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はじめに
「ストレングスファインダー(CliftonStrengths)」の 34 資質の中で 競争性(Competition) は、“勝敗の明確な舞台を好み、トップを目指してチームのパフォーマンスを跳ね上げるチャレンジャー” と評される影響力系資質です。比較対象が示された瞬間に火が点き、目標を「抜き去るべきベンチマーク」へと変換します。本稿では 〈特徴〉〈どう活かすか〉〈注意点〉〈この資質を持つ人とどう付き合うか〉〈よく比較される資質との違い〉 の5つの観点から、競争性を徹底解説します。
1. 競争性の特徴
視点 | 内容 |
---|---|
コア衝動 | “勝ちたい。順位や指標で優位性を示したい” |
行動プロセス | 外部ベンチマークを探索(同業他社・ライバルチーム)。「どうすれば抜けるか?」を逆算し、行動を設計。勝利が見えた瞬間にエネルギーが最大化。 |
強みの現れ方 | 数字・ランキングを指標化し進捗を可視化。チームの焦点を明確なターゲットへ集中。勝った瞬間、祝勝ムードを演出し士気を爆上げ。 |
価値提供 | 明確な指標で“勝利条件”を設定し、組織のスピードと結果志向を高める。 |
キーワード | ランキング/ベンチマーク/勝利宣言/ゲーム化/挑戦心 |
2. 競争性を最大限に活かす方法
- 外部指標をダッシュボード化
NPS※、売上成長率、アプリDL数――競うべきKPIを常時表示し“勝敗スコアボード”を共有。 - “ゲーム化”で行動を促進
四半期チャレンジ・リーダーボード・バッジ獲得など競争要素を組み込み、モチベーションを高める。 - 小さなマイルストーンに“勝利演出”
週次で上位に浮上したら拍手スタンプや社内ニュースで称賛し、勢いを継続。 - ベストプラクティスを“勝者インタビュー”で公開
競争性の学びを全体へ横展開し、組織全体のスキルアップに転換。 - 敗因分析を“次の勝ち筋”へ即転換
負け試合は速攻でリプレイ→教訓→改善計画へ落とし、リバウンド勝利(一度負けた後、すぐに立て直して次の勝負で勝つこと)を演出。
※Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略で、企業や商品・サービスに対する顧客ロイヤルティ(忠誠度)を測る指標です。
3. 競争性に潜む落とし穴と注意点
落とし穴 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
チーム内“内戦”化 | 社内メンバーを敵視 | “敵は外”ルール:外部ベンチマークを設定し内側は協力関係 |
短期指標に偏重 | 数字を追うあまり長期価値を軽視 | “長期KPI:短期KPI=1:3”でバランス管理 |
勝利万能主義 | 負けたメンバーのモチベ低下 | 負け→学習→再挑戦ストーリーを強調し心理的安全を担保 |
過度なストレス | 常時比較で疲弊 | “クールダウンデー”を設定し、比較を一時停止し振り返り |
4. 競争性を持つ人との付き合い方・コーチングヒント
- ライバル指標を提示して依頼
「業界トップの返答時間2hを1h に短縮しよう」と競う相手を明示。 - 勝敗を即時フィードバック
週次ランキングやベンチマーク差分を共有し、エネルギーを継続点火。 - チーム勝利へ焦点を合わせるフレーズ
“私たちが市場1位になる” と“チームで勝つ”表現で協働モードを維持。 - 健全な敗北体験を設計
社内ゲームで意図的に負けも経験し、学習サイクルを内面化。 - 勝利の演出を任せる
表彰イベントや成功事例発信を企画してもらい、強みを文化醸成へ転用。
5. よく比較される資質との違い
5-1 競争性 vs 達成欲(Achiever)
項目 | 競争性 (Competition) | 達成欲 (Achiever) |
---|---|---|
ドライブ源 | 他者との比較・順位 | 日々のタスク完了量 |
KPI 設定 | 外部ベンチマーク | 内部 To-Do リスト |
リスク | 敗北ストレス | バーンアウト |
補完関係 | 競争性が「どこまで上げる」を示し、達成欲が作業量で実行 |
5-2 競争性 vs 自我 (Significance)
項目 | 競争性 | 自我 (Significance) |
