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エリクソンの発達理論とピアジェの発達理論の違いとは?心理学の視点からわかりやすく解説

この記事は約4分58秒で読むことができます。

エリクソンの発達理論とピアジェの発達理論の違いとは?心理学の視点からわかりやすく解説

1. はじめに:発達心理学の2大理論とは?

「人はどのように成長し、どのように変化していくのか?」

この問いに答えるために、発達心理学という学問が存在します。その中でも、とりわけ影響力の大きい理論を打ち立てたのが、エリク・エリクソンジャン・ピアジェです。

二人とも発達の「段階」を重視しましたが、その焦点や目的はまったく異なるものでした。この記事では、両者の理論を体系的に比較し、教育や心理支援の現場でどのように活用できるかを考察します。


2. エリクソンの発達理論とは?

2-1. フロイトの精神分析からの拡張

エリク・エリクソン(Erik H. Erikson)は、精神分析を土台としながらも、社会との関係性を重視した発達理論を打ち立てました。彼の理論は「心理社会的発達理論」と呼ばれます。

フロイトが性的エネルギー(リビドー)に着目したのに対し、エリクソンは「個人の内面と社会の相互作用」に注目しました。

2-2. 発達の8段階と心理社会的危機

エリクソンは、人の発達を生涯にわたる8つの段階で捉え、それぞれに「心理社会的危機(crisis)」があると考えました。

発達段階年齢発達課題(危機)
1. 乳児期0〜1歳信頼 vs 不信
2. 幼児前期1〜3歳自律性 vs 恥・疑念
3. 幼児後期3〜6歳積極性 vs 罪悪感
4. 学童期6〜12歳勤勉性 vs 劣等感
5. 青年期12〜20歳アイデンティティ vs 拡散
6. 初期成人期20〜30歳親密性 vs 孤立
7. 中年期30〜65歳生殖性 vs 停滞
8. 老年期65歳〜統合 vs 絶望

例えば、青年期の課題は「自分とは何者か」という問い(アイデンティティ)に答えることです。ここでの達成が、その後の人生の安定性に大きく関わります。

2-3. 心理社会的発達理論をより詳しく学びたい方はこちら!

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3. ピアジェの発達理論とは?

3-1. 認知構成主義の立場

ジャン・ピアジェ(Jean Piaget)は、スイスの心理学者で、子どもが自らの力で世界を理解する過程(=認知発達)を追究しました。彼の理論は「認知発達理論」と呼ばれます。

ピアジェは、「子どもは大人のミニチュアではなく、独自の思考世界を持っている」と考えました。

3-2. 4つの発達段階と認知構造の変化

ピアジェは子どもの思考能力がどのように変化するかを、以下の4段階に分けました。

発達段階年齢特徴
1. 感覚運動期0〜2歳五感と運動で世界を理解、対象の永続性を獲得
2. 前操作期2〜7歳言語の発達、自己中心的思考、論理的操作は困難
3. 具体的操作期7〜11歳論理的思考が可能に、保存の概念の獲得
4. 形式的操作期11歳以降抽象的思考、仮説の操作、メタ認知の芽生え

特に重要なのが、「保存の概念」の理解。これは、たとえ形が変わっても量は同じであるという認識で、論理的思考の出発点とされます。

3-3. 認知発達理論をより詳しく学びたい方はこちら!

認知発達理論
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4. 両者の違いをわかりやすく比較する

両者はともに発達段階を重視しましたが、その目的・対象・方法において根本的に異なります。以下の比較表にまとめます。

観点エリクソンピアジェ
理論の焦点心理社会的課題(感情・人間関係)認知的課題(思考の構造)
発達段階8段階、生涯にわたる4段階、子ども中心
理論のルーツフロイトの精神分析認知構成主義、科学的観察
発達の要因社会との関係性知識構築と環境との相互作用
キーワードアイデンティティ、危機、信頼スキーマ、同化、調節、保存
実用面での活用カウンセリング、心理支援、ライフコーチング教育、知能テスト、学習支援

5. 教育や心理支援への活用

5-1. 教育におけるピアジェの貢献

ピアジェ理論は、教育分野において多大な影響を与えています。

  • 子どもの思考は段階的に発達するという前提に立ち、年齢に応じた教育内容の設計が行われるようになりました。
  • 「探究学習」や「アクティブラーニング」など、子どもが自ら知識を構築する学習法も、彼の影響を受けています。

5-2. 心理支援におけるエリクソンの貢献

一方、エリクソンの理論は、自己理解や人生の課題に向き合う支援に大きな示唆を与えます。

  • 青年期の「アイデンティティの確立」は、思春期の不安や葛藤への理解に役立ちます。
  • 成人期・老年期における「生殖性」「統合」などの課題は、ライフコーチングやキャリア支援の現場で活用されています。
  • 認知症ケアや終末期医療においても、老年期の課題である「人生の統合」が重要視されます。

6. 結論:どちらが優れているのかではなく、どう使うか

エリクソンとピアジェの発達理論は、それぞれ異なる視点から人間の成長を捉えているため、優劣をつけるものではありません

  • 教育現場では、ピアジェの理論が子どもの「思考の限界」を理解し、適切な教材・課題を提供するうえで重要です。
  • 心理的成長や社会的適応に関わる支援では、エリクソンの理論が「今どの課題を生きているか」を見極める助けになります。

現代の実践的な場面では、両者を補完的に理解し活用することが、最も有効です。


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