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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」の 34 資質の中で 親密性(Relator) は、“深い信頼関係を築き、絆の強さで成果を促進する磁力” と形容される人間関係構築系資質です。表面的なつながりよりも “腹を割った本音” を重視し、チームの心理的安全性を底上げします。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の 5 観点から、親密性を徹底解説します。
1. 親密性の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “少人数でもいい、本音で語り合える仲間と深い絆を築きたい” |
行動プロセス | 初対面では慎重に相手を観察。一度 “仲間” と認定すると一気に距離を縮める。信頼構築のために時間とエネルギーを惜しまない。 |
強みの現れ方 | 心理的安全性の高い空気をつくる。チームの結束力を高める潤滑油になる。難しい話題でも真正面から向き合い、対話を続ける。 |
価値提供 | メンバー同士の「壁」を取り除き、率直なフィードバックや協力を促すことでパフォーマンスを底上げ。 |
キーワード | 深い絆/信頼/本音/結束力/心理的安全性 |
2. 親密性を最大限に活かす方法
- 小規模チームでのキーパーソンを担う
大人数の前で広報的に話すより、5〜6 人規模のユニットで濃密な対話を重ねる場面に力を発揮します。 - “共通体験” を意図的に増やす
合宿、ワークショップ、プロジェクトの振り返りなど、メンバーが感情を共有できる機会を企画しましょう。共通体験の深さが信頼関係構築を加速します。 - 一対一ミーティングを定例化
親密性は相手の価値観や弱みを聞き出すのが得意。定期的な(少なくとも月 1 回)の 1 on 1 でメンバーの本音にアクセスしてサポートプランを提示すると、高いエンゲージメントを生みます。 - フィードバックの媒介役になる
「A さんの意図は B さんにこう伝わっている」など、双方の真意を翻訳して橋渡しすると衝突が建設的な学習機会に変わります(この場合、Aさんと既に信頼関係を築いているか媒介役になることの了承を得ることが前提)。 - 成果だけでなく “関係の質” も指標化する
定例会などで「最近チームに対して安心して発言できている?」など関係性の指標を測り、改善策を講じると強みが数字でも評価されます(心理的安全性についてbefore / afterでアンケートを取るなど定性的になりがちな親密性の資質を定量化することで上層部からの評価にも繋がりやすくなる)。
3. 親密性に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
内輪重視で外部ネットワークが狭まる | 仲間内で完結し、外の知見を取り入れにくい | 社外交流会やクロスファンクショナルPJに定期参加 |
ラポール構築に時間をかけすぎ意思決定が遅れる | 「もっと相手を知ってから…」とプロジェクトがスタートしない | 目的共有 → 小さな共同作業 → 振り返りの3ステップなどで仕組み化する |
“仲間 / 非仲間” の線引きが強く排他的に映る | 新しい人が輪に入りにくい雰囲気が醸成される | オリエンや歓迎ランチを主導し “輪の入り口” を用意 |
深い対話ゆえに感情を抱え込みやすい | 相手の悩みを聴き過ぎて自分が疲弊 | コーチ・カウンセラー役を分担し、自身の心の休息を確保 |
4. 親密性を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- 時間軸を長めに設定して関係構築する
「今週中に結果を出す」より「半年かけてチームを強くしたい」など、長期ビジョンを共有すると本領発揮。 - プライベートなエピソードを適度に開示する
趣味・家族・挫折体験などを話すと、相手も自己開示しやすくなります。 - 信頼できる少人数ミーティングを設定
1 on 1 または 3〜4 人のブレストで意見を引き出すとアイデアが豊富に出ます。 - 重要なフィードバックは対面で
チャットでは誤解が生じやすいので、面と向かって真意を伝えましょう。 - “チームの空気が重い” と感じたら真っ先に相談する
潜在的な不満や摩擦を察知して和らげるのが得意なので、早期火消し役として機能します。
5. よく比較される資質との違い
5‑1 親密性 vs 社交性(Woo)
項目 | 親密性 | 社交性 |
