※・実装難易度など複数軸で採点し、斬新案が埋もれない仕組みを作る。 - “実験プロトタイプ権”を付与
選ばれなかった案も小規模検証を許可し、創造エネルギーの持続を促す。
※ユーザーが思わず「すごい!」「面白い!」「これは便利!」と感動・驚き・喜びを感じる瞬間や要素を指すマーケティング・UX(ユーザー体験)用語です。
5. よく比較される資質との違い
5-1 着想 vs 未来志向(Futuristic)
項目 | 着想 (Ideation) | 未来志向 (Futuristic) |
---|---|---|
主眼 | アイデアの量と多角性 | 魅力的な将来像 |
発想トリガー | 概念の掛け合わせ | ビジョン・ストーリー |
リスク | 実行不足 | 現実味欠如 |
補完関係 | 着想がアイデアを量産 → 未来志向が一本のビジョンに束ねる |
5-2 着想 vs 分析思考(Analytical)
項目 | 着想 | 分析思考 (Analytical) |
---|---|---|
アプローチ | 発散・連想 | 収束・検証 |
強み | 斬新な組み合わせ | データで因果解明 |
リスク | アイデア散漫 | 確証待ちで停滞 |
補完関係 | 着想が独創案提示 → 分析思考が現実性を検証し実装へ |
6. まとめ
着想は “アイデアの火花を絶えず散らす創造エンジン” として、組織に新しい視点と革新的選択肢を供給する資質です。
- 特徴:連想的発想、異分野掛け合わせ、ストーリーメタファー
- 活かし方:発散⇄収束時間分離、異分野インプット、リアルタイム可視化、クエスチョンカード、アイデアバンク
- 注意点:実行不足、脱線、リスク軽視、早期批判による萎縮
- 付き合い方:発散ファシリ、制約パズル、タイムアタック、評価多軸化、プロトタイプ権付与
- 比較:未来志向とは “アイデア連鎖とビジョン”、分析思考とは “発散と検証” の対比
着想が健全に活かされれば、チームは “前例踏襲思考” から脱却し、連続的イノベーションと課題解決の可能性拡張を手にできます。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を参考に “アイデア・スパーク” を組織の創造力エンジンへ転換しましょう。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な着想は「アイデアを出すこと自体」に快感を覚え、思いつきの羅列や一貫性のない提案になりやすい。
- 成熟すると、「つながりのなかったもの同士を結びつけて新たな価値を創出する力」へと進化する。
- 例:以前は「面白そうだから提案したい」と思っていたが、成熟後は「この文脈ならこのアイデアが活きる」と判断基準を持つように。
2. 「聴く力」とのバランス
- 着想が強い人は、話の途中から次々とアイデアが浮かび、話を遮って提案したくなる衝動に駆られやすい。
- その結果、「聞いてくれなかった」「アイデアでかき消された」と受け取られることがある。
- 相手が何を求めているか(共感/整理/提案)を見極め、「いまは聴くフェーズ」と認識できると、人間関係がスムーズに。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 戦略性(Strategic)×着想
→ 多様なアイデアから選び取り、最短ルートを創出する“創造的プランナー型”。 - コミュニケーション(Communication)×着想
→ アイデアを言葉で魅力的に伝える“プレゼン巧者”。企画・提案業務で強みを発揮。 - 最上志向(Maximizer)×着想
→ 既存の仕組みをアップグレードする“洗練型アイデアマン”。改善提案や商品開発に適性。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 文脈に応じて最適なアイデアを提案し、議論に“創造的スパーク”を起こす。
- アイデアをアイデアのままで終わらせず、実装・改善につなげる“変換者”となる。
ベースメント(低成熟度):
- 話が脱線したり、アイデア過多で「まとまりがない」「現実味がない」と受け止められることも。
- 思いつきの連続が「飽きっぽい」「実行力に欠ける」という印象につながりやすい。
5. デジタル時代における活かし方
- ビジュアルツールでの発想整理が得意。アイデア同士のつながりを図解で示すことで、他者に伝わりやすくなる。
- SlackやDiscordでの非同期ブレストでは、スピード感と量産力が価値になる。
- ChatGPTなどの生成AIとの相性も良く、発想支援+選別力の掛け算でチームの創造性をリードできる。
7. 着想の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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