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コーチは心理学を学ぶべき?- アドラー臨床心理学入門 –
「アドラー臨床心理学入門」は、鈴木義也氏、八巻秀氏、深沢敬之氏の共著による一冊です。この本は、アドラー心理学の深遠な理解を求める読者にとって、重要なガイドとなることでしょう。特に、岸見一郎氏の「嫌われる勇気」と「幸せになる勇気」の読者にとっては、これまでの理解をさらに深め、新たな視点を提供する貴重なリソースになり得ます。
アドラー心理学は、人間の行動や心の動きを理解するための重要な枠組みを提供します。この学問は、個人の生活や職業、社会関係において、自己認識と人間関係の改善に役立つ洞察を与えてくれます。岸見一郎氏の著作がアドラー心理学の基本概念を一般向けに解説したのに対し、「アドラー臨床心理学入門」は、より深く、臨床的な視点からこれらの概念を掘り下げています。
本書では、アドラー心理学の基本原則から始まり、その理論がどのように日常生活や臨床現場で応用されるかについて詳述しています。読者は、アドラーの思想が現代の心理療法にどのように組み込まれているかを理解することができるでしょう。また、アドラー心理学の応用例も豊富に紹介されており、理論だけでなく実践的な知識も得ることができます。
この本は、アドラー心理学の基礎を固めたい初学者から、さらなる深い理解を求める上級者まで、幅広い読者層にアピールする内容となっています。岸見一郎氏の著書を読み、その理論に興味を持った方々には、この本が新しい発見と成長の機会を提供することでしょう。心理学の世界をより深く探求したいと考えている方には、この本が理想的な次の一歩になるはずです。
「アドラー臨床心理学入門」の主要なテーマ:
「アドラー臨床心理学入門」は、アドラー心理学の基礎から応用に至るまでを包括的に扱っています。この書籍は、理論編と実践編の二部構成で、アドラーの心理学理論を現代の臨床心理学の文脈において深く掘り下げています。
理論編では、アドラーの基本的な理論構造が解説されます。第1章「アドラーの臨床知」では、アドラー心理学の基本原則が紹介され、第2章「目的論」や第3章「対人関係論」では、人間の行動や対人関係が目的指向性を持つことを説明しています。第4章「認知論」から第6章「主体論」にかけては、個人の認識構造と自己の主体性がどのように心理的健康に影響を与えるかが論じられています。
第7章「ライフスタイルとライフタスク」では、個人がどのようにして自己のライフスタイルを形成し、人生の課題に取り組むかが明らかにされます。第8章「勇気づけ」と第9章「共同体感覚」は、個人がより健全で充実した人生を送るための重要な要素として扱われています。
実践編では、理論を現実の場に応用する方法が具体的に提示されます。第10章「早期回想」や第11章「不適切な行動の目的」では、クライエントの過去の経験や行動の背後にある目的を理解する技術が紹介されます。第12章「課題の分離」から第14章「家族布置」にかけては、具体的な心理療法の技法や家族関係の分析方法が説明されています。
岸見一郎氏の「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」に親しんだ読者にとって、この書籍はアドラー心理学のより深い理解と応用について学ぶ絶好の機会となるでしょう。
カウンセリングやコーチングなど実践への応用
「アドラー臨床心理学入門」は、読者に心理学の理論と実践の橋渡しをする一冊です。この書籍は、アドラー心理学の理論を深く理解し、日常生活や職業上の状況に応用する方法を提供します。読者は、自己や他者を理解し、より効果的な人間関係を築くための具体的な洞察とスキルを得ることができます。
読者は、特に「目的論」や「ライフスタイル」などの概念を通じて、自己や他者の行動の背後にある動機や目的を理解することができます。これにより、自己の行動や選択をより意識的にコントロールし、目標達成や問題解決の効率を高めることが可能になります。
「共同体感覚」や「勇気づけ」の概念は、職場や家庭、友人関係などの日常の対人関係に直接適用可能です。これらの理論を理解し活用することで、より協調的で健全な人間関係を築くことができます。また、ストレスや対人関係のトラブルに直面した際にも、これらの概念を使って自己調整や対処法を見出すことが可能です。
実践編では、「早期回想」や「家族布置」などの技法が紹介されており、これらを通じて自己の過去の経験や家族の影響を理解し、現在の行動パターンや人間関係にどのように影響しているかを把握することができます。これにより、読者は自己成長のための具体的な手がかりを得ることができます。
