この記事は約6分59秒で読むことができます。

はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」34資質の中で 個別化(Individualization) は、“人それぞれの違いを微細に見抜き、才能が最も輝く配置をデザインする〈タレント・コンシェルジュ〉” と評される人間関係構築系資質です。平均化や一律処理を嫌い、「その人ならでは」の強み・学習スタイル・価値観を捉えて仕事・役割・フィードバックをカスタマイズします。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の5つの観点から、個別化を徹底解説します。
1. 個別化の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “一人ひとりが持つ固有の才能を理解し、最適な舞台で輝かせたい” |
行動プロセス | 初対面から観察眼を働かせ、言葉選び・表情・行動パターンをメモ。強み・価値観・ワークスタイルを素早く仮説化。役割・学習方法・報酬などを“その人仕様”にカスタマイズ。 |
強みの現れ方 | プロジェクトメンバーの“適材適所”マッチングが巧み。1on1で相手に合わせたフィードバックと動機付けを提供。多様な背景を持つチームを束ね、総和以上の力を引き出す。 |
価値提供 | “人材ポートフォリオの最適化”により、エンゲージメントとパフォーマンスを同時に向上。 |
キーワード | カスタマイズ/強み診断/適材適所/パーソナライズ/多様性活用 |
2. 個別化を最大限に活かす方法
- “タレント・カルテ”を作成
スキル・モチベーション・学習スタイル・将来ビジョンを 1 ページにまとめ、配属やタスク割り振りの判断材料にする。 - フィードバックを“ストレングス言語”で行う
例:「あなたの着想が活きたデザイン案」「最上志向が支えた品質」など資質名を使って称賛し、再現性を高める。 - オンボーディング“30日パーソナルプラン”を設計
新人が持つ経歴・学習ペースに合わせ、タスク難度とサポート密度を段階的に調整。 - プロジェクト要件×人材の“マトリクス・マッチング”
プロジェクト要件(スピード/創造性/対人力など)とメンバーの強みをクロスマッピングし、役割を決定。 - “学習メニューの選択肢化”で自走を促進
同じスキルでも e-learning/メンタリング/ハンズオンなど複数導線を用意し、本人が最適経路を選べるようにする。
3. 個別化に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
工数増大・管理複雑性 | 10人のチームで10通りのプロセスを運用し混乱 | “80% 共通 + 20% 個別” のハイブリッド標準化を設計 |
公平じゃないと思われるリスク | 差別化が「えこひいき」と受取られる | “適材適所=公平” の理念を説明し、期待値を公開 |
分析疲れ | 個別要望ヒアリングが膨大 | 「影響度 × 実現容易度」で優先度を付け、対応を絞る |
決断の遅延 | 全員に合わせようとして結論が出ない | “相談フェーズ◯日 + 決定◯日” のタイムボックスを設定 |
4. 個別化を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- 人材情報をオープンに提供
強みレポート・性格診断・キャリア希望を共有すると、最適配置アイデアが湧きやすい。 - “配置結果 → 成果” をフィードバック
「あなたのアサイン設計で顧客満足度+8pt」など成果を可視化し、学習ループを促進。 - “共通フレーム”を一緒に作る
個別カスタマイズを支えるテンプレートやチェックリストを共同開発し、運用負荷を軽減。 - 本人の強み開発にも時間を確保
他者に集中しすぎて自己研鑽が遅れがち。週2時間の学習スロットをカレンダーで死守。 - スケーラブルな仕組み化を奨励
1on1での知見を「人材データベース」「リソース配分ツール」へ展開し、組織全体で再利用。
5. よく比較される資質との違い
5-1 個別化 vs 成長促進(Developer)
項目 | 個別化 | 成長促進 (Developer) |
---|---|---|
焦点 | 固有の違いを理解し最適配置 | 未熟→良への成長過程を支援 |
モチベ源 | パーソナル・フィット感 | 小さな進歩を目撃 |
リスク | 管理複雑性 | 過保護 |
補完関係 | 個別化が配置→成長促進が育成プランで開花 |
5-2 個別化 vs 包含(Includer)