---|---|---|
目的 | 勝つこと | 意義を示し称賛されること |
評価基準 | ランキング・スコア | 注目度・影響力 |
リスク | 敗北感 | 過度な自己演出 |
補完関係 | 競争性が外部1位を奪い、自我が社会的意義・インパクトを拡散 |
6. まとめ
競争性は “外部比較を燃料にトップを狙う推進資質” として、組織にスピード・結果志向・勝利文化をもたらします。
- 特徴:ベンチマーク探索→逆算行動→勝利演出
- 活かし方:ダッシュボード可視化、ゲーム化、マイルストーン祝勝、勝者インタビュー、即時敗因学習
- 注意点:内戦化、短期偏重、勝利万能主義、ストレス過多に注意
- 付き合い方:ライバル提示、即時フィードバック、チーム勝利表現、敗北学習設計、勝利演出任命
- 比較:達成欲とは “比較と完了数”、自我とは “順位と意義拡散” の対比
競争性が健全に活きれば、チームは “ぼんやり中位志向” から脱却し、明確なターゲットに向け高パフォーマンスを叩き出すカルチャー を得られます。あなた自身やメンバーにこの資質があるなら、本稿をガイドに “勝負の火種” を組織の持続的成長エンジンへ転換しましょう。
補足ポイント
1. 資質の成熟度(Maturity)に応じた変化
- 未成熟な競争性は「勝ちたい」気持ちが先行し、過度な比較や自己評価の低下を引き起こすリスクがある。
- 成熟すると、「誰かを負かす」のではなく「自分が最大限に力を発揮する舞台」として勝負の場を捉えるようになる。
- 例:以前は「勝たないと意味がない」と感じていたが、成熟後は「挑戦の過程での成長や影響力の発揮」に意識が向くように。
2. 「聴く力」とのバランス
- 競争性が強い人は、会話を通して「誰が優れているか」「何が評価されているか」を敏感に察知しようとする傾向がある。
- その結果、相手の話を“勝ち負けの基準”として聞いているように映ることもあり、緊張感を与える可能性がある。
- 「この人の価値を正しく理解しよう」という姿勢を見せることが、健全な信頼関係の構築に繋がる。
3. 他の資質とのコンビネーション例
- 達成欲(Achiever)×競争性
→ 勝つために努力を惜しまない“ハードワーカー型”。目標達成への執念が際立つ。 - 目標志向(Focus)×競争性
→ 成果への集中力が高く、ライバルがいると燃える“ストイックチャレンジャー”。自己管理能力も高い。 - 社交性(Woo)×競争性
→ 人気や支持を勝ち取ることに喜びを感じる“魅力的な勝負師”。営業やプレゼンで力を発揮。
4. バルコニーとベースメントの対比
バルコニー(高成熟度):
- ライバルの存在を自己成長の刺激として活かし、チームや組織の競争力も高める推進力となる。
- 勝利体験を他者と共有し、成功の再現性を高める仕組みづくりができる。
ベースメント(低成熟度):
- 常に他者と比較し、勝てなければ価値がないと感じてしまう。
- チームメンバーをライバル視しすぎて、協働が困難になることも。
5. デジタル時代における活かし方
- KPIやダッシュボードなど、成果が可視化される環境でモチベーションが高まる。
- オンライン上でもランキングやバッジ、進捗シェアなどゲーミフィケーション的要素と相性が良い。
- 「数字で評価される場」に強く、成果主義が明確なプロジェクトや営業職、SNSマーケティングなどで真価を発揮。
- 一方で、成果の見えにくい関係性構築や支援役割においても、裏方の貢献を「自分なりの勝利」に再定義できると、資質の幅が広がる。
7. 競争性の特徴はこちらの動画から!
参考文献
- Gallup. “The Strategic Theme: How You Can Productively Aim Your CliftonStrengths Talent.” Gallup.com.
- Gallup. “Strategic Thinking Domain of CliftonStrengths.” Gallup.com.
- Rath, T. さあ、才能に目覚めよう srengthsFinder 2.0. 日本経済新聞出版, 2017.
- Gallup. ストレングスリーダーシップ. 日本経済新聞出版社, 2013.
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