また、心理療法士やカウンセラーなどの専門家だけでなくコーチにとっても、この書籍は豊富なリソースを提供します。理論的知識と実践的スキルの両方を深めることで、クライエントへの効果的な支援を行うことがでるでしょう。
コーチ刈谷の所感:
当書籍は、主に臨床心理学を学ぶ方向けに書かれていいますが、アドラー心理学に興味ある方であればどなたでもお読みいただける内容になっています。しかし、それでもやはり臨床家を対象に書かれているのでアドラーに対しての知識が全くない方は先に紹介した岸見一郎氏の「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」「アドラー心理学入門」を読んでから「アドラー臨床心理学入門」に進まれることをお勧めします。
岸見氏の書籍はギリシャ哲学者の視点と織り交ぜてアドラー心理学を紹介している点が非常に特徴的ですが、当書籍の共著者である3名は全員が臨床心理士であり、構成も理論編と実践編で分かれています。より実践的な内容を求める方に非常に有益と言えるでしょう。
この本は臨床心理学を生業とする三人の著者が各章を分担執筆しています。三人ともアドラー心理学を学んできた者ではありますが、アドラー心理学の権威、もしくは脇目も振らずにアドラー一筋というわけではなく、それぞれの現場でそこそこにアドラー心理学を利用してきたに過ぎません。三人のカウンセリングにおけるアドラー以外のオリエンテーションは、家族療法、システム論、ブリーフセラピー、解決志向、催眠療法、ナラティヴセラピーなど多様です。これらとアドラー心理学を共存させ、折衷的、統合的に使ってきたのですが、その組み合わせは悪くありませんでした。
鈴木 義也; 八巻 秀. アドラー臨床心理学入門 . ARTE.
このように、アドラー心理学を折衷的、統合的に使うことが効果を発揮するという文脈からも、アドラー以外の心理学を学ばれている方、私のようなビジネスパーソンをメインでコーチングをしている対人支援の方々にも多くの学びがあるはです。
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まとめ
「アドラー臨床心理学入門」は、アドラー心理学を深めたいと感じる全ての読者にとってお勧めの書籍です。鈴木義也氏、八巻秀氏、深沢敬之氏といった3名の臨床心理士による共著で、この本は、岸見一郎氏の「嫌われる勇気」と「幸せになる勇気」の読者に新たな視点を提供することでしょう。アドラー心理学の基本から応用までを深く掘り下げ、日常生活や臨床現場での実践的応用を豊富に紹介しています。
本書は理論編と実践編の二部構成になっており、理論編ではアドラーの基本理論構造を解説します。目的論、対人関係論、認知論、全体論、主体論など、人間の行動や心理的健康に影響を与える要素が深く掘り下げられています。実践編では、これらの理論をどのように日常生活や臨床現場で応用するかについて具体的なガイドラインが提供されており、早期回想や家族布置などの具体的な心理療法の技法も紹介されています。
岸見一郎氏の著作と比較すると、本書はより専門的で臨床的な視点からアドラー心理学を掘り下げており、初学者から上級者まで幅広い読者層に適していますが、アドラー心理学に初めて触れる読者は、岸見氏の作品を先に読むことが推奨されます。
この書籍は、カウンセリングやコーチングなどの実践的な分野での応用にも役立ちます。読者は、「共同体感覚」や「勇気づけ」などの概念を通じて、より協調的で健全な人間関係を築く方法を学びます。著者たちはアドラー心理学に加え、家族療法、システム論、ブリーフセラピー、解決志向、催眠療法、ナラティヴセラピーなど多様な心理療法の経験を持ち、これらをアドラー心理学と統合的に使ってきました。この経験に基づく統合的なアプローチは、カウンセリングやコーチングの現場で非常に効果的であることが示されています。
また、コーチングへの応用という視点から考察すると、「アドラー臨床心理学入門」はクライエントの内面的な動機や感情を理解するための重要なツールとして機能するでしょう。本書で紹介されるアドラー心理学の概念、特に「共同体感覚」や「目的論」は、コーチングセッションでの問題解決や目標設定に直接的に応用可能です。また、「ライフスタイル」と「ライフタスク」に関する理論は、クライエントが自己の行動パターンを理解し、より効果的な自己成長戦略を構築するのに役立ちます。この本を通じて、コーチは自己成長と人間関係の改善に関する深い洞察を得られ、クライエントへのより質の高い支援を提供できるようになるでしょう。
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