---|---|---|
対人ターゲット | 既存の “内輪” を深める | 新しい人に次々と声をかける |
エネルギーの源 | 信頼の深さ | 出会いの数 |
成功イメージ | 心を開き合う絆 | 幅広く豊かなネットワークを築く |
苦手領域 | 大規模パーティーの軽快な立ち回り | 長期的に一人と向き合う深掘り |
コンビ活用 | 社交性が連れてきたメンバーを、親密性が深い仲間へと育てる |
5‑2 親密性 vs 共感性(Empathy)
項目 | 親密性 | 共感性 |
---|---|---|
主なフォーカス | 信頼関係の構築 | 感情の察知と共有 |
手法 | 率直な対話・共同体験 | ノンバーバルシグナルの読み取り |
方向性 | 関係性を継続的に強化 | 今この瞬間の気持ちを理解 |
リスク | 外部との閉鎖性 | 情緒的に巻き込まれすぎる |
コンビ活用 | 共感性が感情変化を察知→親密性が対話で関係修復 |
6. まとめ
親密性は「深い絆づくり」と「心理的安全性の醸成」を武器に、チームを “相互信頼による高生産体” へと変える資質です。
- 特徴:少人数で本音を語り合い、結束力を高める
- 活かし方:小規模ユニットでキーパーソン、共通体験を増やし、1 on 1 で本音を引き出す
- 注意点:内輪主義・意思決定の遅れ・排他性・感情疲労に要注意
- 付き合い方:長期ビジョン共有・自己開示・少人数ミーティング・対面フィードバック
- 比較:社交性とは “深さと広さ”、共感性とは “関係強化と感情共有” の違い
親密性を活かせば、個々の強みが安心して発揮され、チームは “信頼ベースの高速協働体制” を構築できます。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を参考に “絆の磁力” を組織の持続的競争力へ昇華させてください。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な親密性は「自分が信頼できる人だけと関わりたい」という閉鎖的な親密志向になりがち。
- 成熟すると「信頼関係のネットワークを育てる責任ある立場」に進化し、チーム全体に心理的安全性の文化を波及させることができる。
- 例:かつては“気の合う仲間”との関係づくりに終始していたが、成熟すると「新たな関係を育てていく役割」を自覚し始める。
2. 「聴く力」とのバランス
- 親密性はもともと「聞く力」が強いが、「理解する」ことと「背負いすぎない」ことのバランスが重要。
- 自己犠牲型の聞き役に陥ると、感情を抱え込みやすくなる。
- 対策:聞いた内容をチームで共有できる形に変換(例:共感 → 方針化)し、自分だけに溜め込まない仕組みを持つ。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 責任感(Responsibility)×親密性
→ 約束を守り、裏切らない存在として信頼を深く構築する“信頼の番人”。 - 学習欲(Learner)×親密性
→ 相手への興味・理解を深めるプロセスが学びとなり、人間関係に知的好奇心を持ち続ける。 - 指令性(Command)×親密性
→ 相手と深く向き合いながらも、必要なときに明確にリードする“骨太の対話型リーダー”。
4. バルコニーとベースメントの対比
- バルコニー(高成熟度):
- 誰に対しても丁寧に信頼関係を築こうとし、対話の文化をチーム全体に浸透させる。
- 「あの人と話せば落ち着く」と感じさせる存在として、心理的安全性の中核になる。 - ベースメント(低成熟度):
- “自分の仲間だけが大事”という意識が強くなり、新しい人や変化を拒む排他性が出やすい。
- 対立や誤解を避けて対話を先延ばしにすることで、課題の放置につながることも。
5. デジタル時代における活かし方
- オンライン会議やリモートワークでは、偶発的な雑談や感情共有の機会が減少するため、親密性の強みが埋もれやすい。
- 対策:
- 月1の1 on 1 Zoomで「最近どう?」から入る会話をセット。
- Slackやチャットでも「ありがとう」「最近どう?」などの軽めの共感表現を意識的に取り入れると、親密性の磁力が生きる。
- また、オンラインワークショップでアイスブレイクやエピソード共有の場を設定するなど、“人間味の補充”を設計する力として活かせる。
7. 親密性の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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