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マズローの自己実現的人間とは?B価値とD価値の側面から解明する!

2024年5月14日

この記事は約22分40秒で読むことができます。

自己実現的人間

マズローの自己実現的人間とは?B価値とD価値の側面から解明する!

アブラハム・マズローは、心理学に革命をもたらした理論家として知られています。その中でも「自己実現」という概念は、彼の理論の中核を成すものであり、多くの人が憧れ、追求する目標として位置づけられています。マズローは、人間の基本的な欲求を階層的に整理した「欲求階層論」で知られていますが、その最上位に位置するのが「自己実現の欲求」です。

自己実現とは、自分の潜在能力を最大限に発揮し、真に満足感を得られる人生を送ることを意味します。マズローは、多くの人が自己実現に到達できていない一方で、少数の人々がその高みに達していることを見出しました。自己実現者は、自己の内なる可能性を発揮し、より高次の価値を追求することに喜びを感じるとされています。

マズローは、この自己実現者たちが共通して持つ高次の成長欲求(Growth-needs)に基づいた価値観を「B価値(Being-values)」と呼び、これを自己実現の基盤としました。一方、自己実現に至る前に必要な基本的欲求、つまり欠乏欲求(Deficiency-needs)に関連する価値観は「D価値(Deficiency-values)」と定義されました。

B価値は、人間の成長と豊かな経験をもたらすものであり、美や真実、自己充足といった高次の価値観が含まれます。一方のD価値は、食事や安全、愛と所属など、欠乏を補うための基本的な価値観であり、生存や安心感を得るために重要です。

本ブログでは、マズローの理論をもとに自己実現的人間の特徴を探り、B価値とD価値の違いを明らかにすることで、自己実現に向けた道筋を明確にします。自己実現への理解を深め、高次の価値観を追求することが、より充実した人生をもたらすための鍵となるでしょう。

マズローの自己実現理論

自己実現とは何か?

自己実現とは、アブラハム・マズローの心理学理論の中で、欲求階層論の最上位に位置する概念であり、人間の潜在的な能力や可能性を最大限に発揮し、自分自身の価値や目標に忠実な生活を送ることを指します。自己実現的人間は、自分の才能や能力を活かし、自分が望むように人生を生きることで深い満足感や充足感を得ます。

マズローは、自己実現を「個人が持つすべての潜在能力を発揮し、その人間らしい特徴を最大限に表現すること」と定義しました。自己実現に達した人々は、自分の内なる可能性に忠実であり、外部の期待や社会的なプレッシャーに左右されることなく、自分の人生の目標を追求するための行動を取ります。

自己実現の定義とマズローの理論における位置付け

マズローの理論での自己実現の位置付けは、彼の「欲求階層論」に基づいています。欲求階層論では、人間の欲求を以下のような段階的な層に分類します。

  1. 生理的欲求(Physiological needs):食事、睡眠、呼吸、排泄など、生命維持に必要な基本的欲求。
  2. 安全の欲求(Safety needs):物理的な安全、経済的安定、健康、法的保護などの安心感に関する欲求。
  3. 愛と所属の欲求(Love and belonging needs):友情、家族、愛情、集団への所属など、人間関係に関する欲求。
  4. 承認の欲求(Esteem needs):自尊心、他者からの評価、地位、成功などに関連する欲求。
  5. 自己実現の欲求(Self-actualization needs):自分の潜在能力を最大限に発揮し、自己の成長と達成を求める欲求。

この中で、自己実現の欲求は最上位に位置し、他の基本的な欲求が満たされた後に追求されるものとされています。生理的欲求や安全の欲求などの基本的な欲求を「欠乏欲求(Deficiency needs, D-needs)」と呼びますが、これらの欠乏欲求が満たされて初めて、自己実現という「成長欲求(Growth needs, B-needs)」にたどり着けます。

欲求階層における自己実現の役割

欲求階層論における自己実現の役割は、人間の成長と満足感の追求を象徴しています。マズローは、欠乏欲求が満たされることで心理的安定が得られ、より高次の成長欲求が活性化されると考えました。自己実現の欲求は、成長欲求の頂点に位置し、個人が自分の才能や可能性を最大限に発揮し、自己表現や自己超越を目指すための道しるべとなります。

