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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」34資質の中で 自我(Significance) は、“注目と評価をモチベーションに、世の中に強い足跡を残すことを追い求める〈インフルエンスドライバー〉”と評される影響力系資質です。注目や評価をモチベーションに、平均的では満足せず “他者にインパクトを与える仕事” を追究する姿勢は、イノベーション創出やブランド価値向上に不可欠な推進力となります。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の5つの観点から、自我を徹底解説します。
1. 自我の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “大きな影響を与え、世の中から価値ある存在として認められたい” |
行動プロセス | 自分の成果が誰に、どれだけ届くかを常に意識。高い難度や大きな舞台ほど挑戦意欲が上昇。外部からのフィードバックを敏感に捉え、次の行動へ反映。 |
強みの現れ方 | チームに高い目標とワクワクするロードマップを提示。自ら率先し目に見える成果・革新的アウトプットを生む。社外登壇・SNS 発信などブランド拡張に積極的。 |
価値提供 | 組織に “卓越基準” と広報力をもたらし、プロダクトや人の存在感を市場で際立たせる。 |
キーワード | インパクト/パーソナルブランディング/高難度志向/評価指標/卓越追求 |
2. 自我を最大限に活かす方法
- “影響マップ” でターゲットを明確化
プロジェクト開始時に「誰に/どの場面で/どんな変化を与えるか」を図示し、注力ポイントを決める。 - ハイステークスKPI(達成すれば大きな注目・影響・リターンを得られる重要指標)を設定
例:業界アワード受賞、ユーザー利用者数100 万人など、大きな指標を掲げて才能を点火。 - シグネチャー・プロジェクトを持たせる
会社の“顔”となる案件をリードさせると、責任感と創造的エネルギーが最大化。 - 成果とストーリーを外部発信
ブログ記事・カンファレンス登壇・ポッドキャスト出演などでアウトプットし、影響範囲を拡張。 - ハイレベルなフィードバックを定期取得
メンターや業界オピニオンから意見をもらい、次の挑戦へ素早く軌道修正。
3. 自我に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
承認依存 & 情緒の乱高下 | “いいね” 数で気分が振れる | 内的評価指標(学び量・改善率)も並行セット |
自己PR過多で反感 | 会議やSNSなどで自分の功績ばかりアピール | “私”→“私たち” の言い換え+チーム功績を同時称賛 |
安全圏を避け過ぎリスク肥大 | 目標が高すぎ納期超過 | ステップ目標とガードレールKPI※(品質・コスト)を設置 |
スポットライトの偏り | “私が前に出る” で対立 | 役割と露出機会をローテーションし、均等にスポットライト |
※ガードレールKPIとは暴走や偏りを防ぐために設ける“下限・上限・制限付き”の補助的な目標指標。主要なKPI(例:売上や成長)だけを追いすぎて、品質低下・コスト増・倫理問題などが起きるのを防ぐ“安全基準”です。
4. 自我を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- “影響が可視化されるゴール” を提示
例:「この新機能で解約率を3pt下げ、2 万人のユーザー体験を向上させる」 - フィードバックは“質の高い舞台”で
社長メンション、外部誌インタビューなど注目度の大きい場で成果を讃えるとモチベーション爆増。 - 数字+ストーリーで成果を共有させる
「DL数150%成長」+「顧客がこんな声をくれた」の二軸で語らせると影響が伝播。 - 過度な自己演出をファクトで整える
発表内容を事前レビューし、誇張表現をデータで裏打ち or トーン調整。 - 内省時間を確保し“意義”を点検
“なぜ影響力を求める?” “誰のため?” を定期的に問い、方向性をブレさせない。
5. よく比較される資質との違い
5-1 自我 vs 競争性(Competition)
項目 | 自我 | 競争性 (Competition) |
---|---|---|
ドライブ源 | 注目・意味付け | 順位・勝敗 |
評価基準 | インパクトの大きさ | ランキング・比較スコア |
リスク | 自己PR過多 | 敗北ストレス |
補完関係 | 競争性がトップ獲得→自我がその意義と社会的認知を拡散 |
5-2 自我 vs 最上志向(Maximizer)
項目 | 自我 | 最上志向 (Maximizer) |
---|---|---|
焦点 | 注目される価値 | 卓越した品質 |
モチベ源 | 影響力・称賛 | 完璧・卓越度 |
リスク | 派手だが粗い | 納期遅延 |
補完関係 | 最上志向が品質を極め→自我が魅力的に発信し市場で存在感を確立 |
6. まとめ
自我は “注目を集め、インパクトを示す動力源” として、組織に 卓越基準・ブランド力・大胆な挑戦文化をもたらす資質です。
- 特徴:高難度志向、大舞台志向、外部発信による影響拡大
- 活かし方:影響マップ、ハイステークスKPI、シグネチャー案件、外部発信、ハイレベルFB
- 注意点:承認依存、自己PR過多、リスク肥大、内戦化に注意
- 付き合い方:影響ゴール提示、高舞台フィードバック、数字+ストーリー共有、事前レビュー、意義再確認
- 比較:競争性とは “注目と順位”、最上志向とは “影響力と卓越度” の対比
自我が健全に活きれば、チームは “目立つことへの遠慮” を脱ぎ捨て、社会に鮮やかな足跡を残す挑戦者集団へ進化します。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を参考に “インパクト・ドライバー” を組織の成長エンジンへ転換しましょう。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な自我は「承認欲求」と混同されやすく、他者からの評価ばかりを追い求めてしまう傾向がある。
- 成熟すると、「自分の存在が何に貢献できるか」という社会的インパクト志向に転化される。
- 例:以前は「目立ちたい」「評価されたい」が原動力だったが、成熟後は「価値ある影響を残したい」「誰かの人生を変えたい」へとシフト。
2. 「聴く力」とのバランス
- 自我が強い人は、自分の意見や成果をしっかり伝える一方、“聴く時間”が不足しがち。
- 傾聴の時間を意図的に確保することで、「一方通行の語り手」から「共鳴を生む語り手」へ進化する。
- 「あなたの話を聞かせてください」「今はまず受け取ります」というスタンスが、信頼関係を深める。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 最上志向(Maximizer)×自我
→ 卓越へのこだわりが「高い基準と誇り」を生み、ロールモデル型リーダーとして影響を与える。 - 目標志向(Focus)×自我
→ ブレずに突き進む姿勢が、周囲に覚悟と刺激を与える“旗持ち役”。 - 未来志向(Futuristic)×自我
→ ビジョンを通じて、「何を成すべきか」「どんな影響を与えたいか」を描き、共感と行動を生むストーリーテラーとなる。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 自分の価値を信じた上で、他者に与えるインパクトを主軸に行動できる。
- 責任ある立場を引き受け、組織や社会における“象徴的な存在”として力を発揮。
ベースメント(低成熟度):
- 「もっと認められたい」「目立ちたい」という焦りから、自己中心的な行動に走る。
- 承認を求めすぎて、「評価依存」「常に満たされない感覚」に陥ることも。
5. デジタル時代における活かし方
- SNSやコンテンツ発信において、自分の声・思想を広める力として機能。
- ZOOMやSlackなどの場でも、“語る力”によって場にエネルギーや方向性をもたらすことができる。
- 自己表現だけでなく、「どんな影響を残すか?」に焦点を当てると、承認欲求から貢献欲求へと進化する。
- 発信の目的を明確化、影響範囲を質で評価することでSNSでの承認欲求の罠(いいね依存)に対処する。
7. 自我の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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