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自己受容という人生哲学 – 自己受容力を高める5つのステップ -|COACHING-L

2023年12月8日

この記事は約10分52秒で読むことができます。

自己受容

自己受容という人生哲学

先日コーチングセッション中、自己受容についての僕の考え方をフィードバックしたところ、クライアント様から是非コラムを書いて欲しいとリクエストを頂いたいので記事にしてみようと思う。

僕は自分自身の経験からも、クライアント様を見ていても、いや、日常の人々との交流からでさえ、この自己受容という考え方を実践できている人はとても少ないと感じている。そもそも自己受容とは何か?この言葉の捉え方は人によって様々だろう。一般的には、以下のように定義されることが多いのではないだろうか。

・ありのままの自分を受け入れる

・自己否定せずに、自分を認める

ただ、少し抽象度が高いので、僕は以下の通り定義したい。

自己受容の定義

自身の存在と行動を切り分け、たとえ行動が失敗に終わっても、自分自身を卑下する事なく、自分自身の存在を、不完全である自分を受け入れられる心の在り方

ここで、存在と行動を切り分けるという部分に注目してほしい。例えば、選択した行動の結果が失敗に終わった時、本来であれば行動のみに焦点をあて、修正すればよいだけのことを、自分の存在自体を否定し、自己嫌悪に陥り、そこからネガティブなスパイラルに陥ってしまうといった経験はないだろうか?このような自己卑下という”思考の癖”がついてしまうと、ことあるごとに自分を否定し、建設的な問題解決には繋がらない。

また、職場ではこんなケースもあるだろ。

部下や同僚の失敗を自分が抱え込み、

「自分が悪かったんだ」

「自分がしっかりしていればこんなことにはならなかったんだ」

これは自己卑下癖がついてしまっている人の顕著な例だと思う。

同時に、相手の課題と自分の課題の切り分けができていないので、人の課題まで自分が抱え込んでしまう

かく言う私も、以前このような思考に陥ってしまった経験がある。

僕はこの状態を「境界線を超えている」と表現することがあるが、アドラー心理学的に言えば、課題の分離ができていない。

また、目的論に沿えば、自己卑下することで、得られる何か(目的)があるから、その場に留まり続けようとしているのかもしれない。

以前ブログで紹介したエリック・バーン博士の交流分析の理論から鑑みると、人はストローク(他社の存在を認める為の働きかけや言動・行為)が欲しいから生きいているのであり、このような状態に留まる事で、周りから「同情や共感」などの承認がもらえる可能性が高まる。また同時に、課題の分離が出来る自分へと成長する勇気を持てないこと(変化に対する不安)により、変化の先延ばしを誘発しているのかもしれない。そう、人は、その状態が嫌だと言いながらも、その環境に留まることにメリットがあるから留まるのだ。

※以前紹介した交流分析のブログはこちら

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どう対処すれば良いのか?

自己受容

僕は自己受容という態度は、人生哲学であり、ひとつのセルフマネージメントの技術だと思っている。これは、自己理解という日々の鍛錬を継続することで誰もが身につけることができるのだ。例えば、僕が提供するライフコーチングでは以下のプロセスを踏み、自己理解を深めることで確実に自己受容感を高めることが出来る。

※ライフコーチングとは何か?を知りたい方はこちらをクリック

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自己理解の為の5つのステップ

自己理解の5つのステップ

①自己開示

②Visionを語る

③価値基準を言語化にする

④才能を把握する

⑤自己基盤を強化する

一つ一つ説明していきたい。

①自己開示

まずは自分の生い立ちから現在までを振り返り言葉にする。人は人生の経験に何かしらの意味づけをするものなので、印象深い出来事を長めに話す傾向がある。そこからクライアントの思考の癖、感情の扱い方の特徴、言葉の使い方から見えるセルフイメージ、価値観などを垣間見ることができる。クライアントの例を挙げると、過去の記憶をかなり鮮明に覚えている方がおり、その点をフィードバックしたところ、自分が常に過去について考え、過去に囚われていると言う事実に気づき、過去を手放すという行動に移すことに成功した。また、別の方の例を挙げると非合理的(問題解決につながらない)な思い込みや信念などに囚われている場合、この段階で、それらの兆候が見えてくることもあるし、話題に出てこないことが人生の大きなテーマだったということもある。大人になればなるほど、自分の人生を振り返る機会は減少していく。自己開示が終了した際、「時間が足りない、もっと話したかった」という声を聞くこともあり、自分の内側にあることを言葉にすること、利害関係のない信頼できる第三者に耳を傾けてもらう効果は想像以上に大きい。