この欲求階層において、自己実現の欲求が満たされることで、個人は以下のような特徴を持つとされています。

  • 自己の現実的な受容:自己の長所や短所を含め、自分自身を正確に理解し受け入れる。
  • 他者の受容:他人を偏見なく受け入れ、他者の価値や意見に対して寛容である。
  • 創造性:独創的で新しいアイデアを生み出す能力があり、日常生活の中で創造性を発揮する。
  • 目的意識:自分の人生の目標を明確に持ち、それに向かって努力する。
  • 自律性:他者の意見や期待に左右されず、自分の信念に基づいて行動する。
  • 深い人間関係:少数の親しい友人や家族と深い信頼関係を築くことができる。
  • ユーモアのセンス:他者を傷つけない、健全なユーモアを楽しむことができる。

「心理的健康」との関連性

自己実現の理論は、心理的健康と密接な関係にあります。マズローは、自己実現の過程を通じて心理的健康が達成されると考えました。彼によれば、自己実現に向けて成長する人々は、より高次の価値観を持ち、日常生活でのストレスや困難に対して柔軟に対処できる心理的な強さを持つとされています。

心理的健康と自己実現の関連性は次のようにまとめられます。

  • 自己受容と肯定的な自己評価:自己実現者は、自分をありのままに受け入れ、肯定的な自己評価を持っています。自己の強みと弱みを認識しながらも、それを自己成長に活かすことができます。
  • 他者への共感と理解:自己実現者は、他者の立場や感情に共感し、違いを尊重する姿勢を持っています。これにより、豊かな人間関係を築くことができます。
  • 内的動機づけ:自己実現者は、外部からの報酬や評価ではなく、自分の内なる目標や価値観によって動機づけられています。このため、外部からのプレッシャーに左右されず、自分のペースで成長と達成を目指します。
  • 柔軟性と創造性:自己実現者は、日常生活において柔軟な思考と創造性を持ち、問題解決や自己表現において新しい方法を見出すことができます。

総じて、マズローの自己実現理論は、個人が自己の潜在能力を最大限に発揮し、真の幸福と充足感を得るための指針を提供しています。自己実現に向けて成長することで、人はより高次の価値を追求し、豊かな人生を築くことができるのです。

B価値とD価値の概念

アブラハム・マズローは、人間の欲求階層論において、基本的な欲求と高次の欲求を明確に区別しました。これに基づいて、彼は二つの価値観、「B価値(Being-values)」と「D価値(Deficiency-values)」の概念を提唱し、人間の動機づけと成長の違いを示しました。

B価値(Being-values)とは?

定義と特徴:

B価値(Being-values)は、「存在価値」とも訳され、人間の自己実現や自己超越の段階で追求される高次の価値観を指します。自己実現に達した人々が追求する価値であり、欠乏を満たすための価値ではなく、人間として成長するために追求する価値です。B価値は以下の特徴を持ちます。

1. 全体性(Wholeness)

   – 統一性(unity)、統合(integration)、一体性への傾向(tendency to one-ness)、相互関連性(interconnectedness)、単純さ(simplicity)、組織(organization)、構造(structure)、二分法の超越(dichotomy-transcendence)、秩序(order)

2. 完全性(Perfection)

   – 必要性(necessity)、ちょうど良さ(just-right-ness)、適切さ(just-so-ness)、不可避性(inevitability)、適合性(suitability)、正義(justice)、完全性(completeness)、「~であるべき」(”oughtness”)

3. 完成(Completion)  

   – 終わり(ending)、最終性(finality)、正義(justice)、「完了した」(”it’s finished”)、達成(fulfillment)、終わりと目的(finis and telos)、運命(destiny)、宿命(fate)

4. 正義(Justice)  

   – 公平さ(fairness)、秩序(orderliness)、合法性(lawfulness)、「~であるべき」(”oughtness”)

5. 躍動、生き生きとしたもの(Aliveness)

   – プロセス(process)、生きていること(non-deadness)、自発性(spontaneity)、自己調整(self-regulation)、完全な機能(full-functioning)

6. 富裕、豊かさ(Richness)

   – 差別化(differentiation)、複雑さ(complexity)、精巧さ(intricacy)

7. 単純さ、簡潔さ(Simplicity) 

