コーチング 心理学

コーチは心理学を学ぶべき?-Vol.3 – ”幸せになる勇気” アドラー心理学 –

2024年1月10日

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幸せになる勇気

はじめに

「幸せになる勇気」は岸見一郎氏と古賀史健氏の共著「嫌われる勇気」の続編であり、個人の幸せの本質に深く迫る作品です。「嫌われる勇気」と同様、青年と哲人の対話形式を採用しています。この本では、自立と愛の観点から、人がどのようにして真の幸福を見つけ出し、育むことができるのかを探求しています。岸見氏は、アドラー心理学の原則を用いて、読者に実践的なガイダンスを提供し、自分の感情や行動を理解し、他者との健全な関係を築く方法を示します。

特に注目すべきは、岸見氏が「自立」という概念をどのように捉えているかです。彼によれば、自立と愛は密接に関わっており、愛されることよりもまずは愛するという選択を取ることが、真の自立に繋がると説いています。この本では、読者が自己の選択、つまり人生のタスクにどのように立ち向かうか、そしてどう他者と共同体感覚を築くべきかについても深く考察します。

岸見氏の「幸せになる勇気」は、読者に対して、自己の内面を深く掘り下げ、真の幸せとは何かを再考する機会を提供します。この本を通じて、読者は自己の内面と他者との関係の中でバランスを見つけ、より充実した人生を歩むための指針を得ることができるでしょう。

著者紹介

著者の紹介は嫌われる勇気の紹介ブログをご参照ください。

嫌われる勇気
コーチは心理学を学ぶべき?-Vol.2 – ”嫌われる勇気” アドラー心理学 –

この記事は約8分23秒で読むことができます。 目次 / Contents はじめに著者紹介嫌われる勇気の概要コーチ刈谷洋介の所感嫌われる勇気の重要トピック嫌われる勇気はこちらまとめ合わせて読みたい個別 …

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「幸せになる勇気」の概要と重要トピック

アドラーの心理学は、賞罰の概念を否定し、人間関係における競争よりも協力の重要性を強調します。岸見氏はこの観点を踏まえ、単なる個人的成功や外部からの評価に依存することなく、自己の内面から湧き出る幸福感に焦点を当てています。彼は、自己受容と他者との調和を通じて、より充実した人生を送るための方法を提案します。

本書の重要なメッセージの一つは、「与えよ、さらば与えられん」という思想です。これは、他者への貢献と協力を通じて、最終的には自己も恩恵を受けるという考え方を示しています。岸見氏は、自己中心的な行動ではなく、共同体の一員としての役割を果たすことが、個人の幸せにとって重要であると説きます。アドラー心理学の根幹は「人生の悩みは対人関係の悩みである」です。言い換えれば、「人生の喜びは、対人関係の喜びでもある」とも言えるのです。この考え方は、自己の幸福を追求する過程で他者を考慮し、支え合う文化を育むことの重要性を強調しています。

また、「幸せになる勇気」では、アドラーが提唱する自ら愛するという選択についても詳細に探求されています。時折エーリッヒ・フロムの説く「愛」について引用されることがありますが、岸見氏は、愛する能力が自己の幸福感を高める鍵であると説明し、読者に対して、自発的に愛することの価値を伝えます。彼は、真の愛は、他者への尊重、共感、つまり「相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じる」という哲学を主張します。

この本では、競争原理よりも協力原理を重視するアドラーの思想が随所に見られます。岸見氏は、個人が互いに協力し合い、支え合うことで、より豊かで満たされた生活を送ることができると述べています。この思想は、現代社会における個人主義的な傾向に対する有力な代替案を提供し、読者に対して、共同体の一員としての自己の役割を再考させます。

つまり、「幸せになる勇気」は、自己受容、他者への愛、そして共同体への貢献を通じて、個人が真の幸福を見つけるための実践的なガイドとして機能します。読者はこの本を通じて、自分自身と他者との関係の中でバランスを見つけ、より充実した人生を送るための具体的且つ実践的なアドバイスを得ることができるでしょう。

お勧め書籍:エーリッヒ・フロム「愛するということ」

コーチ刈谷洋介の所感

幸せになる勇気の後書きにもありますが、「”嫌われる勇気”が幸せになるための地図だとすれば、”幸せになる勇気”はコンパスである」と書かれている通り、非常に実践的な内容になっています。私が最も印象に残っている一説は「愛とは二人の課題であり、愛とは落ちるものではなく、築き上げるもの」という考え方です。

アドラーや参考文献で引用されるフロムが生きた時代背景(ロマンティックな恋愛がまだ今ほど一般的ではなかった時代)が、この思想に与えた影響があるのかもしれないと感じる一方、この書籍は愛が余りに手軽に、軽率に扱われることに対する現代社会に対する一つの警鐘であり、時代を遡り、過去から学び、愛することを築くことの意味、愛することはある意味技術であり鍛錬が必要であるという思想が垣間見えます。

これは書籍で論じられる、「学校では個人や仲間で成しうる方法は教えてもらえるが、二人で成し得る方法は教えてもらえない」という記述からも、愛という技術を学ぶことの重要性を著者がどれだけ必要であるかを物語っているように思います。

また、岸見氏の別冊、「アドラーを読む 共同体感覚の諸相」でも述べられている「個人主義的な、愛を与えることよりも与えられることばかり考える甘やかされた態度を変えていくことが、幸せに通づる道である」というニュアンスが脳裏に響きます。岸見一郎氏はギリシャ哲学専門の哲学者であることから、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどのギリシャ哲学者を引用することでその説得力が増すという部分も、彼の書籍の魅力であると感じます。前回の”嫌われる勇気”の所感でも示した通りですが、クライアントの充実、幸せを支援するコーチ業に従事する人間として、全ての対人援助職の方々におすすめの書籍です。

お勧め書籍:アドラーを読む〈新装版〉: 共同体感覚の諸相

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「幸せになる勇気」のまとめ

「幸せになる勇気」というこの作品は、「嫌われる勇気」の深い思索の旅の続きとして、私たちを自立と愛の輝かしい道へと導いてくれるでしょう。劇薬とも言われるアドラーの”使用の心理学”、原因論を否定し、目的論に依拠する厳しい教えにも関わらず、青年に対等な関係で真摯に向き合う哲人の姿勢には人としての温かさを感じます。岸見一郎氏がアドラー心理学の光を借りて、時折ギリシャ哲学を織り交ぜなら、私たちの心の奥深くに眠る真の幸福の源泉を優しく明らかにします。彼の言葉は、読者の心に深く響き、愛を与えることの純粋な喜びと、それがもたらす幸福感の高まりを語りかけます。

この本に込められた「与えよ、さらば与えられん」というメッセージは、私たちの魂に柔らかく触れ、他者への貢献と協力を通じて自らも恩恵を受けるという深い真実を教えてくれます。岸見氏は、自己中心的な行動を超越し、共同体の一員としての役割を果たすことが、個人の幸せにとっていかに重要であるかを、心に訴えるように対話、物語形式を用いて分かりやすく、心に深く響く形で述べています。

そして何よりも、岸見氏は愛の奥深さを掘り下げ、愛することが修練を要する技術であることを繊細に描き出しています。ページをめくるごとに、愛することの本質的な美しさと、それが私たちの生活にもたらす豊かさが心に染み渡ります。

「幸せになる勇気」、それは、自己受容、他者への深い愛、そして共同体への貢献を通じて、私たち一人一人が真の幸福を見つけ出すための旅路の案内書です。読者はこの本を通じて、愛という美しい感情を育み、より充実した人生を歩むための実践的な知恵を得ることができるでしょう。

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