②Visionを語る

自分がどんな人生を生きていきたいのか、何を望んでいるのかを言葉にする。普段内省する時間が取れず、理想の状態を言葉にする習慣がない場合、未来を描くことが難しいと感じる方もいる。ただ、自己啓発の名著でもあるスティーブン・コビー博士の”7つの習慣”でも言われているが、人生を豊かにするためには緊急ではなく、人生において重要なことに視点を当てる必要がある。仕事、家庭などで緊急なことに追われ、自分を犠牲にしている人には特に、このプロセスで無理矢理にでも未来に視点を当てることが重要になってくる。例えば、仕事や子供にばかり時間を使い、人生という文脈から「自分」という存在が抜け落ちている方に時折お会いする。そういった方は、自分の理想の状態に向き合うことでエネルギーを取り戻すことがある。「今まで言葉にすることが無かったので言葉にできて良かった」という声をクライアントからもらうこともある。周りにばかり目を当てずに、自分自身に目を当て、自分の人生を自分で切り拓くという決意を促す為にも、未来に視点を当てることが重要になってくるのだ。

③価値基準を言語化する

皆さんは、人生の何に価値を置いているのかを言葉にしたことはあるだろうか?何となく分かっている人はいるかもしれないが、明確に言語化できているだろうか?価値基準とは、理想的な未来というゴールに向かう体内のコンパスのようなもので自己実現には欠かせないツールとも言える。ここでクライアントの例を挙げてみよう。例えば、自分が価値を置いていると感じていたことが、実は他人や社会に思い込まされていたものだったというケースに遭遇することがある。親の言うことに逆らわず生きてきた”順応性が高すぎる人”などはこの傾向が強く出ることがある。親や教師、他人の価値観に従順になり過ぎたことにより、他人が価値を置いていることと自分が価値を置いていることの区別がつかなくなってしまっているのだ。また、価値基準に倫理観は関係ない(社会的な倫理観を無視しろという意味ではない)。あなたが真に大切にしたいことは何なのか、心の底から価値を置いていることが何なのか、別に恥ずかしいことなどは何もない。誰かに評価される為だけではなく、自分で自分を評価するという態度を身につけるにも、この価値基準を言語化し、コーチに対して言葉にしてみることは自分自身を勇気づける意味でも大きな価値がある。

④才能を把握する

人間には生来、得意不得意がある。これは個人的な印象だが、僕の世代の教育では強みを伸ばすよりも弱みを克服することに主眼が置かれていたと思う。だが、ここに残念なデータがある。ストレングスファインダーを提供するGallup社のデーターでは、強みを伸ばす方が弱みを伸ばすよりも約4倍の成果が出るというエビデンスが提供されている。自己理解という文脈から考察すれば、自分の強みと弱みを把握することで、自分自身の活かし方がクリアになる。強みを最大限活かし、弱みは受け入れマネージメントすることで、行動の精度が上がり、成果につながりやすい。ストレングスファインダーでは強みを活かすことに焦点が置かれているが、僕は、この弱みを受け入れることにも大きな意味があると思っている。

例えば僕個人の例で言えば、僕は社交性が低い。前職の役員時代から名刺交換会などが苦手だった。独立してからは極力そういった場を避けることでエネルギーの浪費を最小限に抑えている。また、どうしても苦手な人と使い合う際にも、僕の学習欲という上位資質を使って補うようにしている(学習欲は学ぶことに対するモチベーションが高いので、人に対する興味という視点から人付き合いをすることで低い社交性をカバーするのだ)。また自己受容という観点からアプローチしてみよう。人はこの弱みが問題として表面化した際に、存在自体への否定に繋がる可能性がある。自分の弱みを言語化することの恩恵は成果を最大化することだけでなく、弱みを統計的エビデンスに基づき受け入れることができるようになる。且つ、その弱みを”存在”と切り離すという視点を得ることで、更に自らを受容できるようになるのだ。