   – 正直さ(honesty)、むき出しの状態(nakedness)、本質性(essentiality)、抽象的で本質的な骨格構造(abstract, essential, skeletal structure)

8. 美(Beauty) 

   – 正しさ(rightness)、形(form)、生き生きとしたもの(aliveness)、簡潔さ(simplicity)、豊かさ(richness)、完全性(wholeness)、完全さ(perfection)、完結(completion)、独自性(uniqueness)、正直さ(honesty)

9. 善(Goodness)  

   – 正しさ(rightness)、望ましさ(desirability)、「~であるべき」(oughtness)、正義(justice)、慈善(benevolence)、正直さ(honesty)

10. 独自性(Uniqueness) 

    – 特異性(idiosyncrasy)、個性(individuality)、比較できないもの(non-comparability)、新奇さ(novelty)

11. 無礙(むげ)、努力が不要で自然(Effortlessness) 

    – 容易さ(ease)、緊張・努力・困難の欠如(lack of strain, striving or difficulty)、優雅さ(grace)、完璧で美しい機能(perfect, beautiful functioning)

12. 遊興、遊び心(Playfulness)

    – 楽しさ(fun)、喜び(joy)、娯楽(amusement)、陽気さ(gaiety)、ユーモア(humor)、活気(exuberance)、努力の回避(effortlessness)

13. 真実(Truth)

    – 正直さ(honesty)、現実(reality)、むき出しの状態(nakedness)、簡潔さ(simplicity)、豊かさ(richness)、「~であるべき」(oughtness)、美(beauty)、純粋で混ざり気のないもの(pure, clean and unadulterated)、完全さ(completeness)、本質性(essentiality)

14. 自己充足(Self-sufficiency)

    – 自律性(autonomy)、独立性(independence)、他に依存しないこと(not-needing-other-than-itself-in-order-to-be-itself)、自己決定(self-determining)、環境の超越(environment-transcendence)、分離性(separateness)、自分自身の法則に従って生きること(living by its own laws)

参考:https://en.wikiversity.org/wiki/Virtues/Being-values

自己実現とB価値の関係:

自己実現者たちは、これらのB価値を自然と追求し、生活の中で大切にしています。彼らは、自分の存在そのものに価値を見出し、B価値に基づいた人生を送ることで深い満足感を得ています。B価値は、自己実現のプロセスで生まれるものであり、個人の成長や豊かな経験を象徴します。マズローは、自己実現者たちがB価値を追求することで、より高い次元の幸福感や心理的健康に達すると考えました。

D価値(Deficiency-values)とは?

定義と特徴:

D価値(Deficiency-values)は、「欠乏価値」とも訳され、人間の欠乏欲求(Deficiency-needs)に基づく価値観を指します。これは、欲求階層論で示される下位の欲求であり、生理的欲求や安全の欲求、愛と所属の欲求、承認の欲求などが含まれます。D価値の特徴は次の通りです。

  • 生理的欲求: 食事、睡眠、呼吸、排泄など、生存に必要な基本的欲求に関連する価値。
  • 安全の欲求: 物理的な安全、経済的安定、健康、法的保護などに関連する安心感。
  • 愛と所属の欲求: 友情、家族、愛情、集団への所属など、人間関係に関する価値。
  • 承認の欲求: 自尊心、他者からの評価、地位、成功などに関連する自己評価。

欠乏欲求とD価値の関連性:

D価値は、欠乏欲求を満たすために追求されるものであり、その目的は安心感や安定感を得ることにあります。欠乏欲求が満たされていない場合、人は不安や焦燥感、満たされない感覚を抱きます。D価値の追求は、一時的な満足感を与えるものの、次第に新たな欠乏を感じるようになります。

D価値の追求からB価値の追求へのシフト:

マズローは、人間の欲求階層が満たされることで、D価値の追求からB価値の追求へと自然にシフトすると考えました。具体的には、基本的な生理的欲求や安全の欲求、愛と所属の欲求、承認の欲求が満たされた状態で初めて、人は自己実現の欲求に目を向けるようになります。

D価値の追求からB価値の追求へのシフトは、心理的な健康と成熟のプロセスを象徴しています。欠乏欲求が満たされることで、個人はより高次の成長欲求に目を向け、自己の成長や他者への貢献を目指します。このシフトにより、人は自己実現者としてB価値を追求し、以下のような変化が生じます。