項目 | 個別化 | 包含 (Includer) |
---|---|---|
目的 | 独自の強みを活かす配置 | 輪の外の人を招く |
手法 | カスタマイズ | ウェルカム・サイン |
リスク | 複雑化 | 決定遅延 |
補完関係 | 包含が全員を招き入れ、個別化がそれぞれに最適席を用意 |
6. まとめ
個別化は “一人ひとりの違いを戦力へ変えるタレント設計エンジン” として、組織に 高いエンゲージメント・離職率低下・才能の最大化 をもたらす資質です。
- 特徴:強み観察、適材適所マッチング、パーソナルフィードバック
- 活かし方:タレントカルテ、ストレングス言語FB、30日パーソナルプラン、マトリクスマッチング、学習選択肢化
- 注意点:工数過大、公平誤解、分析疲れ、決断遅延に注意
- 付き合い方:情報オープン、成果フィードバック、共通フレーム作成、自己研鑽時間確保、仕組み化奨励
- 比較:成長促進とは “配置と育成”、包含とは “最適座席と輪の拡大” の対比
個別化が健全に活きれば、チームは “平均で合わせる設計” から脱却し、多様な才能が最適ポジションで共振するハイパフォーマンス組織へ進化します。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿を手引きに “タレント・コンシェルジュ” として組織の潜在力を最高値に引き上げてください。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な個別化は「違い」ばかりに注目し、全体のバランスや公平性を欠く判断をしてしまうことがある。
- 成熟すると、個々の違いを尊重しながら、最適な関わり方を調整できる“人間理解のプロ”となる。
- 例:以前は「人によって対応が違う」と批判されていたが、成熟後は「相手に合った最善の配慮」として信頼を得るようになった。
2. 「聴く力」とのバランス
- 相手の表情や言葉のニュアンスに敏感で、傾聴力が自然と高まりやすい。
- 一方で、情報を多く受け取るために内面で処理が追いつかなくなることも。
- 「今の言葉がとても響きました」「少し考えさせてください」と返すことで、繊細な理解力を伝えることができる。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 共感性(Empathy)×個別化
→ 相手の感情と個性を同時に感じ取る“深い理解者型”。相手が「わかってもらえた」と感じる関係性を築く。 - 調和性(Harmony)×個別化
→ 違いを尊重しながら共通点を探る“調整役”。チーム全体の摩擦を最小化する橋渡し役。 - 最上志向(Maximizer)×個別化
→ それぞれの強みにフォーカスし、“一人ひとりの才能開発者”として力を発揮する。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- 人の多様性を的確に読み取り、その人らしさを引き出す関わりができる。
- 採用・育成・チーム編成などで、最適なマッチングを実現するキーパーソンとなる。
ベースメント(低成熟度):
- 人によって態度を変えているように見られ、「えこひいき」と誤解されることがある。
- 全体方針に従わず、チームワークより個別対応を優先しすぎてしまうことも。
5. デジタル時代における活かし方
- オンラインでのやり取りでも、メンバーごとのスタイルや性格に応じた対応ができる。
- プロジェクト管理ツールやSlackなどで、「この人に合った伝え方」を意識することで信頼構築が加速。
- 個別の強み・課題・モチベーションを可視化するドキュメント作成やカスタマイズ対応の提案役として重宝される。
7. 個別化の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
個別無料説明会(オンライン)について

ライフコーチングを受けたい方はオンライン無料説明会へお申し込みください。

説明会は代表の刈谷(@Yosuke_Kariya)が担当します!お待ちしています!
コーチング有料体験について
実際にコーチングを体験してみたい方向けに、有料のコーチング体験も用意しております。ご興味のある方は以下をクリックください。
-
コーチング体験(有料)| ライフコーチング |【東京・コーチ歴13年・実績3000時間】
この記事は約4分3秒で読むことができます。 目次 / Contents コーチング体験(有料)のお申し込みページへようこそ!対象クライアント様代表コーチ刈谷洋介のご紹介体験セッションの流れコーチング有 …