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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」34資質の中で 回復志向(Restorative) は、 “問題の根本原因を突き止め、壊れたものを機能する姿へ甦らせる〈ロジカル・リペアラー〉” と評される実行力系資質です。バグのにおい、プロセスのほころび、チームのパフォーマンス低下など “異常値” を嗅ぎ取るとスイッチが入り、根治策を設計して正常状態へ導きます。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の5つの観点から、回復志向を徹底解説します。
1. 回復志向の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “壊れているものを直し、再び機能させたい” |
行動プロセス | 異常値・エラーログ・クレームなど “不調のサイン” を即検知。症状を切り分けて真因を特定(5Whys、ロジックツリーなど)。恒久的対策を実装し、再発防止チェックをセット。 |
強みの現れ方 | 複雑なバグや売上急落原因を迅速に突き止める。品質保証やCS改善プロジェクトで中心的役割。メンバーのモチベ低下要因を診断し、環境を再設計。 |
価値提供 | 問題の“応急処置”ではなく “根治” を目指し、組織の信頼性とコスト効率を向上。 |
キーワード | 根本原因解析/トラブルシュート/再発防止/品質復元/問題解決 |
2. 回復志向を最大限に活かす方法
- 不具合報告の窓口を統一し、再現情報を標準化する
バグや障害の報告ルートを一本化し、誰でも同じ形式でインシデントを記録できるようにする。 - RCA(Root Cause Analysis)テンプレートを標準装備
問題の根本原因を整理・分析するためのテンプレート(例:5 Whys や フィッシュボーン図など)を共有フォルダやチームツールに準備しておく。 - “早期検知KPI”をダッシュボード化
MTTR(平均復旧時間)、バグ初期発見率、顧客クレーム一次対応時間などを可視化し、改善ループを高速回転。 - “復旧→恒久対策→フォローアップ”3段階チェック
暫定fixで止めず、恒久対策と30 日後の追跡レビューを義務化。 - 部門を越えて「振り返りの文化」を育てる
トラブルが発生した後は責任追及をしない前提で関係者で振り返りを行う。そこでの学びを公開し組織横断でナレッジ蓄積。
3. 回復志向に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
問題探しのループ | 直す対象を探し続け改善より問題指摘に偏重 | “修正実装完了数/問題発見数 ≥ 1” を自己KPI に設定 |
ネガティブ評価に陥る | 不具合ばかり目に入りチームの士気を下げる | “問題→改善効果” をセットで共有しポジティブ転換 |
完璧主義でリリース遅延 | 全バグゼロまで出荷しない | 不具合の「影響の大きさ」と「起きやすさ」を評価し、優先度を決めて段階的に修正やリリースを実施。 |
責任範囲の肥大化 | 全修正を自分で抱え込みオーバーワーク | トラブルを分類し、専門チームへパスするルールを設置 |
4. 回復志向を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- トラブル対応の責任者を任せる
緊急対応チームやCS改善タスクフォースでリーダーを委ねると才能が最大化。 - 問題報告には“再現情報&範囲”を添付
事象ログ・スクショ・環境を渡し、診断ループ回転数を高める。 - 成功を“損失回避額” “復旧時間短縮” で称賛
「MTTR −35 %」「解約率0.8pt改善」など定量で効果を可視化。 - 段階リリース計画を共同設計
活発性・目標志向と組み、暫定fix → 小規模リリース → 全面展開のロードマップを描く。 - “問題発見→学び共有→自動化”をループ化
その場限りの修正で終わらせず、再発防止のための自動処理(スクリプト)や仕組みを整えることで、問題対応の経験を「今後に役立つ仕組み」へと昇華。
5. よく比較される資質との違い
5-1 回復志向 vs 慎重さ(Deliberative)
項目 | 回復志向 | 慎重さ (Deliberative) |
---|---|---|
焦点 | 発生した問題の修復 | 発生前のリスク回避 |
タイミング | 事後対応が強い | 事前予防が強い |
リスク | 問題指摘過多 | 機会損失 |
補完関係 | 慎重さがリスク低減 → 回復志向が残存不具合を根治 |
5-2 回復志向 vs 規律性(Discipline)
項目 | 回復志向 | 規律性 (Discipline) |
---|---|---|
目的 | 不具合修復・品質復元 | 手順標準化・再現性確保 |
手法 | 原因分析→恒久対策 | テンプレ・チェックリスト |
リスク | 修正工数増大 | 硬直化 |
補完関係 | 回復志向が根治策設計 → 規律性が手順化し再発ゼロへ |
6. まとめ
回復志向は “壊れた仕組みを根治し復活させるトラブルシュート・エンジン” として、組織に 品質安定・顧客信頼・コスト最適化 をもたらす資質です。
- 特徴:不具合検知、原因解析、恒久対策、再発防止
- 活かし方:窓口統一、RCAテンプレ、早期検知KPI、3段階チェック、部門横断文化
- 注意点:問題探しループ、ネガティブ印象、完璧主義、責任肥大に注意
- 付き合い方:トラブル対応責任者、再現情報提供、成果数値化、段階リリース、学び共有→自動化
- 比較:慎重さとは“事後根治と事前リスク”、規律性とは“修復策と標準運用”の対比
回復志向が健全に活きれば、チームは “不具合に振り回される火消し文化” から脱却し、トラブルを学習資産に変えるレジリエント組織 へ進化します。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を手引きに “ロジカル・リペアラー” として組織の信頼と価値を回復・強化してください。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な回復志向は、「問題を見つけて直すこと」自体が目的化し、重箱の隅をつつくような指摘になりやすい。
- 成熟すると、「何が本質的な課題か」を見極め、構造的に問題解決に導く力として発揮される。
- 例:以前は不具合ばかりに目が行っていたが、成熟後は「影響度と優先度」を判断し、冷静に最善策を考えるようになった。
2. 「聴く力」とのバランス
- 回復志向が強い人は、話の中から問題やほころびを無意識に探すため、ついすぐに“修正”に入りがち。
- 「まずは相手の感情や意図を受け取る」プロセスを意識することで、“聞いてもらえた感”を相手に与えやすくなる。
- 「今、気になった点があるのですが、確認してもよいですか?」とワンクッション置くと、会話の滑らかさが増す。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 分析思考(Analytical)×回復志向
→ 課題の構造をロジカルに把握し、根本原因にアプローチする“問題解体職人型”。再発防止にも強み。 - 責任感(Responsibility)×回復志向
→ 任された仕事の不備を徹底的に修正する“信頼の守護者型”。品質と信頼性に妥協しない。 - 親密性(Relator)×回復志向
→ 仲間の不安や悩みに寄り添いながら、解決へと導く“信頼と補修の支援者型”。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 問題の優先順位を判断し、効果的な修正を提案・実行できる“現実的な改善者”。
- 他人の失敗も責めず、解決志向で冷静に道筋を示す存在となれる。
ベースメント(低成熟度):
- 問題点ばかりにフォーカスし、「粗探し」や「批判的な人」と見られやすい。
- 小さなミスにも過剰反応し、自他ともに疲弊する原因になることも。
5. デジタル時代における活かし方
- NotionやGoogleドキュメントの「コメント」機能で、建設的なフィードバックや改善提案を発信しやすい。
- デジタル業務のミスやバグに気づきやすく、オンラインチームの“品質保証係”として活躍。
- バグ修正やマニュアル改善など、「一度の工夫で全体を救う」仕事に向いている。
7. 回復志向の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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