  • 欠乏感から充足感への移行: 欠乏感による不安や焦燥感から、存在価値を見出すことで得られる充足感にシフトします。
  • 自己中心から利他主義への移行: 欠乏を満たすための自己中心的な行動から、他者への共感や貢献を重視した利他主義に移行します。
  • 外的動機づけから内的動機づけへの移行: 他者からの承認や報酬などの外的動機づけから、自分の価値観や目標による内的動機づけにシフトします。

B価値の追求は、自己実現のプロセスに不可欠な要素であり、個人が真に豊かな人生を送るための鍵となります。

D価値からB価値への移行

もう少し詳しく見ていきましょう。マズローの欲求階層論では、自己実現の欲求に達する前の段階として、生理的欲求や安全の欲求、愛と所属の欲求、承認の欲求など、基本的な「欠乏欲求」が位置付けられています。これらの欠乏欲求に基づく価値観は「D価値(Deficiency-values)」と呼ばれ、人間が不足を感じるときに追求する価値です。

一方、自己実現の段階で追求される高次の価値観である「B価値(Being-values)」は、欠乏を満たすためのものではなく、人間が成長と自己実現を求める際に自然と現れる価値観です。

D価値の追求が持つ限界や注意点

D価値の追求は、生理的欲求や安全の欲求など、人間の基本的なニーズを満たすために必要不可欠ですが、その追求には限界があります。

1. 欠乏感:

   – D価値の追求は、欠乏からの逃避や解消を目的とするため、一時的な満足感は得られるものの、根本的な充足感をもたらすものではありません。

   – 例えば、食事をとった後に一時的に満足しても、再び空腹になればまた食事を求めるように、不健康なD価値の追求は終わりのないループに陥る可能性があります。

2. 自己価値の低下:

   – D価値の追求に集中することで、他者からの評価や社会的な地位に依存するようになり、自己価値を外部の評価に頼る傾向が強くなります。

   – その結果、他者からの承認が得られない場合に自己価値が低下し、自尊心の喪失や不満足感につながります。

3. 不安感:

   – 欠乏欲求の満足度が低いと、人は自分の生存や安定に対して不安を感じやすくなります。

   – 例えば、経済的な不安や社会的な孤立感など、さまざまな面で不安感が増すと、自己実現の追求よりも欠乏を満たすことに意識が向いてしまいます。

B価値の追求によるメリット

一方、D価値の追求からB価値の追求へと移行することで、人は自己実現の段階に近づき、より豊かな人生を送ることが可能になります。B価値の追求によるメリットは次の通りです。

1. 幸福感と満足感の向上:

   – B価値は、自分の存在そのものに価値を見出すため、外部の承認や評価に依存しない内的な幸福感と満足感をもたらします。

   – 自己実現者は、B価値を追求することで自己の成長や人生の目的を実現し、より充実した生活を送ります。

2. 人生の意味と目的の発見:

   – B価値は、自己実現者が持つ目的意識や価値観に基づいているため、彼らは自分の人生に深い意味と目的を見出します。

   – 自己実現者は、自分が本当にやりたいことや目指すべき目標を明確に持ち、それに向けて行動するため、自己の存在意義を強く感じることができます。

3. 自己超越の可能性:

   – B価値の追求は、自己の成長や自己実現にとどまらず、他者への貢献や利他主義を含む「自己超越」の領域にまで拡大します。

   – マズローは、自己実現者たちが自己超越の状態に達すると、人類全体や地球環境に対する意識が高まり、利他主義的な行動を取るようになると考えました。

D価値の追求からB価値の追求へのシフト

D価値の追求からB価値の追求への移行は、人間の成長と自己実現にとって重要なプロセスです。そのためには、まず欠乏欲求がある程度満たされる必要があります。生理的欲求や安全の欲求、愛と所属の欲求、承認の欲求などがある程度満たされることで、初めて自己実現への道が開かれます。

このシフトを実現するためのステップは次のようにまとめられます。

1. 欠乏欲求を認識し、満たす:

   – 自分の欠乏欲求に気づき、それを満たすための努力をすることで、安心感や安定感を得ます。

2. 自己の価値観と目標を見つめ直す:

