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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」34資質の中で 公平性(Consistency) は、“一貫したルールと透明な手続きを敷き、全員に平等な土台を提供する〈ジャスティス・エンジニア〉” と評される実行力系資質です。好き嫌いや上司の気分で決まるグレーゾーンを極力なくし、「誰がやっても・いつやっても」同じ基準で評価・運営されるしくみをつくります。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の 5つの観点から、公平性を徹底解説します。
1. 公平性の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “恣意性を排し、誰もが安心して努力できるルールを守り抜きたい” |
行動プロセス | 現状のフォーマットやフローをスキャンし不公平要因を検出。“例外・特例”を最小化した標準ルールを策定。新メンバーにもわかるよう手順書・FAQで透明化。 |
強みの現れ方 | 評価・昇進基準をドキュメント化し、属人性を排除。福利厚生やシフトをアルゴリズムで割当て、えこひいきを防止。会議発言や情報共有をルール運営し、声の大きさ格差を縮小。 |
価値提供 | “公正さの担保” によって組織への信頼感を高め、離職リスクや政治ゲームを低減。 |
キーワード | 一貫性/標準化ポリシー/透明性/平等アクセス/ルール遵守 |
2. 公平性を最大限に活かす方法
- “ポリシー・ハンドブック” を整備
勤怠・評価・報酬・リモート可否などを一冊に集約し、誰でも検索できるようクラウド公開。 - 自動ルールエンジンでヒューマンバイアスを排除
例:シフトや残業の割り当てを「条件に基づいた計算」で行い、上司の好みや慣習に左右されない仕組みに。公平性を仕組みで担保する。 - “ルール変更4ステップ” を定義
①現行ルールの問題点を収集 → ②代替案を関係者と検討 → ③影響シミュレーションを実施 → ④変更後のルールと開始日を周知・施行。 - “フェアネスKPI” を掲げる
昇進スピード格差、プロジェクト機会分布、休暇取得率をモニタリングし偏りを可視化。 - 年1回 “ルールの見直し日”
現行ポリシーを棚卸しし、環境変化で形骸化した条項を削除・更新する。
3. 公平性に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
融通のなさ | 緊急時でも規定変更に時間がかかる | “例外フラグ付き臨時手順”を用意し迅速な代替経路を確保 |
ルール維持コスト増 | ドキュメントが肥大化し更新負荷 | “使用頻度 × 影響度”で条項を整理しスリムに保つ |
個別事情の軽視 | 介護や家庭の事情など、個別の事情への柔軟な対応が遅れる | 包含や個別化の視点でケースバイケース表を併設 |
“お役所化”によるスピード低下 | 決裁フローが長大化 | 3段階以内の承認レイヤー厳守ルールを追加 |
4. 公平性を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- ルール策定プロジェクトに正式参加
採用プロセス刷新、評価制度改定など“公正基盤づくり”で才能が全開。 - 変更前に“影響シミュレーション”を共有
新ルールのメリット・デメリットを数字で示すと納得しやすい。 - 例外承認のプロセスを早めに相談
特例が必要な場合は手順と期限を明示し、システムの一部として扱う。 - “ルール→成果” をフィードバック
例:「新評価基準で離職率 −7 pt」「昇進格差が半減」など数値で価値を可視化。 - 柔軟派メンバーと“Dual Mode”運営
適応性・活発性と組ませ、緊急対応ルールと平時ルールの二面運用を実現。
5. よく比較される資質との違い
5-1 公平性 vs 包含(Includer)
項目 | 公平性 (Consistency) | 包含 (Includer) |
---|---|---|
主眼 | ルールの一貫性 | 輪の外の人を招く |
手法 | 規定・手続きを標準化 | ウェルカムサインで心理的障壁を下げる |
リスク | 融通不足 | 決定遅延 |
補完関係 | 公平性が共通基盤を整え、包含が取り残される人をフォロー |
5-2 公平性 vs 規律性(Discipline)
項目 | 公平性(Consistency) | 規律性(Discipline) |
---|---|---|
焦点 | 誰に対しても同じルールを適用 | 自分やチームの作業手順を整えて効率化 |
動機 | 公正さと平等を保ちたい | 秩序を保ち、効率よく進めたい |
リスク | 融通がきかず、硬直しやすい | 急な変化に弱く、柔軟性に欠ける |
補完関係 | 公平性が「適用ルールと例外基準」を設計し、規律性が「具体的な実行手順」を整える |
6. まとめ
公平性は “誰もが同じスタートラインに立てる公正基盤” を組織に提供し、信頼・エンゲージメント・透明性 を向上させる資質です。
- 特徴:標準ルール策定、透明プロセス、えこひいき排除
- 活かし方:ハンドブック整備、ルールエンジン、KPI、改定ワークフロー、ルール見直し日
- 注意点:融通不足、維持コスト、個別事情軽視、お役所化に注意
- 付き合い方:公正プロジェクト参加、影響シミュレーション共有、例外手順設計、成果フィードバック、Dual Mode運営
- 比較:包含とは “基盤とウェルカム”、規律性とは “適用範囲と手順詳細”の対比
公平性が健全に活きれば、チームは「誰が上司に気に入られたか」ではなく “ルールに基づく信頼と安心” を礎にし、健全な競争と長期的な協働が両立する組織へと進化します。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を手引きに “ジャスティス・エンジニア” として職場のフェアネス文化を強化してください。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な公平性は、「全員に同じルールを当てはめること」に固執し、柔軟性を欠きがち。
- 成熟すると、「誰に対しても透明で一貫性のある姿勢」を軸に持ちつつ、状況に応じた公正な判断ができる。
- 例:以前は「例外なく全員同じでなければ不公平」と考えていたが、成熟後は「背景や条件を考慮したうえで、公平に整える」スタンスに変化。
2. 「聴く力」とのバランス
- 公平性が高い人は、ルールや慣習を守ることに集中するあまり、相手の声や感情に十分に耳を傾けられないことがある。
- 「相手の状況を聴くことも“公正さ”の一部」と認識することで、判断に人間味が加わる。
- 「それぞれの立場を聞いたうえで、全体としてどうすべきか考えたい」と伝える姿勢が信頼を生む。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 責任感(Responsibility)×公平性
→ 約束や基準を守り抜く“信頼の守護者型”。チーム全体のモラル維持に貢献する。 - 調和性(Harmony)×公平性
→ 衝突を避けつつ、皆が納得するルールを導く“安定創出型”。調整役として重宝される。 - 目標志向(Focus)×公平性
→ 目標達成のためにルールを明確にし、ブレずに進む“軸のある推進者型”。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 誰に対してもブレない判断軸があり、透明性・一貫性・信頼感をチームにもたらす。
- ルールを使って人を守り、混乱を防ぎながら秩序と安心を提供する存在となる。
ベースメント(低成熟度):
- 画一的なルール適用に固執し、「柔軟性がない」「融通がきかない」と誤解されがち。
- 「ルールのためのルール」になってしまい、本来守るべき人や目的を見失う危険がある。
5. デジタル時代における活かし方
- ワークフロー管理、プロセス設計、規定整備など、一貫性が求められる業務で真価を発揮。
- デジタルツールを活用し、誰もが迷わず動ける“仕組みづくりの番人”に。
- 多様性のあるチームにおいて、公平なルール設計を担い、心理的安全性の基盤構築に寄与する。
7. 公平性の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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