⑤自己基盤を強化する

最後は自己基盤である。自己基盤の概要は以下の記事を参考にして欲しのだが、僕はコーチングを実施するうえで自己基盤という概念をとても大切にしている。自己基盤は以下の9つで構成されており、自己実現を果たす為だけでなく、充実した日々を送るための心身の基盤となる考え方だ。

自己基盤の要素

・価値基準

・ニーズ

・信念

・セルフイメージ

・境界線

・未完了

・妥協

・エネルギーの源泉

・才能(強みと弱み)

自分がどんなことに価値を置いているのか、どんな欲求を持っているのか、どんな信念(思い込み)に囚われているのか、自分自身にどんなイメージを持っているのか、超えてはいけない境界線をコントロールできているのか、やり残している未完了がないか、何に妥協しているのか、どんなときにエネルギーが高まり、どんな時に下がるのか、才能を活かして生きられているか、一方で弱みを受け入れられているか、これらと徹底的に向き合い、心身の基盤を強化していく。これも僕の例を挙げてみたい。僕は以前、コーチングのアクションプランとして自発的に自己基盤強化月間を実施した。1ヶ月間、自分の感情の動きがあった際に、メモに書き留め、上記自己基盤の要素の何に反応して感情が動いたのかを徹底的に分析した。

収集した情報を調べてみると、自分は境界線の概念(変えられないことにエネルギーを使う、例えば上司の考え方に固執するなど)や信念(他人に対して自分と同じような価値基準で行動すべきである、というような囚われ)によりエネルギーの消耗が激しいことが分かった。1ヶ月ほど繰り返すと、自分のエネルギーを奪う思考形態(ネガティブな感情や行動を誘発する原因)がある程度パターン化出来ることに気づき、それらに対処することでエネルギーの消耗は劇的に減ったのだ。

自己基盤を強化するとは言い換えれば”自分についても学ぶこと”であり、この学びに終わりはない。年齢、環境などライフステージが変われば、価値基準が変わる可能性も当然あり、定期的に自分自身をメンテナンスするという意味でも、自己基盤は常に強化し、整え続ける必要がある。自らの基盤を強化するとは言い換えれば自己理解を深め、自己受容感を高めることでもある。その結果、建設的な行動を継続することが可能となり、自分を信じる力、即ち、自信という態度が身につくと考えている。

まとめ

これら5つのステップ経て、且つ⑤については日々の生活で回転させ続けることで、自己理解がより深まり、理解することでより自己を受け入れることができるようになる。他者との交流を考えてほしい。相手のことを知らずして、理解せずして、受け入れることはできるだろうか?例えばパートナーを探す時もそうだろう。相手の価値観、性格、生い立ちなどを知り、理解することでより深く受け入れることができる。人は知らないことには不安や恐怖心を抱きやすいものだ。だから、能動的に理解するという姿勢が求められる。これは他人だけでなく、自分についても同じことが言える。人は自分のこととなると、分かったつもりになりがちだが、自分のことは客観的に見えないからこそ、むしろ理解することが難しいとも言えるのだ。だからこそ、コーチやカウンセラーなどの対人支援のプロと共に客観的な視点を入れつつ、自己を探求することに価値がある。

ここで今一度、僕の考える自己受容の定義を見てみよう。

自己受容の定義

自身の存在と行動を切り分け、たとえ行動が失敗に終わっても、自分自身を卑下する事なく、自分自身の存在を、不完全である自分を受け入れられる心の在り方

先の5つのプロセスにより自己を理解することで、自分の”存在”を受け入れられるようになる。成功した時にのみ自分を認めてあげるというような条件付きの自己肯定ではなく、自分の存在自体を認められるようになるのだ。存在と行動を切り離すことができれば、常に問題解決に向けて建設的な行動が取れるようになる。自己卑下によるネガティブな感情に振り回される時間は劇的に減少し、自分の使いたいことに使える時間が増大する。その結果、自己実現へと繋がっていく。もし、自己卑下という負のスパイラルに陥っているようであれば、是非、この考え方を思い出し、実践してみてほしい。そして、一人では難しいと感じることがあれば、いつでも僕に連絡をしてほしい。僕は、そんなみなさんの力になりたい。自己受容という人生哲学の獲得を目指して。

参考文献

・認知行動療法に学ぶコーチング

・嫌われる勇気

・アドラー臨床心理学

・アルフレッド・アドラー心理学入門

・自信がなくてもうまくいく!人生が輝き始める逆転の発想

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