   – 自分が本当にやりたいことや大切にしている価値観を見つめ直し、それに基づいて人生の目標を設定します。

3. B価値に基づく行動を取る:

   – B価値に基づいた行動を日常生活に取り入れることで、自己実現に向けた歩みを進めます。

D価値からB価値への移行は、心理的な健康と満足感の向上に直結し、自己実現と自己超越への道を開く重要なステップとなります。

自己実現の実践的なアプローチ

自己実現は、アブラハム・マズローが提唱した理論の中で、最も高次の欲求を満たす段階であり、多くの人が目指す目標です。しかし、自己実現の追求には多くの障害が伴い、それを乗り越えるための実践的なアプローチが必要です。ここでは、自己実現に向けたヒントとステップ、具体的な日常生活での実践法、自己実現の過程での障害とその対処法について解説します。

自己実現に向けたヒントとステップ

自己実現に向けたアプローチは、まず自分自身を深く理解し、真に自分の価値観や目標に基づいた行動を取ることから始まります。

1. 欠乏欲求からの脱却:

   – 欠乏欲求は、生理的欲求や安全の欲求などの基本的なニーズであり、これらが満たされていない場合、他の高次の欲求に取り組むのは困難です。

   – まずは、健康な生活習慣の確立や経済的な安定、人間関係の構築などを通じて、安心感を得ることが重要です。

2. 真の自己の発見:

   – 自己実現に向けた次のステップは、自分の価値観や情熱、才能、強みや弱みを見つけることです。

   – 自己理解を深めるための質問例:

     – 自分が心から楽しめることは何か?

     – 他人からどのようなポジティブなフィードバックを得ることが多いか?

     – 自分にとっての理想的な未来とはどんなものか?

   – これらの質問に対する答えを見つけることで、自己の価値観や目標を明確にします。

※このプロセスにおいてはプロのコーチのコーチングを受けて自己理解を深めるのが非常に効果的です。

3. B価値を意識した日常生活の実践:

   – B価値(Being-values)は、自己実現者が持つ高次の価値観であり、これを日常生活で意識的に実践することが重要です。

   – 例えば、美(Beauty)を意識するために、自然の風景やアート作品を楽しむ時間を作ることや、真実(Truth)を大切にするために自分や他人に誠実でいることなどが挙げられます。

4. 成長マインドセットの養成:

   – 自己実現者は、失敗や困難に直面したとき、それを成長の機会と捉えます。

   – 「失敗から学ぶ」という成長マインドセットを持つことで、挑戦を恐れずに新しい経験に挑戦できます。

自己実現の過程での障害と対処法

自己実現の過程では、多くの障害や内面的な葛藤に直面することがあります。これらの障害を乗り越えるための対処法を紹介します。

1. 社会的期待や固定観念からの解放:

   – 多くの人が、家族や友人、社会の期待や固定観念に縛られ、自分の本当の目標に向かって進めないことがあります。

   – 解放のためのステップ:

     – 自分にとっての本当の幸せを考える:社会的期待に応えるためではなく、自分が心から満足できることを考えましょう。

     – 小さな一歩から始める:いきなり全てを変えるのではなく、まずは小さな行動から始め、自分の目標に向けた一歩を踏み出すことが重要です。

2. 内面的な葛藤の解決:

   – 自分の内なる欲求や目標と、現実の生活との間に葛藤がある場合、それが自己実現の障害となることがあります。

   – 葛藤の解決のための方法:

     – 日記やセルフリクレクション:日記を書くことで、自分の考えや感情を整理し、問題の根本に気づくことができます。

     – メンタリングやコーチング:信頼できるメンターやコーチからのフィードバックを受けることで、自己理解を深め、葛藤を解消するための視点を得られます。

3. 恐怖や不安の克服:

   – 自己実現に向けた行動には、新しいことへの挑戦やリスクが伴い、恐怖や不安が生じることがあります。

   – 克服のためのステップ:

