コーチング 栄養学

睡眠と血糖値の関係性:なぜ徹夜は体に悪いのか?

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睡眠と血糖値

睡眠と血糖値の関係性:はじめに

私たちの健康を支える大切な要素のひとつに「睡眠」があります。また、血糖値のコントロールも生活習慣病予防の鍵として重要であり、特に糖尿病やメタボリックシンドロームの予防・管理に欠かせません。実は睡眠と血糖値は相互に深く関係しており、一方が乱れるともう一方にも悪影響を及ぼします。本記事では、この相互作用をわかりやすく解説し、日常生活で実践できる改善ポイントをご紹介します。


1. 睡眠と糖代謝の基礎知識

1-1. 睡眠のメカニズム

睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠(深い睡眠)」の2つの段階があり、1サイクルは約90分です。ノンレム睡眠中には成長ホルモンが分泌され、体の修復や代謝調整が行われます。一方、レム睡眠は脳が活発に働き、記憶整理や感情調整に関与します。この2つがバランス良く繰り返されることで疲労回復やホルモンバランスが保たれます。

1-2. 血糖値とインスリンの役割

食事によって摂取された糖質は血液中に取り込まれ、血糖値を上昇させます。この際、膵臓から分泌される「インスリン」が筋肉や脂肪細胞に糖を取り込み、血糖値を正常範囲に戻します。しかし、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じると、同量のインスリンでは血糖値を下げにくくなり、高血糖状態が持続します。


2. 睡眠不足が血糖値に与える影響

2-1. インスリン感受性の低下

深いノンレム睡眠が不足するとインスリン抵抗性が高まり、血糖コントロールが不安定になります。これは睡眠不足により、成長ホルモンやコルチゾールの分泌リズムが乱れ、インスリンの働きを妨げるためです。

2-2. 食欲ホルモンの乱れ

睡眠不足は食欲増進ホルモン「グレリン」の分泌を増やし、満腹感ホルモン「レプチン」の分泌を減少させます。その結果、過食傾向が強まり、血糖値スパイク(食後の急激な血糖上昇)を招きやすくなります。

2-3. 自律神経のバランス悪化

睡眠不足は交感神経を活発化させ、血圧上昇や肝臓での糖新生(体内での糖生成)が促進されます。これにより、食事に依らない血糖値の上昇を引き起こします。


3. 血糖コントロールの乱れが睡眠に及ぼす影響

3-1. 高血糖による睡眠障害

血糖値が高いと、喉の渇きや頻尿が起こり、夜間に何度も目覚めてしまいます。特に糖尿病初期では自覚症状が乏しくても睡眠の質が低下しやすくなります。

3-2. 低血糖による覚醒

糖尿病治療薬やインスリンにより血糖値が下がり過ぎると、手足の震え、不安感、発汗が起き、睡眠が中断されます。夜間の低血糖は特に気付きにくいため、睡眠の質低下に注意が必要です。

3-3. 慢性的な血糖変動と睡眠の質

血糖値の変動が大きいほど、睡眠の深さや連続性が損なわれることが明らかになっています。血糖値の乱高下がストレスホルモンを分泌させ、自律神経バランスを崩すことで、睡眠の持続性や回復効果が低下します。


4. 快適な睡眠を得るためのポイント

4-1. 規則的な睡眠スケジュール

毎日同じ時間に就寝・起床することで、体内時計を整えます。就寝前のスマホやパソコンの使用はブルーライトが睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑えるため、就寝1時間前には画面から離れることが望ましいでしょう。

4-2. 寝る前の“血糖安定化”

夜遅い時間の高糖質摂取は血糖値スパイクを招き、寝付きや睡眠の深さに影響します。夕食は炭水化物は控えめにして、良質なタンパク質や食物繊維、良質な脂質をバランスよく摂ることで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。

4-3. 適度な運動習慣

日中にウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れると、インスリン感受性が向上し、夜間の血糖コントロールが改善します。ただし就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激して寝付きにくくなるため、就寝2~3時間前までに終えるのが理想的です。

4-4. ストレス管理

慢性的なストレスはコルチゾール分泌を促し、睡眠の質を下げるだけでなく、血糖値を上昇させる要因にもなります。深呼吸、瞑想、趣味の時間確保などで心身をリセットしましょう。


5. 血糖値を安定させるための生活習慣

5-1. 朝食の取り方に気をつける

朝食は糖質を控え、良質なタンパク質、脂質をバランス良く摂ることで、朝方の低血糖や空腹感を防ぎ、日中の過食を抑制します。血糖値の急上昇を抑え、安定したエネルギー供給が得られます。

5-2. 食後の軽い活動

食後のウォーキングは血糖値上昇を和らげ、インスリンの働きを助けます。デスクワーク中心の方は、会議後の短い散歩やストレッチを取り入れてみましょう。

5-3. 水分補給

十分な水分摂取は血液の流動性を保ち、高血糖時の血液粘度上昇を抑えます。カフェインの多い飲料よりも、水やハーブティーなどを選ぶとよいでしょう。

5-4. 定期的な健康チェック

血糖値やHbA1c(過去数か月の血糖値を反映する指標)を測定し、自分の血糖コントロール状態を把握しましょう。異常が見られたら予防医療の専門医や栄養士に相談することが大切です。


まとめ

睡眠と血糖値は互いに影響し合う深い関係があり、片方を改善することでもう片方の調整もしやすくなる“好循環”を生み出せます。不規則な生活やストレス、運動不足、食事バランスの偏りなど、現代人が陥りやすいリスク要因を見直し、良質な睡眠習慣と血糖コントロールを同時に実践していきましょう。

主なポイント

  • 睡眠不足はインスリン感受性を低下させ、過食傾向を招く
  • 血糖の乱高下は夜間覚醒や睡眠の質低下につながる
  • 規則的な就寝・起床、就寝前の食事管理、適度な運動、ストレスケアが鍵
  • 朝食や食後の軽い活動で血糖値を安定させる
  • 定期的な健康チェックで自身の血糖コントロール状態を把握

睡眠と血糖値のバランスを整えることは、心身ともに健康で活力ある毎日を支える基盤です。ぜひ今日から実践して、快適な眠りと安定した血糖値を手に入れましょう。


コラム:徹夜と血糖値の関係性

徹夜(24時間以上の連続覚醒)は、身体のホメオスタシスを大きく乱し、血糖値にも顕著な影響を及ぼします。短期的には「一晩だけの睡眠不足」と思われがちですが、実際にはインスリン感受性、自律神経、ホルモンバランス、食行動など、多くの要因が複雑に絡み合い、血糖コントロールを不安定化させます。以下では、主なメカニズムを解説し、徹夜後に血糖値管理を整えるポイントを示します。

1. インスリン感受性の急激な低下

ノンレム睡眠(深い睡眠)が削られると、インスリン受容体の働きが鈍くなり、同じ量のインスリンでは血中のブドウ糖を取り込みにくくなります。特に徹夜直後には、食後の血糖上昇がより高く、かつ長時間持続しやすいことが知られています。これは、肝臓での糖新生が促進される一方、末梢組織での糖摂取が滞るためです。

2. コルチゾール分泌の増加

徹夜はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を高めます。コルチゾールは血糖を上昇させる作用があり、本来であれば朝方にピークを迎えるはずの分泌リズムが、昼夜を問わず持続的に高い状態になります。これにより血中のブドウ糖が過剰に放出され、血糖値スパイクや空腹感の増加を招きます。

3. 食欲調節ホルモンの乱れ

徹夜により食欲を操作するホルモンも大きく乱れます。グレリン(食欲促進ホルモン)は増加し、レプチン(満腹感ホルモン)は減少するため、つい高糖質・高脂質の間食に手が伸びやすくなるのです。夜間の過食はインスリン分泌を過剰に刺激し、その後の反動で低血糖を招くリスクもあります。

4. 自律神経の偏りと糖代謝

徹夜は交感神経優位の覚醒状態を強め、副交感神経による休息・消化機能を抑制します。交感神経刺激下では肝臓での糖新生が活発となり、食事に依らない血糖値上昇が見られます。加えて、末梢の血流が低下し、インスリンの効き目がさらに鈍化します。

5. 徹夜明けの血糖コントロール対策

  1. 短時間仮眠:20~30分のパワーナップでノンレム睡眠を部分的に補い、インスリン感受性改善を助ける。
  2. 軽い有酸素運動:朝のウォーキングやストレッチで筋グルコース取り込みを促進し、食後血糖上昇を抑制。
  3. タンパク質中心の朝食:炭水化物を控えめにし、卵などの良質なタンパク質を摂ることで血糖値変動を緩やかにする。
  4. 水分補給とカフェイン制限:十分な水分で血液粘度を下げ、交感神経刺激の強いカフェインは控えめに。

徹夜は一時的な覚醒状態ですが、血糖値コントロールへの影響は思いのほか大きく、繰り返すことで代謝疾患リスクを高めます。どうしても夜通し作業が必要な場合は、上記の対策を組み合わせ、一刻も早く規則正しい睡眠リズムへ戻すことが重要です。

注意事項 : 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的・専門的なアドバイスの代替を意図するものではありません。具体的な疑問や不安がある方は専門家の判断を仰いでください。


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