     – 恐怖や不安の原因を特定する:何に対して恐怖や不安を感じているのか、具体的な原因を明確にします。

     – スモールステップの実践:一度に大きな目標を達成しようとするのではなく、小さなステップで成功を積み重ねることで自己効力感を強化し、自信をつけます。

まとめ

自己実現は、一朝一夕で達成できるものではなく、継続的な努力と内省が必要です。しかし、自己実現に向けたアプローチを取り入れることで、より豊かな人生を築くことができます。欠乏欲求からの脱却、本当の自己の発見、B価値を意識した日常生活の実践、そして自己実現の過程での障害を乗り越えることが、自己実現の達成に向けた鍵となります。このプロセスは言い換えると「真の自分に近づくプロセス」とも言えます。そのプロセスには時に苦悩も伴います。しかし、その苦悩と向き合うことを避けずに、自分と向き合い続けるからこと自己実現的人間へと近づけるのです。

全体のまとめ

自己実現的人間になるために

アブラハム・マズローの理論において、自己実現は人間の最も高次の欲求であり、多くの人が目指すべき目標です。自己実現者になるためには、まず「B価値」と「D価値」の違いを理解することが重要です。D価値は欠乏欲求に基づく価値観であり、安全、愛、承認など、基本的なニーズを満たすために追求されます。しかし、D価値の追求には限界があり、自己認識が欠如した状態での過度なD価値の追及は欠乏感や自己価値の低下、不安感を引き起こす可能性が高くなります。

一方で、B価値は自己実現の過程で現れる高次の価値観であり、美や真実、独自性といった価値観を追求することで、より深い幸福感と満足感をもたらします。B価値の追求は、自己実現者が持つ目的意識や価値観に基づいて行われ、自分自身の存在そのものに価値を見出すことにつながります。

自己実現に向けた取り組みとしては、まず欠乏欲求をある程度満たし、B価値を意識した日常生活を実践することが重要です。具体的には、自分の本当の価値観や目標を見つけ、それに基づいて行動すること、B価値に沿った行動を日常生活に取り入れること、そして社会的期待や固定観念から自分を解放することが含まれます。

自己実現への道は一朝一夕に達成できるものではありませんが、B価値とD価値を理解し、自己実現に向けた実践的な取り組みをすることで、より充実した豊かな人生を築くことが可能になります。

コラム:欠乏欲求を満たさないと自己実現にたどり着けないのか?

欠乏欲求を満たさないと自己実現にたどり着けないというのは、マズローの理論上の一般的な解釈です。彼は「欲求階層説論」で、生理的欲求や安全の欲求などの基本的な欠乏欲求が満たされて初めて、愛と所属、承認、そして最終的に自己実現の欲求に到達すると述べました。しかし、これは必ずしもすべての人に当てはまるわけではなく、異なるアプローチを取ることも可能です。

B価値を明らかにするアプローチ:

自己実現に向けたアプローチとして、まずB価値を明らかにし、その追求に基づいて行動することで、自然と基本的欲求が満たされる可能性も考えられます。以下のステップを踏むことで、自己実現に向かって進みながら、基本的欲求も同時に満たしていくことができるでしょう。

1. B価値を明確にする:

   – 自分にとって重要なB価値を見つけ出します。

   – 例:美、真実、独自性、完全性など。

   – 自分の価値観や人生の目的を見直し、それに基づいてB価値を追求する方向性を定めます。

2. B価値に基づいた行動をする:

   – 日常生活でB価値に基づいた行動を取り入れます。

   – 例:美(自然の美しさを楽しむ、アート作品を創作する)、真実(誠実なコミュニケーションを心掛ける)、遊び心(趣味に時間を費やす)など。

3. 基本的欲求の満足:

   – B価値を追求する行動が自然と基本的欲求を満たす結果を生みます。

   – 例:美を追求する活動が新たな人間関係の構築につながり、愛と所属の欲求を満たす。

   – 例:独自性を追求した行動が自己肯定感を高め、承認の欲求を満たす。

4. 欠乏欲求への対応:

   – それでも満たされない基本的欲求がある場合は、それを意識的に解決するための対策を取ります。

   – 例:経済的な安定のために資金計画を立てる、人間関係をより積極的に築くなど。

結論:

必ずしも欠乏欲求を完全に満たさないと自己実現にたどり着けないわけではありません。B価値を追求することが基本的欲求の充足に寄与する場合もあり得ます。自己実現に向けたアプローチは一様ではないため、自分自身に合った方法でB価値を追求しながら、基本的欲求も同時に満たす道を探ることが大切です。

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